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未だに夢に見る


小学生の頃の話。当時のクラスメイト(今後はA君と呼ぶ)。

A君はクラスの人気者でまさに私とは真逆な世界の人間であった。私はA君といつも一緒にいたという訳では無いがクラスの人気者グループの一部に入っていた私も人気者だと勘違いしていた痛々しい小学生の頃の私。

グループで私は直接的なイジリやイジメは無かったとののどちらかと言えばイジられもせずただなんかそこにいる鬱陶しい奴、金魚のフンだと思われていたに違いない。

そんなとある日人気者グループで土曜日に遊ぼうということになりA君家に集まろうとう話になった。その当時は携帯など小学生であった為持ち合わせておらず自宅の電話で連絡網を頼りに友達の家に「○○君はいますか」と電話をかけて遊びの約束を取るのが日常であった。金曜日の夜A君の家に電話をかけ「明日何時に集合な」と話をした。その夜は楽しみであまり眠れなかった……ということは無かったと思う。普通に寝たと思う。記憶にない。

土曜日になり荷物を持ってA君の家に自転車で向かおうと準備をしていると珍しく父親がA君の家まで一緒に行くという事になった。なぜだろうと当時は思っていたが今では何となく分かってきた気がする。何となくね。

自転車を漕ぐこと約10分。A君のマンションに着きフロント(?)のようなところでA君の家のピンポンをするとA君が出た。

「ごめん、今日たくさん人が来ててこれ以上人が入れちゃいけないってお母さんが……。だから今日はごめんな。また。」

と言われてしまった。私はどうしたらいいのか分からず泣きそうな思いを堪えながら苦笑いをして父に

「なんか今日ダメみたい。人がたくさんいて。なんか、ダメだって。うん。」

と思い思いの言葉を発したと思う。思うと言うのは正直今ではもう父になんと言っていたのか覚えていない。記憶から抹消したのかただ純粋に忘れたのか。ただなぜか本当に辛かったのだけは覚えていた。その後父は「そうか」の一言だけ。2人で自転車を漕ぎ出し

「ちょっと早いけどマックでも食べて帰るか」

と父に言われてマックへ行った。

それからの記憶はもう微かにしか無いけどマックを食べて何事も無かったかのように父は振る舞っていた。きっと父なりの気の利かせ方であったのだろう。

それからというものそれがきっかけかは分からないがA君とは少しずつ距離が離れていった。正直小学生の関係などすぐに途切れてしまうものだと思っていたのでなんとも思わなくなっていた。A君側からしてもなんかいなくなったな程度で何も気にしてはないだろうなと思う。いや気にもしていないだろうな。

父が珍しく着いてきたのは何となく察していたのかもしれない。もし仮にあの時私は1人で行っていたのならばトボトボと帰る勇気もなく適当に時間を潰して夕方頃に笑顔で楽しかったと誤魔化していただろうなと思う。何はともあれあの時の父には本当に感謝している。

もう何年、何10年も前の話だというのに未だに夢に出てくるというのは本当に鬱陶しいと思うと同時にどこか懐かしさを思い出してしまうような。

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