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日々是短歌、ひりだす哉。

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素人俳句です。 手元に一冊「短歌研究2021年6月号」を持ち、それを頼り(ほとんどバイブル)に日々一首をひりだしていきます。
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2024年4月の記事一覧

エンタメ版のマクガフィンの問題 / 20240430tue(398字)

マクガフィンは小説や映画などのフィクションにおけるプロット・デバイスの一つ。話を進めるために用られる作劇上の概念。 ヒッチコックのマクガフィンの定義はプロットの進展に必要であるものの観衆はさほど気に留めないオブジェクト(ネックレスや書類)。対してジョージ・ルーカスは「まるでヒーローと悪役の決闘シーンのように観客を虜にするものでなければならない」と語る。 ぼくはルーカス版「悪役:綿鍋銀次」を物語に登場させた。とはいえ、マクガフィンだ。綿鍋銀次が死ぬと物語は急速に力を失った。

被せてくる港区の女 / 20240425thu(400字)

昼前。雨。 マッチングアプリを開く。 うな垂れる。 体重を訊ねてきた女だ。 返答に困る。太った体重を気にしているのだ。 これをデリカシーというのか。 「体重がなにか… 」 時間を置いて答えた。 「体重に合わせての運動がいいですよー」 僕のプロフを見たらしい。 彼女のプロフを見る。 五十二歳。港区。大卒。外資系企業。 海外へは五十五カ国に行った。機内でCAに声をかけられます。 旅行相手探し。食事に行きたい。ゴルフ相手が欲しい。 自分の話しかしない。対話は基本スルー。 マウン

妊娠検査薬(掌編) / 20240424wed(399字)

「今日はおれが出すよ」 「じゃおねがい」 結は翔の頬にキスをして玄関をでた。 靴棚の横にゴミ袋を落として翔はしゃがむ。 第六感は的中した。袋の底に、白い棒を見つけて、摘みあげた。 妊娠検査薬だ。判定線はない。 ドアに翔は背を凭せる。南の窓に曇空が見える。 ベランダの向こうに濃い葉がみえる。階下の桜の木だ。 背中が下にずるずるとさがる。尻がついた。 「結となら欲しいな」 昨年の今頃、翔は結に言った覚えがある。 翔は四十六。結は四十二。 結が孕めば生活は一変する。 結は変化を求め

実際に見たヤクザの話 / 20240420sat(400字)

二度ある。 初めは小学五年 ステーキハウス。 家族四人で食事のとき。 どん。 席に、瓶ビールが二本置かれた。白い服を着た男が立つ。 「飲んでくれや。蒼井さん」 「非番だ。家族できてるんだよ」 父はわらう。 「カテエこというなや。仕事じゃねえんだろ」 父はやんわりと断る。 男が戻ったボックス席に桃色と黄色のワンレンボディコンの女が居た。 男は女二人を抱えるように座った。 二度目は地元オートレース場の観覧席で。 二十五歳のうつで療養中。祖父に連れてきてもらった。祖父は元市会議員

突然、老いた瞬間。 20240415mon(400字)

先日のコメント。 老いをコラムで四百字にまとめる。至難だ。 折良く、村上龍の「オールドテロリスト」を読み返している。 あった。 428頁。 鏡に映った自分の顔と、ボロボロになった歯が、お前は老いた、という信号を発している。目の下がたるみ、黒ずんで、首の皮膚は張りを失って無数の皺がある。人は、ゆっくりと老いていくが、あるとき突然に、自分の老いに気づく。老いの自覚は、過去は絶対に取り戻せない事実を突きつける。抵抗のしようがない。 ぼくが老いを感じたのは京都から帰ってきてすぐだ。

1日が3時間に感じる。 20240413sat(394字)

一日が三時間に感じる。 二○一七年 京都にいた。 秋から春まで禅寺の寺男をやった。 三時半。真っ暗。廊下の濡れ拭き。足先は凍傷になった。 坐禅。読経。裏千家。軸。漢詩。初釜。 数年ぶりにフェイスブックを覗く。写真があった。 ネットに残る。時代だ。 当時は落語とジャズが僕の娯楽のすべてだった。 五畳間一万八千円。 風呂なし。トイレなし。 月初め。家主の家に、家賃を携える。 「君は若い」 「すぐに不惑です」 「私は八十過ぎだ」 「先日の山手の烏骨鶏はすごかったです」 「趣味だ。

400字日記をリニューアル!

400字日記をリニューアル! 日記に通底するテーマ 「すべては作家人生のために」 400字に入れること ➡︎日々に見た感じたもの(具象) 400字をどのような形式で見せるか? ➡︎「第三者がひとめ読んで内容がわかる400字にする」 別に、さいごに「短歌の31字を入れる」 つまり 「自由律日記」➡︎369字 「短歌」➡︎31字 合計400字で構成された日記スタイルだ。 注意 今日はレクリエーション記事です なので明日も本文はおなじ記事を載せます。 以下、四百文字

日々是短歌、ひりだす哉。 4/12(土) / 18

  826文字・15min 今日は俳句編です。 おそらく今日だけかな。 大阪にある心斎橋大学という文芸教室の「無料俳句zoom講座」を受講しました。 受講後にフィードバック纏め返信しました。 それをここにを載せます。 作家養成スクール 心斎橋大学さま 久保純夫先生の俳句の体験授業はとても楽しかったです。 大変勉強になりました。 大阪弁の先生の人となりが滲み出ていて見ていて楽しかったです。 昔付き合っていた岸和田出身の元カノを思い出しました。 北摂あたりのご出身

日々是短歌、ひりだす哉。 4/11(木) / 16

:前置き 短歌の基本31字に収める(自由律ではダメ)。 その修練を積みます。 神戸より端午のお礼のハガキ来て 送り忘れた台座ながめる ■ミニ解説 写メ画像のまんまです。笑。 ペンフレンドの神戸の舞ちゃん(駄菓子好きの二児ママさん)。から鈴の鳴り物?の置物を送ったらお返事が。ですが手元には台座が…。端午の前にはまた送らないと。汗。 今日の玄人の二首(いっきに三首を選びました) 夫婦ともに異動になればリビングで「どうもどうも」と名刺交換 在宅のご飯はめんどう タッパーが

日々是短歌、ひりだす哉。 4/10(水) / 15

春うらら人で賑わう桜坂 次女のパパ活を見てこころざわつく ■ミニ解説 これが浮かんだ時に思ったことを書きます。短歌も小説もおなじで「一人称視点で描くパンチ力」みたいなものを感じました。俵万智さんも他の作家さんも一人称で書かれたものが読み手の胸に強烈に迫ってくる。三人称よりも強く感じますね。 今日も短歌研究がないので、 自作の駄作をもう二首載せます。 ガザ地区ロシアウクライナ死者は依然増えつづけ 春うららかかな新宿御苑 ■ミニ解説 ちなみにぼくはノンポリです。場所は前橋

日々是短歌、ひりだす哉。 4/9(火) / 14

手をつなぐ父と息子のシルエット微笑ましさより羨ましさかな ■ミニ解説 一昨日の出来事。図書館の駐車場から歩くと、前から、家族の笑い声が。こんな幸せな家族ってあるんだ〜。ほほえましく後ろを歩く。中学生ほどの男の子の手とお父さんの手はしっかりと貝殻むすびだ。ふと思った。四十年以上じぶんは父親と手を結んだ記憶がない。 ■□ 今日の玄人短歌二首は手元に短歌研究がなく、ネットから引っ張ってきました。 花の色は移りにけりないたづらにわが身世にふるながめせしまに 小野小町 【

日々是短歌、ひりだす哉。 4/8(月) / 13

「ほらこっち」ねこじゃらしふれどまんじりともせず タマが見るのは主(あるじ)の視線 ■ミニ解説(コラム?) ウチの猫は冷静なのか主人があやすのが下手なのか? 乗ってくると狂ったように「獲物」を追いかけるがあ。けれど乗ってくるまでは冷めている。女の心理に似ているか。が、一旦獲物を仕留めてしまうと「もういいや」ってなる。男っぽい。とはいえ猫は自分の都合で甘えてくる。男にも女にも猫っぽいところはある。 今日も俵万智特集です。(以下は、YouTuber祐真(スケザネ)さんの講評で

日々是短歌、ひりだす哉。 4/7(日) / 12

⑴ 朝布団からなんだこの閉塞感は 梅雨今年も訪れし古傷のごとき ■ミニ解説(と自己分析) 意味は「梅雨の訪れを感じる朝の布団の中の閉塞感」なのだが。 noteにアップする一分前まで⑶の句だった。 とつじょ上の句に変えてアップした。 「なんだこの閉塞感は?」みたいな感じ(ことば)が急に頭に思いついた。「こういう描写はなんか個人的にいいな」と思って急遽変更した。 作った手順は⑵➡︎⑶➡︎⑴だ。 ⑵目を開けずとも 古傷みたいなこの感じ 今年もきたな梅雨の始まり さいしょに頭に

日々是短歌、ひりだす哉。 4/6(土) / 11

春のどか水面で羽を洗うは雀か雲雀(ひばり)か 黄味がかった口ググればムクドリ ■ミニ解説 じつはこれはかなり時間をかけて文字をいじった。季語(のどか)をどこに入れるか? とか。粘土のようにこねくり回した。結果、分かったことは、いまのじぶんは短歌にかんする腕が足りない。圧倒的に知識と技術が足りない。これじゃじぶんが楽しめない! そうだ! まずは楽しまないと。 ということで、ここで放置することに。 久方の光のどけき春の日にしづ心なく花の散るらむ  紀友則『古今集』 ■ミニ