マガジンのカバー画像

読書記録

38
読んだ本の感想をまとめています。
運営しているクリエイター

記事一覧

西の魔女が死んだ/梨木香歩 読書記録#38

 不登校の中学生「まい」は、「西の魔女」・英国人の祖母の家で暮らすことになりました。この…

2

本は読めないものだから心配するな/管啓次郎 読書記録#37

 本が読めない。苦しい。安心を得たくて、この本を手に取った。  しかしなぜ、「本は読めな…

あおきひび
2週間前
21

江ノ島ねこもり食堂/名取佐和子 読書記録#36

 江ノ島に生きる女性たちの年代記。佐宗家の女性たち四代の人生を綴った、百年の物語です。 …

あおきひび
3週間前
3

天国旅行/三浦しをん 読書記録#35

 「心中」をテーマにした短編集です。生と死について独自の切り口を持った全7編が収録されて…

あおきひび
1か月前
3

いのちの車窓から/星野源 読書記録#34

 星野源は不思議な人だ。  彼はミュージシャンであり俳優であり、文筆家でもある。エッセイ…

あおきひび
2か月前
15

ステップファザー・ステップ/宮部みゆき 読書記録#33

 私が初めて読んだ『ステップファザー・ステップ』は、児童文学レーベルの青い鳥文庫から発刊…

あおきひび
2か月前
4

八日目の蟬/角田光代 読書記録#32

 元恋人の赤ちゃんを誘拐してしまった希和子。そこから長い逃避行が始まります。「薫」と名づけられた少女は、「母」希和子からの決死の愛情を受けながら、すくすくと成長していく。東京から名古屋、小豆島へ。島で束の間の平穏な日々を過ごした後、ふたりの暮らしは突然終わりを迎えました。  物語後半では、成人した「薫」(=恵理菜)のその後が描かれます。彼女が過去と向き合い、思いを清算していった先には、思いがけない「光」がありました。  恵理菜という「八日目の蟬」は、疎外され、孤独を味わい

自分で考える勇気 カント哲学入門/御子柴善之 読書記録#31

 この本はカント哲学の入門書であり、それと同時に「自分で考える勇気を持つこと」について論…

あおきひび
3か月前
5

家出のすすめ/寺山修司 読書記録#30

 寺山修司はこう言いました。「家出」とは、家という暗い桎梏・制限を打破し、自我を獲得する…

あおきひび
3か月前
5

箱庭図書館/乙一 読書記録#29

 「物語を紡ぐ町」文善寺町を舞台とした、6つの短編小説が収録されています。それぞれの作品…

あおきひび
3か月前
14

羊と鋼の森/宮下奈都 読書記録#28

 まず、タイトルに惹かれました。この小説はピアノ調律師が主人公のお話です。「羊と鋼の森」…

あおきひび
3か月前
10

白河夜船/吉本ばなな 読書記録#27

 「眠り三部作」と題されたこの短編集。そこに共通するのは、「喪失と再生」のモチーフです。…

あおきひび
4か月前
13

傷を愛せるか 増補新版/宮地尚子 読書記録#26

 トラウマ研究の第一人者によるエッセイ集です。  学会や臨床の場における実体験や、書物や…

あおきひび
4か月前
6

猫語の教科書/ポール・ギャリコ 読書記録#25

 ベテラン猫から子猫たちへ、そして全ての人間たちに贈る、「猫が人間をしつける方法」の指南書です。猫が家を乗っ取るために役立つテクニックが満載。特に、原題にもある「声なしのニャ―オ」は、人間をとりこにするとっておきの方法です。ネコの下僕たち必携の書!  ……という名目で書かれたこの本、作者は無類のネコ好きだったようです。一匹の猫の視点を通じてたっぷりと語られるのは、したたかで愛嬌があり、自立していて知恵のある、そんな猫の魅力です。  時には猫目線の人間評や風刺めいた描写もあり