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戦略コンサル→スタートアップ転職のアンラーニングの要諦

Ubie株式会社の開発チームUbie DiscoveryでBizDevをしているAkiraです。

これまでは、いわゆる戦略コンサルの会社で働いていました。そんな私ですが、2年ほど前にUbieにジョインしてからは一貫してBizDevとして働いています。

いまでこそ成果を出せていると感じる場面も増えてきましたが、入社してからしばらくは全然。まったくスタートアップのBizDevらしくない動きをしていました。

本稿では、2年の間に自分が身につけたことや、他のコンサル出身者たちの入社直後の動きを見て感じたことを、コンサルからスタートアップのBizDevに転職して最速で成果を出すためにアンラーンすべき点とアンラーンを促進する実践的な方法としてまとめます。特に、0→1、1→10くらいのフェーズのスタートアップで有用になるのではないかと考えています。

コンサルから鳴り物入りでスタートアップに入社したのになかなか成果を上げられずもやもやしている人や、そんな人たちを何とかサポートしたい上司や人事の方に読んでいただきたいです。本稿が誰かの助けになれば嬉しく思います。

こんな人に読んでほしい

・スタートアップ転職を迷っているコンサル出身者
・スタートアップに転職したが思うように活躍できてないコンサル出身者
・コンサル出身者を採りたいスタートアップ採用担当者

合わせて読んでほしい・聴いてほしい

1.机上では検証不可能な不確実性を受け入れて、現場の経験から学ぼう

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戦略コンサルの方は、机上で情報を集め仮説を作ることに長けています。この能力自体はスタートアップのいかなるフェーズでも重要で役に立つと思います。

しかし、仮説の精度を机上の情報だけで限界まで高めようとする職業病は明確にスタートアップの事業進捗を阻害します。無駄を量産することが多いので、一番最初にアンラーンする必要があります。

特に市場を新たに創出するスタートアップでは、事業に纏わるすべての事柄が未検証で、机上で集められる情報にはもれなく検証不可能な「不確実性」が付きまといます。


例えば、最初のプロダクトをローンチして1か月が経ち、無料キャンペーンで顧客獲得には成功したもののチャーンレートが高い、という課題に直面しているとしましょう。ファクトは無料にも関わらずチャーンレートが高いということだけしかわかっていません。


その中で、「類似のプロダクトの事例から推測するに、このプロダクトのこのセグメントのユーザーはXXXというニーズがあるのでこの機能を開発すれば#####くらいのボリュームでエンゲージメントが高まってチャーンレートが~~~くらいに改善するはずだ!」みたいな仮説をミリミリと市場調査してモデル組んで机上で検討するのは全くのナンセンスなのです。


おそらく、ユーザーのニーズも違うし、そのユーザーが世の中にどれくらいいるのかの見立ても間違っているし、チャーンレートへの跳ね返りも全く見当違いのものになるでしょう。


なぜならば、この検討にリアルなファクトが一つも含まれてないからです。もちろん、競合調査は仮説を立てるヒントにはなるのですが、その調査を妄信しすぎるのは危険です。


では、どうすればよいか。実際に何かアクションを起こした結果をファクトとして取るのです。最低限のモックアップを作って、ユーザーインタビューを実施したり、ローンチ後にユーザーの反応をつぶさに観察しましょう。とにかく、リアルなファクトを集めてみることをおすすめします。


この観点でコンサル思考のアンラーンを促進する実践的な方法としては、プロダクトの検証チームに入ってユーザーインタビューに同行するなどでしょうか。自分の仮説の筋の悪さ、視野の狭さにハッとすると思います。スタートアップですから、希望すれば誰も止めないはずです。ぜひ一度、自分のミッションを離れてでも現場に出てみましょう。うだうだ考えてもしょうがないことが、自分の予想の10倍はあります。


2.スピード感とカオスを受け入れて、生産性のギアを上げよう

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「不確実性」が厳然として存在する以上、事業を進捗させるには「不確実性」を解消するための経験をたくさん積まなければなりません。

しかし、時間は有限です。スタートアップの掲げる目標から逆算すると、一つひとつの経験をとんでもないスピードでこなしていく必要があるでしょう。

コンサルの方は概して論理的思考力・図解力に長けており、あらゆる場面で100%の力を発揮できるメンタリティをもっています。この能力やマインドセット自体はスタートアップのいかなるフェーズのいかなる部署で有用なはずです。

しかし、やはり、使いどころを間違えているケースが多いと感じます。例えば、資料を細部まできれいに作りこむ必要性をよくよく考えましょう。

「不確実性」が大きい状態では、100%の力でのアウトプットよりも、10%の力で10倍速くアウトプットを出すことを10回繰り返すことの方が、総じて得られるリターンが大きいことが多いです。

例えば、事業の立ち上げフェーズでは、昨日まで1か月かけて作り上げてきた営業プロセスが今日の新たな発見で半分以上の箇所に修正が入る、みたいなことは珍しくありません。

情報が漏れなくわかりやすく記載されており、なおかつ、大量の修正が入る前提でアウトプットをしていくことが大切です。フレームワークをさくっと作って、実際に使ってみて修正を繰り返し、大量の修正に耐え得るフレームワークに進化させていくイメージです。

スタートアップでは、リアルな検証を通じて、机上で一生懸命作り上げた仮説が破壊的修正を余儀なくされる場面に何度も遭遇するでしょう。

余談ですが、過去、日本の自動車部品メーカーがインドなどに進出する際に一番苦労したのは、品質チェックの基準決めだそうです。日本の基準では機能的には全く問題ないが見た目に傷がついているだけで不良品と捺印を押される部品が、インドの自動車メーカー向けに部品を出荷する際にはメーカー側から最高評価を受けたそうです。

冷静に考えたら環境やニーズに合わせて自分の出力を制御すべき、というのは当たり前ですが、なかなか、自分の仕事となるとそうは思えなかったりしますよね。特にスタートアップではリソースも全く足りないし、過ぎたるは猶及ばざるが如し、を強く意識すると良いと思います。

この観点でコンサル思考をアンラーンを促進する実践的な方法としては、自分の仮説の完成度というのを何かしらの尺度で測ってみましょう。そして、10%できあがった段階で市場に、ユーザーに、社内の仲間たちに、問うてみましょう。そこから仮説の完成度がどれくらい高まったのか、時間当たり完成度への貢献を見える化してみましょう。スピード感の違いについて腹落ちすると思います。

3.短期的な利益へのこだわりを捨てて、アセットを積み上げよう

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戦略コンサルは数か月のプロジェクトを次々にこなしていくような仕事の形態なので、「アセットを積む」という考えがやや弱い傾向にあります。

もちろん、プロジェクトからの学びをシェアするような活動はコンサル会社でも行われていますが、シェアできるナレッジを沢山生み出そう!というマインドではなく、目の前のプロジェクトに全力投球し、その副産物としてアウトプットをシェアするような形に留まることが多いのではないでしょうか。

スタートアップでは、ヒト・モノ・カネが圧倒的に足りないので、ありとあらゆるアセットから様々な意味で複利を生み出し効率良く事業を成長させていかねばなりません。

ナレッジの蓄積のみならず、ブランド、プロダクト、顧客基盤など会社全体が保有する事業に正の影響を生みうる土台としてアセットを意識し、それを増加させる活動こそが事業成長に対する貢献であるという意識が大事です。

プロフェッショナルサービスの形式で短期的にキャッシュを稼げるからこそ、中長期的に事業を継続・拡大するには何ができるのかを強く意識する必要があります。

まずは、自分のミッションを深く見つめ直し、自分が貢献できるアセットが何なのかを考えてみましょう。どのアセットをどう増加させるのか、そこからどう利益を生み、その効率をどのように高めていくのか、自分のタスクをこなしつつどう貢献していくのか。

もし、アセットに貢献できていなければ黄色信号です。コンサル思考が事業進捗を阻害している可能性が高く、緊急でミッションや動き方を見直しましょう。

この観点でコンサル思考をアンラーンするには、自分の関わるプロダクトを強く意識して、そのプロダクトに対して自分のアウトプットがどれだけインクリメンタルに正の影響を与えたか、を追ってみると良いでしょう。この考え方はスクラムを運用していると当たり前なので、少し自分のミッションを離れてスクラムチームに入ってみると良いと思います。自分の仕事がどれだけアセット化されたか、どれだけが短期的なフローとして消耗されたか、を自覚して最適化余地を見出すきっかけとなるはずです。


4.まとめ

コンサルがスタートアップのBizDevとして活躍するためには、脱・コンサル思考が必須です。今回はコンサル思考をアンラーンする上で、特にボトルネックとなりやすいと思うポイントを自身の経験を踏まえてまとめました。

ポイントは

・机上検討はほどほどにして現場に出よう
・10%の完成度でアウトプットしよう
・一粒で何度も美味しい仕事をしよう

です。

こうしてみると当たり前のことしか言っていませんが、案外コンサル出身で仕事バリバリできるはずの方がスタートアップにはハマってる印象です。

コンサルで身につけたスキルは余すところなく活用できるはずなので、上手くコンサル思考をアンラーンして制御できるように意識すると良いと思います。きっと生産性が急激に改善して、周囲の期待以上の活躍ができることでしょう。


みなさまの素晴らしいスタートアップ人生に貢献できれば幸いです。

5.最後に

私の所属する Ubie Discovery では全業種積極採用中です。

愉快な仲間とともに切磋琢磨しながら世界一のプロダクト、世界一のビジネス、世界一の会社を創りましょう!

まずはカジュアルにお話を聞きたい、というご要望にもお応えしておりますので、ぜひぜひ一度採用ページをご覧ください。

We are extremely hiring !!!


Ubie ではコンサル出身者も多く活躍しています。彼らの note も合わせてご覧ください。


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