照れきゃす

あんそろぽろじ

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最近の記事

日記⑴

 海を望む小さな通りに面したその古民家は、最初、敵だった。  些細な汚れや埃やにおいや、最後にいつ人が住んでいたのかもわからない生活感の欠如が、疲労でいっぱいの私を苛立たせた。冷蔵庫から来る腐臭を悪戦苦闘しながら取り除き、コンロの油汚れを丁寧に拭き取り、食器をひたすら漂白した。少し不貞腐れた表情のネコが描かれたマグカップを戸棚に見つけ、丹念に洗って、コーヒーを淹れた。トイレを隅々まで拭き、洗面台にこびりついた髪の毛を集め、風呂場に潜んでいた3匹のナメクジに塩をかけた。同居人た

    • 問い

      次の問いに答えよ。解答時間は60年とする。 お金で買えない大切なものを手に入れるために、私はどれだけのお金を諦めることができるか? 死ぬまでの間に、iPhoneの数字はどこまで辿り着くか? 自分一人だけが受験したテストで100点を取ったとして、私は喜ぶことができるだろうか? 「自由意志」によって尊厳ある死を選択することが法制化された社会が、訪れるべきだろうか?もしそうだとして、私はそうした死を選択するだろうか? しめじはギリギリ食べられる味をしているのに、エリンギか

      • わかっているのだ

        なぜかちょっぴり、眠りに落ちようとするのが億劫になる、 テディベアとお話しができそうな夜更け。 楽しい1日を過ごしたはずなのに、自分のやりたいことをやって終えた1日のはずなのに、 なんとなく満たされないというか、このまま眠ってしまうのがどうにも辛いような、 そんな気持ちになるのはなぜだろう。 今日は、バンドの練習がいくつかあった。 私が所属している軽音楽のサークルは、固定のバンドメンバーでやっているわけではないから、 曲ごとに人を集めて、何回か一緒にスタジオに入って練習す

        • へんてこな手術

           まったく骨の折れる人生であったが(齢19にして言うことではない)、幸いなことに、人生で一度も骨折をしたことがない。  そういえば、骨折しそうになったことはある。小学5年生のとき、小さな自転車で30㌔ほどの速度を出しながら夜の闇を疾走していた。なにかに取り憑かれたかのように、100均で買った火薬を入れるタイプのピストルのおもちゃを片手に、公園のベンチに座るカップルを大声でからかいながら、塾の友達と爆走していた。向こう側から来る車を避けようと思ったわたしは、道路と側溝の境目に

          わたしの嫌いなもの①

          シンガーソングライターのコレサワは歌った。「好きなものが一緒よりは、嫌いなものが一緒のほうがいいな」と。(「あたしを彼女にしたいなら」より) そこで今回は、わたしの好きなもの……もとい、嫌いなものをいろいろ好き勝手にリストアップしてみようと思う。このnoteを読んで意外な共通点が見つかったり、はたまた「こいつ…こういうやつなんだな」とゆーのが少しでも伝わったりしたら嬉しい。それではさっそくいってみよう。 1 きのこ 嫌いな食べ物の代表格である。もし他

          わたしの嫌いなもの①