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ピーマン



小一のぼくは
空を飛ぼうと企てた
同じクラスの米山くんと
黄色い雨傘を広げ
一メートルの段から
興奮気味に飛び降りた

うわっ!
空の旅は半秒で終わる
尻もちをついて傘は壊れ
手をついたら汚くなった
隣の米山くんは怒ってる
夢から覚めた気がした

あれから四十年がすぎた
空を飛びたいとは
もう思わないけれど
現実はむかし嫌いだった
ピーマンのように
苦いなって思っている