土曜の夜に

土曜の夜に少年たちはどこへ行くのか。
トムがジェリーを見つけ、ケンカを売る。
ロボコップが散文を、ジェダイが詩を書き、
ジャニス・ジョプリンは宝石を鳴らし、
子守唄を歌うーー
土曜の夜に。

土曜の夜に少年たちは何を騒ぐのか。
カフェやバーは隠れる場所がいっぱい。
少女たちはみんな知っている、
隠したって、ピノキオの鼻は
嘘で伸びることをーー
土曜の夜に。

シンデレラが0時の汽車を待っていると、
ローリング・ストーンズが『むなしき愛』を歌う。
「汽車の後ろにランプが２つ、
青いのはブルース、赤いのは俺の心」と。
彼女は泣くのをこらえていたっけーー
土曜の夜に。

ギャンブラーに、詐欺師に、ポン引きたち、
うまい話もちょっとの隙で調子が狂う。
ホステスがワインを片手に近づき、
お前の時計から時刻を盗み出し、
それをお前自身に買わせるのだーー
土曜の夜に。

土曜の夜の恋人たちはどこへ行ったのか。
ドラマにしか、嫉妬も嘘も出て来ない。
ホテルは空っぽ、男も女も家で妄想中。
私が想いを寄せるのは、石よりも冷たい女、
おおベイビー、強く抱いておくれーー
土曜の夜に。

「信頼」は万能で、何でも買える。
信頼を両替し、ギャルのパンツに突っ込め。
古い友人がお前に信頼を貸してくれと言う。
「つき合い」は厄介で、過去に縛りつけ、
お前を立ち去れなくするーー
土曜の夜から。

土の下から世界遺産が見つかると、
記者や野次馬が飛んでやって来る。
政治家は叫ぶ、「税金を食い物にしてやる」と。
穴だらけの街は今に心臓発作を起こし、
あっけなく死ぬだろうーー
土曜の夜に。

吸血鬼が夜空を飛び、狼男が月に吠える中、
フランケンシュタインは部屋で独りぼっち。
彼の孤独はグラスの底で溶け、
シーモア・グラースの死に染み出した。
あるいは『ライ麦畑』にーー
もしくは土曜の夜に。

あの頃の私はお前の行く所について回り、
意味も知らずに、お前のやる事を真似した。
今のお前は死人ーーもうすぐ塵になる。
私が弔おう、そうしなければならないのだ、
かまいやしないよーー
土曜の夜じゃないか。