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れいわ新選組とウクライナ戦争

2024/03/25

 頼まれて、れいわ新選組・大石あきこさんの宣伝カーを4日間運転しました。大石さんとは、国会議員になる前からの仲間です。れいわ新選組の集まりにいくと若い人たちが多くてうれしくなる。頑張ってほしいのですが……。
 れいわ新選組の政策の中で、ウクライナ戦争についての考え方は間違っていると思っています。いつか書かねばならんと思ってきたのですが……。

 3月23日に大石さんの選挙区、大阪市此花区で、小雨の中「増税?ダメ♥絶対!デモ」というのがあって、その後の「山本太郎とおしゃべり会」にも出たのですが、そこで、2022年3月、ロシアの侵攻直後に国会に提案された「ロシアによるウクライナ侵略を非難する決議案」にれいわ新選組だけが反対したことを批判する意見がでました。(れいわの公式チャンネルに動画があがっているのでリンクを貼っておきます)
 質問した方は「ロシアのウクライナ侵略が成功したら、中国による台湾進攻のハードルが非常に下がる。中国、北朝鮮、ロシアを甘く見てはいけない」という観点から決議に反対したれいわ新選組を批判しました。

 それに対する山本太郎氏の反論は、ざっとまとめると、「ロシアのウクライナ侵略は許せない! このことははっきりしている。しかし、それ以上に踏み込んで、G7諸国と一緒になってロシアに圧力を加えることはロシアと敵対することになる。遠く離れたウクライナのためにアジアで唯一G7と並んでロシアへの経済制裁を行なっているのは日本だけ。日本は経済制裁でロシアと敵対するのではなく、ロシア、ウクライナのどちらの側にも立たず、一刻も早く停戦を実現するために外交努力をすべきである」というものでした。(正確にはリンクした動画を見てください)

 その後、山本さんはウクライナ戦争の次のラウンドが東アジアにうつり、台湾有事が現実化する可能性があるという話に移り、台湾有事を煽って、それに火を注ぎこもうとしているのは日本だとして自民党政権批判を繰り広げました。

侵略戦争を止めるためにはロシアへの厳重な経済制裁が必要だ

 2022年3月、ロシアの侵攻直後に国会で議決された「ロシアによるウクライナ侵略を非難する決議」は非常に穏当なもので、「ロシア軍による侵略を最も強い言葉で非難」していたれいわ新選組が反対する理由はなかったと思いますが、それについては指摘するだけにします。そのうえで、れいわ新選組のウクライナ戦争に対する政策の中で、私が一番間違っていると思うのはロシアへの経済制裁に反対していることです。

 経済制裁に反対するということは、通常の貿易取引を継続すべきだということですが、どれだけ「侵略をもっとも強い言葉で非難」したとしても、ロシアと通常の貿易取引を継続することはロシアによる侵略戦争を支えることになるのは明白です。現代の戦争は国家の経済的資源を総動員した総力戦ですから、経済制裁によって侵略戦争を遂行する国家の継戦能力を奪うことができるかどうかは、戦争のゆくえを大きく規定します。

 じっさい、これまで平和な世界、公正な世界をつくるために闘ってきた世界中の人びとは、経済制裁を武器として使用してきました。二つの例をあげます。
 国連は1966年、南アフリカのアパルトヘイトを「人道に対する罪」として非難、武器禁輸、総会からの排除、スポーツボイコットなどを経て、1985年には安全保障理事会が加盟国に経済制裁を要請しました。こうした世界的な動きがアパルトヘイト体制の崩壊とマンデラ政権の誕生に寄与しました。
 国連を舞台とする南アへの制裁と違い、イスラエルに対するBDS運動は2005年に開始された国際的な市民運動です。イスラエルに対する「ボイコット、投資撤収、制裁」(Boycott,Divestment,and Sanctins)を求める運動は世界的な広がりをみせており、アメリカとイスラエルはBDS運動を繰り返し非難しています。昨年、伊藤忠商事がイスラエルの軍事産業と協力していることに対する抗議行動が取り組まれましたが、こうした闘いも「経済制裁」を求める闘いに含まれるでしょう。

 ロシアによるウクライナ侵略の前段、1994年から2000年にかけての2度のチェチェン戦争では、チェチェン人全人口100万人中20万人が殺されたと言われています。このとき、日本を含む西欧諸国はロシアとの経済関係を優先させて、プーチン政権によるジェノサイドを見て見ぬふりをしました。安倍首相はプーチンとの友情を公然と誇っていましたね。あの時の、西側諸国の(そして私たち、西側の左翼も)プーチンに対する融和的な姿勢が今回のウクライナへの全面的であからさまな侵略戦争につながったのは間違いないと思います。
 そうした教訓を踏まえれば、いまだにロシアとウクライナの「どちら側にも立たない」、ロシアとの間に対立を持ち込む「経済制裁には反対する」という政策がいかに間違っているかは明白ではないでしょうか?

 問題は具体的に立てられています。
 「JTIの(2020年度の)収益のうち36億ドル(当時の為替レートで約4000億円)が直接ロシアの国家予算に入った。これは、ほぼ毎日ウクライナの都市を恐怖に陥れているミサイルを搭載したロシア戦闘機100機の費用に相当する」
 昨年、ウクライナ政府はJTの子会社(JTインターナショナル)がロシアで操業を継続し、多額の納税を続けているのは、「戦争支援企業」であると非難して撤退を求めました。れいわ新選組は毎年ロシアに戦闘機100機分の金を納税しているJTに、ロシアからの撤退を求めないのでしょうか?

 日本はサハリンや北極海での天然ガス事業でも、欧米の企業が撤退するなかでロシアとの協力を続けています。日本政府は日本のエネルギー政策上重要だとして撤退を決めていません。ロシアに侵略戦争継続のための金を支払うのはやめるべきであり、ロシアの天然ガス依存から脱却するエネルギー政策を早急に確立すべきだと思いますが、れいわ新選組はそうした政策の立案に反対なのでしょうか?

 れいわ新選組は自民党政権とともに、既成野党も「やってる感を出しているだけ」だと批判します。あたっている面もあるかもしれませんが、少なくともウクライナ戦争に対する政策については、「ロシア軍による侵略を最も強い言葉で非難」しながら、ロシアへの経済制裁に加わって「ロシアと敵対すること」に反対するれいわ新選組の政策は、「やってる感を出しているだけ」と言われても仕方のないものだと思います。
 れいわ新選組がなぜこうした政策をとるのか? 台湾有事についてどう考えるのか? など、いっぱい書くことはあるのですが、長くなるので別の機会にします。

 伊藤忠がイスラエルの軍事企業と手を切ることを要求したように、JTがロシアから撤退することを要求しよう!
 ロシアとの天然ガス取引から脱却する新しいエネルギー政策を早急に確立しよう!

●リンクは【動画】山本太郎とおしゃべり会 2024年3月23日
「ロシア非難決議にれいわだけ反対した理由は?」という質問は 1:06:36からです。画面下にあるタイムテーブルの当該箇所をクリックすると簡単に開きます。(うまくできてるな)。

https://www.youtube.com/watch?v=yFpe9cWvuQA


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