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小説『消えた小説』全記録

日本文藝界初の「メタ私小説」を書く タイトル『消えた小説』その全取材ノート あらすじ 2023年3月。男は四十六歳。ADHDで双極性躁鬱だ。三年引き籠った九州で男はFX詐欺に遭…
⬛︎10名限定 アピールポイント「消えた小説」が書籍になった場合、書籍よりも安く読める。 随時、最新…
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2023年4月の記事一覧

三章、冒頭スケッチ(GM)20230430sun

3005文字+有料 ■ 三章(三月二十一日・祝) 「いいんだよ。おれは、余計なカネは払わねえんだ! 」  父の声だった。声は階下から聞こえた。男は取手をつかんだまま部屋に入りもどった。音はカチリ。小さく鳴る。だれにも聞こえないはずだ。しかし心臓はふるえる。  バイトに出勤する前だった。男はケータイをだして時刻を確認する。家をでるまでにまだ半時間の余裕はあった。  ラインに母からの未読メッセージがあって、男はひらいた。それは昨晩に送られたメッセージのようだった。 『

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男のアルバイトへの動機。(GM全記録)

5629文字+有料 「あきれちゃうよ、この子は。ブツブツと呪文みたいにおんなじことばかり聞いてさ」  男は黙った。 「リョーマ。もうさ、オザワさんにさ、洗い場に入ってもらってよ、いろいろと慣れるまで」 「はいよ」 「アンタも、言われる前にパッてみて。洗い場入ってよ。ほかの他人の仕事ばっかりのぞいて見てないでさ」 「はい」  男は洗い場にもどった。  そこから男はまた記憶はない。だれかになにかを言われた気はする。が、この時間帯の記憶は脳からすっぽりと欠落していた

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平坦な日常小説にドラマを作る。(GM全記録)フィードバック

62663文字

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店の雰囲気、男の緊張、オクサンのキャラ(GM全記録)

11840文字+有料  ミホと入れ替わりで店内に入るとディシャップではヤマさんが取り皿に黄色い粘土のようなものを練っていた。 「それはなんですか? 」  男はメモ帳を開いて訊(たず)ねる。 「マスタードだよ」とヤマさんは言う。 「和からしですね」男はメモ帳に記した。■十時五十分。和芥子練り。と男は記した。 「これは決まった時刻はないよ。手が空いたときでいいんよ」  ピッチャーの置きかたはヤマさんが教えてくれた。もち手の上部に◉印があるのとないのがある。 「それ

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人気動画、真実を書く小説家、視点の違い。

3480文字+有料  130万再生を叩きだす人気ユーチューバーの動画(エンタメ)。  無名の私小説作家。  どちらも真実だ。  びっくりした。原稿のスケッチが足りなくてネットサーフィンをしていたら、「男がバイトをした初日の動画」が、まんまアップされていた。  そのYouTube動画のコメント欄もほぼ好意的だった。  解釈は、視聴者(読者)に委ねられる。  作り手はどこを切り取るか。   どこを見るか、どこを読むか。  作家としては「闇」「弱い立場」からしか物語は描けない。

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男の性格(メモ癖)を道具で使う(GM全記録)

8320文字+有料  そろそろ立ち上げ準備のはずだ。  十時二十五分。男は、メモ帳に記した。 「どうだい? やっぱり良いじゃないか」  勝手口の敷居に仁王立ちをして腕を組んでオクサンは立っていた。 「先ずは、ぼくはなにをやればよろしいですか? 」 「最初は誰だって何もできやしないんだから、見てればいいんだよ」  まわりが一瞬、黙った。男は、パニックになりそうになって、咳きこむ。 「アキさん。マスクね。そこにあるよ」  ヤマさんは言った。  男は氷水のピッチ

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推敲、一人称に三人称をねじこんだボツ案?(GW全記録)

1044文字・無料 「ソウジ。だよ」 「ソウジ? 名前かな」 「そう、オキタソウジのソウジ」  男はソウジを見つめる。肌は色白でおもながだ。奥二重。焦点の定まらぬような円な眼はリョーマに似ている。 「新撰組の沖田総司だね。リョーマお父さん? は好きなんだね」  男はいった。  みょあ。ネコはのどを鳴らして、ソウジの足元をすりぬけていった。 「パパじゃないよ。バアがつけたんだ。カッコよくて強いんだ」  男はうなずいた。 「オシゴト。がんばってね」  迷って男はつるつるした直毛

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初日、さまざまなキャラの登場(GH全記録)

10979文字+有料  なぜそれらをメモしたのか。男にもわからなかった。バイトの初出勤で緊張して、目に映るものすべてを覚えようとしたのか。  自分はADHD(注意欠陥・多動性障がい)ではないか? 男は以前からそれを疑っていた。好きな小説やゲームはいくら時間を費やしても集中はできる。だが好きなこと以外に取り組むときや緊張をしたりすると、いろいろなわき見や独自の思考浮遊やとっぴな判断などの衝動が、脳から、とびでる。煙から蚤がぴょんぴょんとはねる。それらは身体にめぐって  数

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男(ADHD)の内観描写。(GH全記録)

2894文字+有料 「コノミチナリニ、ヒャクゴジュウメートルヲチョクシンシマス、モクテキチニツキマス」  男は、おや指の腹で地図アプリのタスクを切った。  遠くで大型トラックが豆粒になって連なっている。あれが県道だ。男はスマホの地図をもういちど確認した。顔を上げる。目をほそめる。額から汗が、メガネのレンズの内側に、たれた。県道の手前に広がる、緑一面の田園のなかに、店の赤色の看板がみえる。男が安堵のため息をつくと、手前に流れる水路の脇に生えた、真っ黄色の連翹(れんぎょう)

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AIには絶対に書けない物語に挑む。(GM全記録)

2502文字+有料  いまのAIは、一文に多義性をふくむメタファーを盛りこむとか、多義的な意味の暗喩、両義的な語で伏線を貼る、ミスリードの誘導、伏線(布石)の積み上げで物語の世界を拡張させるとか、できるのだろうか?   そのプロット構築こそが、読者が物語を読んだときに、かんで味がでる醍醐味だ。それをAIにやられたらもう、小説家はお手上げ。商売は上がったりだ。  キーッ。  男は急ブレーキをかけた。ロードバイクは前方につんのめった。後ろのタイヤは太陽を隠した。  やばい

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私小説を書いて判明した筆者の疾患。20230411tue299(GM全記録)

1064文字+有料  書いていてちょっと驚いた。私小説といえど、主人公「男」と「筆者」蒼井は別物(別人格)だと思っていた。  男のキャラと物語を書きすすめているうちに、「男」のある症状に辿り着いた。  ガガゴゴガガゴゴ。店の裏手の通路の入り口で二層式の洗濯機が音を立てる。みゃおああ、るろろろ。通路の奥の影から生き物が鳴く声が聞こえる。のどを震わせるようにゴロゴロ。ネコだ。一匹じゃない。十匹ほどは、いる。男は思う。二層式の洗濯機とプレハブと間に、彼らの自宅へと抜けるほそい

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風の強い日。本稿とスケッチの違い。20230410mon296(GM全記録)

2095文字・30min+有料  noteの日記の場合、書く前から頭のなかには出来上がった原稿はある。  書きだしは早い。誤字脱字チェックに時間を取られるくらいだ。  だが、小説の場合、章でも段落でもそのシーンのプロットは順序まで細密に立ててあるにもかかわらず、書き出せない場合が良くある。  このシーンに絶対に必要ななにかが足りない。  それが直感的にわかる。  今般は、主人公の男が中華料理屋のバイトの初出勤で、店の裏手にきた。  なぜかそこから男が動かない。だがプロット

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メインプロットを変えない推敲。20230406thu289(GM全記録・有料)

29041文字・300min 男の性格 膨らませても物語のメインプロット(筋)は逸脱しない キャラのせりふの掛け合い ネコの存在感   プロローグ 菜の花畑にて ■湯善納骨堂前の菜の花畑にて  目を覚ましたとき、男は菜の花畑に倒れていた。  鼻についた黄色い花粉を手で払い落として、男は顔をもたげた。男が乗っていた自転車はアスファルトの道の端に、スタンドが立てられた状態でちゃんとそこにあった。  男は上半身を上げて盗まれたりした物はないかと自らのからだの節々

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小説『GM』全ノートvol.9。直接的に書かれない背景を、どう描くか?20230403mon284

3626文字・120min 直接的に書かれない背景を、どう描くか? ⑴ 物語(舞台)のスケジュール(事件、場所、5W1H)は別紙にできるだけ細密に書いておけば物語の日程の矛盾は回避できる(井上ひさし)。 (2)(1)を踏まえて、背景の表出は氷山の一角(ヘミングウェイ)理論だ。 ⑶ この小説の男の背景の表出は新感覚派(川端康成)を参考に ◉男の足跡=物語では直接的には書かれない ☆回想で挿入される(物語のなかで日時が前後する) ■会話や書類:物語上に直接的に書かれる

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