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デンマーク留学 学校見学レポート

こんにちは!デンマークに留学中のきりです!

私の留学テーマは「教育」。

デンマークにある、日本人補習校に見学に行ってきました。
今回は学校見学レポートとして、学校見学に行って感じたこと等を投稿したいと思います。

そもそも補習校とは?

現地の学校や国際学校(インターナショナルスクール)等に通学している日本人の子どもに対し、土曜日や放課後などを利用して国内の小学校又は中学校の一部の教科について日本語で授業を行う教育施設。日本人学校と同様、現地の日本人会等が設置運営主体となっています。国語を中心に、施設によって算数(数学)、理科、社会などを加えた授業が、国内で使用されている教科書を用いて行われています。(文部科学省)

https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/clarinet/002/002.htm

今回私が訪問した日本人補習学校は、滞在者子弟の学力の維持向上および帰国後の本邦学校教育への円滑な復帰を図ることを主たる目的として設置され、生徒保護者によって運営されています。
日本の学校と同じ教科書及び教材を用いて、小学校と中学校の国語と算数/数学の授業を日本語にて行っています。 毎週必ず宿題が出され、漢字小テストは毎週、全校テストは年間二回実施しています。

-1日の流れ-
朝会 8:45-8:55
HR 8:55-9:05
1時間目 9:05-9:50
2時間目 9:55-10:40
中休み  9:55-10:40
3時間目 11:00-11:45
4時間目 11:50-12:35
昼休み 12:35-13:05

詳しくはこちら↓

補習校が抱える難しさ

日本語力の差

補習校には、留年制度を設けている学校があります。日本語力、学習成果が足りていない場合、同じ学年をもう一度行うことになります。これは補習校の目的が、学年が上がることよりも、日本語を身につけてもらうことに置かれているからです。テストの結果などから学校から提案することもありますが、保護者からお願いされることも多くあります。そのため、補習校のクラスには、同じ学年に違う年齢の人がいることもあります。

留年制度があっても、クラス内には日本語力の差があるそう、、。帰国の意志が強い家庭。帰国する予定はないが、日本人のアイデンティティとして日本語を学んでもらいたいなど、親が求める日本語力に差があるため、どうしても子ども達に日本語力の差が生まれてしまうそうです。

今回訪問した学校は、日本から来た子は1-2割程度で、ほとんどの子たちがデンマークで生まれ育っています。

補習校には、学力の差ではなく、日本語力の差という難しさがあります。英語や現地語で、数学の計算はできるが、日本語の文章題は苦手。日本語の会話はできるが、音読、書きが苦手など、それぞれがそれぞれの課題を抱えています。補習校の講師は、子ども達それぞれに応じた支援をする必要があります。

年間授業数の少なさ

補習校は週1回、土曜日にしか授業がなく、年間38日しかありません。
たった38日で日本の1年間の内容を実施しなくてはなりません。補習校の授業だけで全てをカバーするのは不可能です。そのため、宿題が多くあり、家庭学習の時間が大切とされています。補習学校は、家庭学習の補習ともいわれるほど、家族との日本語の会話の時間や、宿題の時間、読書の時間などが大切です。

運営・教師

週1回しか授業がないため、文部科学省からの派遣などはなく、独自で採用している補習校が多くなっています。半分くらいが教員免許を取得している人で、その他は、塾や家庭教師で教えた経験がある人でした。
補習校だけで働くのでは、ビザの関係上等不可能なため、多くの講師、スタッフの方が、平日他の仕事をしているか、学生の場合が多いそうです。

授業スタイルは講師によってさまざま。黒板・ホワイトボード・スライド等を使って授業をしていました。どの学年も担任制がとられており、担任の先生が国語・算数/数学を教えており、TAの方がサポートをするという形です。運営の都合上、中学生も、国語・数学を同じ先生が教えていました。

場所確保

補習校は独自の校舎をもたず、施設を借りている場合がほとんどです。
学校を借りている。ということは、目に入る文字は、英語や現地語。
日本語を学びに来ているけれど、日本語を学校や実際の生活をしている中で見かけることはほとんどありません。学校生活のなかで自然と日本語が目にはいるということはないため、家庭で読書をするなど、意識的に日本語を読む環境作りが大切だと言えます。

さらに、貸してくれている施設の都合で施設の移動をせざるを得なくなったり、貸してくれている施設が土曜日に学校を使う場合は授業が行えなくなったりすることがあります。土曜日に施設が使えない場合は、オンライン授業が開催されたり、少人数クラスは講師や生徒の家に集まって実施したりすることもあります。

日本文化を伝える難しさ

海外で生活していると、日本文化を体験する事は困難です。補習校では、新年特別授業というものを設け、デンマークでは体験することのない、日本の新年の文化(書初め、年賀状、凧揚げ、コマ回しなど)を授業で体験する活動を実施しています。

見学を経て

バザー

訪問した日はホールでバザーが行われていました。売上は補習校の運営費に使われます。
保護者が家から不要でまだ使えるものを持参したり、お菓子をつくって売ったり。休み時間に子ども達がバザーで買うことが可能で、大盛況でした。話を聞くと、現地校でも同様にバザーを実施しているそう。セカンドハンド文化が普及しているデンマークでは、学校にいるときからその文化を体験していることを実感しました。学校の行事として、いらないものを売る、お小遣いを考えて使うという体験をできる素敵な行事でした。

アイデンティティ

海外に暮らす子ども達。日本人とのハーフ、両親が日本人で仕事の都合等で海外に住むなど。ヨーロッパで現地校に通っていると、日本人、アジア人のルーツ(髪色など)を持つ人が少ないそうですが、補習校に来たら同じような子たちがたくさんいるという安心感を感じられるそうです。
日本語を学んだり維持したりするだけでなく、同じようなルーツを持つ友達に出会えたり、アイデンティティを確立するのに補習校は役立っているのではないかと感じました。

まとめ

今回、補習校の見学をさせていただき、普段は現地語または英語で話しているであろう子どもたちが、一生懸命日本語を話していたり、授業ではお互い助けあう姿がみられ、補習校の暖かい雰囲気をたくさん感じることができました。

週1回しかない。そのなかで日本語を習得するのはなかなか難しい。どうしても家庭次第になってしまう。

保護者主体で、みんなで作り上げる。運営、経済面の難しさ。

現地で生まれ育った子は現地に染まっている。
でも、日本人補習校で日本語を話しながらたくさんの笑顔を見せてくれた子ども達。

補習校の運営にはたくさんの難しさが伴います。
でも、子ども達にとっても、保護者にとっても、日本語で学ぶ、日本語を維持・向上するためだけでなく、同じようなバックグラウンドをもつ人たちに出会える場所として、必要不可欠な場所なのだと感じました。
もっと、補習校の運営がしやすくなる支援などがある社会になればいいなあと感じました😳

普段は日本の教育とは大きく異なる教育を受けている子ども達。
この子たちが日本の学校に通うことになったら、きっと大きな壁を感じるんだろうな。

これまで、補習校や日本人学校、インターナショナルスクールについて学んできたけれど、

教育の立場から、この子たちを受け入れられるようなクラスづくりや、支援がもっと広まる必要があると改めて実感することになりました。

まだまだ考えていきたいです。

きり



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