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1万円を握り締めて熱海へ行け。
疲れてた。
そんなことはないと思っていたけど疲れてた。
転職して、新しい環境で働いていたから疲れは確かに普段より蓄積されていたけど、気晴らしに飲みにも行ったし旅行にも行っていた。自分の中ではちゃんとリフレッシュ出来てると思ってたけど自分の事がコントロールできない事があって「あ、ちょっと疲れてる」のかもと薄々思うようになっていた。
天気予報見ると明日は晴れ。
休み。
誰かに声をかけてご飯に行こうか?
買い物に行こうか?
気が乗らない。なにしよう?
温泉。
温泉に行きたい。
でもどこ?都内のスパ?それもいいけどせっかく天気が良いのに都内はちょっと違う。
そうだ。熱海。熱海に行こう。少し前に話題になったFuuaがいい。
一瞬誰か誘おうか迷ったけれど誰にも声をかけずに行くことにした。1人旅、は慣れてるし何も特別なことではないけれど誰にも「熱海に行く」と言わずに行く熱海はすごく特別な感じがしてワクワクした。
朝。1人で行くから出発時間は何時でもいい。
のんびり洗濯して、ゆっくり化粧をして。服を選んで。誰とも会わないから「これは前回着てたな」「ちょっといつもと違うイメージにしたいな」とか考えなくて良いことに気づいたし、自分が思いの外「他人」を意識して行動してることビックリした。
日々の、小さな積み重ねが蓄積して私を疲れさせていた。
時刻は特に調べず家を出て、JRの駅へ。グリーン車に乗るのは決めていた。1時間以上電車に乗る時はグリーンをチョイスするのだけれど誰かと行くとグリーンを提案するだけでもちょっと気を使う。
グリーン券を買うのにモタモタしていたら目の前で電車が行ってしまい。でも1人だから誰かに謝る事しなくて良いし、誰かのせいにする必要もない。(そもそもギリギリになったのも車内で食べるお弁当のチョイスに迷っていた)
次に来た踊り子号に恐る恐る乗車。結局グリーン券とほぼ同額をプラスすればいいだけだったから結果オーライ。平日昼過ぎの踊り子号は空席だらけで最高。
とにかく天気の良い車窓を眺めながら、ちょっといつもとは違うビールを飲んで、お弁当をつっついて。日常から切り離したくて旅行する時は決まってSpotifyで聞いたことのない曲がながれるプレイリストを聞く。
昼過ぎに着いた熱海は駅前は思いの外混雑していた。帰宅前にお土産を買う人、宿のバスに乗り込む団体、足湯に浸かる人。少なくとも数日以上前からちゃんと予定を組んでやってきたであろう人々の空気の中に突然昨日思い立ってやってきた1人の私。そんな私の事情なんて誰も知ることではないけどちょっとだけ楽しくなって、シャトルバスは乗らずに商店街を通り海沿いを歩いて向かうことにした。
本当に天気が良い日だった。
沖縄の開放感とは違う、しっとりとした海沿いの景色。
ふらふら寄り道しながら2.30分。不安になるような熱海城(と秘宝館)へのロープウェイを横目に着いたのは後楽園ホテルに併設されているオーシャンスパFuua。
知ったきっかけは忘れたけれどたぶんTwitterか何かだろう。
相模湾と繋がるように設計されている立ち湯露天風呂の写真があまりにも素敵で忘れられなかった。
今年オープンということですごく綺麗。清潔。
簡単な説明を受けて館内へ。
館内着は作務衣型とワンピースの2つからチョイス。バスタオル、フェイスタオル、岩盤浴用のタオルが貸し出し。
アメニティ等々はごくごく一般的な物だし、必要最低限は揃っているのでそれ以上を求める方はご持参を。
体を洗って、内湯やサウナを横目にはやる気持ちを抑えながら念願の露天風呂へ…
ちょうどよい温度…立ち湯独特の浮遊感…そして…
目の前に広がる
絶 景
目の前には海と空。そして湯に浸かる裸の私。
この無抵抗感。空は広いし海も広い。
左右に長い湯船も、人との距離を離すことができて自分の心地よいパーソナルスペースを確保できるから素晴らしい。
あぁ…熱海まで来てよかった。どんどん心に積もっていた疲れの塊のようなものが解けていく。ザバッと流れるお湯とともに消えていく。誰か誘えばよかったかな?そんな事も頭をよぎったけれど、たまには誰にも気をつかず自分をとことん労るのも大事なのかもな。と思うことにした。
誰かと一緒にいることが辛いわけではない。ただ、私の場合「誰かを喜ばす」ことに注力しがちで気づいたら幹事役になる事が本当に多い。なるべく無駄がないように。みんなが楽しめるように。嫌いじゃないけどふと、気づいたら小さな気遣いが積み重なって重荷になっていた。
露天風呂の話しかしていないけれど、ロウリュやプラス料金払わなくても入れる2種類の岩盤浴、様々なスタイルの椅子やベッド、サクッと読みやすい雑誌。そしてビール。
全て説明するつもりはないけど、どこにいてもまったりできる、素敵な空間でした。
結局6時間滞在したことで察してください。
自分の機嫌は自分で取る。
私はこの言葉がすごく大好き。
まさに、今回の日帰り旅は自分の機嫌を自分で取った。そんな旅だった。そして、どーにもならなくなった時に駆け込める、秘密の場所のような存在が出来たこと。それも嬉しかった。
友人に紹介はするけれど、たぶんここには1人で来ることになるだろうな。それでいい。
交通費+入館料+飲食費ザッと1万円。疲れてどうしよつもなくなったら1万円を1枚握りしめて、熱海でご自愛下さい。(都内近郊に…限るけど)
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