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物体X(スライト・リターン)

君が新聞紙の空の下を歩き、
「インク」の太陽の下を進むとき、
世界も、一面から社会面へと通り過ぎる。
もしも君が世界と歩き始めるとき、
けして走ってはいけない、
パールに似た輝きを通り過ぎるまでは。
それは暖かく、そして冷たい。
物事にはいくつもの側面がある。
夜と昼とではどちらが先でどちらが後か、
「答え」とは、何層にも重なるレイヤーケーキ。

君が土砂降りの中を歩き、
「情報」の洪水を進むとき、
世界は、真実と虚偽とを通り過ぎる。
世界が街なかを歩き、
「地域」の路地を抜けるとき、
君は、実像と虚像とを通り過ぎる。
それは君を笑わすか、あるいは憂鬱にさせるが、
君は心の感じるままにいなくてはならない。
壊されるか、癒されるか、それは君次第、
「真偽」とは、感情のないボイスレコーダー。

君が浜辺を歩き、
「関心」の海に沿って進むとき、
世界は、「自然の嘆き」を通り過ぎる。
世界が砂漠を歩き、
「無関心」の森の中を進むとき、
君は、「未来の貧困」を通り過ぎる。
「エコロジー」は取引の道具ではない。
同じく哲学で解決できるものでもない。
「エコノミー」が倫理によって語られるとき、
君の歩みは忍耐強さが求められるーー

君が暗がりを歩き、
「争い」の夜を過ごすとき、
世界は、昨日から明日へと通り過ぎる。
世界が明るみを歩き、
「平和」の朝を迎えるとき、
君は、喜びと悲しみを通り過ぎる。
刻一刻と君は死に近づく。
限られた時間の中では勇気が必要。
目を開けて、呼吸する、
「知性」とは、会話するふたつのポートレート。
それは世界を写し、君を写す、
君が英雄なら、世界は君の道化で、
君が道化なら、世界は君の英雄ーー
「類似」し合うふたつの肖像、
君と世界は「新しい時代」を通り過ぎていく。


サーカ・Aより
「さぁ〜て、来週の『サカ・Aさん』はぁ〜?」
「フネです。
 サーカ・Aの書く詩を、単なる映画のタイトルや俳優の名前の羅列にすぎないという批判は、当たらずも、遠からずで、サードシーズン(そんな物があれば)は、単に人の名前だけを並べる作品を構想しているそうです。タイトルは『電話帳』になるだとか。ウフフ、どうかしてますね。
 さて、来週の『新聞紙の空よりの物体X』は、最終回『さよなら透明人間』の一本です。」
「デゥワッ、フッフーン」

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