ハッサンは「3種目の会(通称:チームクレイジー)」の会員増という野望を持つ
陸上ファンにお馴染みのシファン・ハッサン。
今大会もワクワクドキドキさせる走りで楽しませてくれているけれど、ミックスゾーンでも「ハッサン節」を炸裂していた。
「ヤコブスが将来的に3種目(1500m、5000m、1万m)に挑戦するかもしれないが、どう思う?」
ノルウェイメディアにそう問われた時のことだ。
ハッサンは待ってましたとばかりにこう答えた。
「挑戦するなら私は全面的に応援します。レッツゴー!」
そう言いながら、ハッサンは右腕を大きく上げる。ヤコブスを応援する気満々といった感じだ。
記者たちから爆笑が起きると、ハッサンは満足そうな表情で頷きながら去って行った。
思い起こせば2年前、東京五輪の際にハッサンは「クレイジーって思われるけど挑戦は楽しいし、楽しい方がいいじゃない」と言いながら、猛暑の東京で3種目に挑戦した。
昨年のユージーン(オレゴン)世界陸上では東京の疲れもあったため2種目にとどまったが、田中希実の3種目挑戦に対し「私はいいと思う。クレイジーだっていいじゃない。しっかり練習しないとできない挑戦だよ」と田中を後押しした。
田中の3種目挑戦に刺激をされたのか、ハッサンは今大会で東京五輪に続き再び3種目に挑戦している。1500mは銅メダル、1万mは最後に転倒はあったものの、「チームクレイジー」の発起人かつリーダーの名に恥じない活躍を見せている。
先日、ハッサンに田中について尋ねた際に、「私のように3種目に挑戦したんだよね」と答えていた。
その口ぶりから、ハッサンの中では田中はすでにチームの一員になっているような感じが窺えた。田中自身がチームの一員と認識もしくは納得しているかどうかは分からないが、ハッサンは田中を「うちの子」と思っているように思えてならない。ちなみに昨年、ハッサンは5000mのレース後にナンバーカードとオランダのTシャツを田中にプレゼントしているが、もしかしたらあれは会員証代わりだったのだろうか。田中が受け取った時点で自動的に入会してしまったのかもしれない。
そんな冗談はさておき、ハッサンは世界陸上から6週間後に行われるシカゴマラソンに出場予定で、今回の世界陸上は「マラソン練習の一環」だと話す。スピードを維持しつつ距離を踏む練習をしているものの、1500mや直線でのスプリント勝負に太刀打ちできるスピードはなく「キピエゴンのような素晴らしい選手と走れて幸せ」とニコニコ話してくれた。
4月のロンドンに続き、10月のシカゴを走るわけだが、気になるのはパリ五輪だ。もしシカゴで2時間15分を切るようなレースをしたら、パリはマラソンに挑戦するのだろうか。それともトラックで数種目もしくは1万mとマラソンなどという形になるのだろうか。
もう一つ気になるのは2025年の東京世界陸上だ。
怪我なくキャリアを積んで行ったら、東京ではもしかしたら1500m、5000m、1万m、マラソンの4種目挑戦をしてしまうのではないか、と思ったりしている。ハッサンだったらありえなくもない。
観る側をワクワクドキドキさせるハッサンは、色んな意味でエンターテイナーでスターだと、つくづく思う。
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