わたく詩

この文章は文学サークルお茶代の10月課題です

“無音”

バス停はどちらでしょうか
旅人は聞く
一つ結びの少女は答える
あっちです
きりりとした眉と揺れる髪
ありがとうございますと
旅人は応える
少女はあの、と声を振り絞って聞く
どうすれば 旅人になれますかと
彼はポケットから
サクレクールの写真を渡し
大きくなったらここに行くといいと
秋風に乗り 彼は去る
パリの風を 彼女は夢想する


私と詩


詩の出会いは小学生のころだったか、幼稚園の頃だか忘れた。生家の近所に、小さい図書館があり、よく通っていた。まどみちお、谷川俊太郎、関根栄一の言葉遊びに心酔していた。短い言葉で情景を示す表現方法にも魅了された。
国語の問題集に出典される詩や文章が好きで、課題の範囲外なのに読んでいた。
詩、というものをより強く意識し出したのは中学生の頃だろうか。誰もが熱病にかかったようになるが、私ももれなくその類で、ノートの切れ端に思いを書き殴った。お手本は椎名林檎、フジファブリック、ストレイテナーだった。どうやら私は詩を読む時、頭に映像を思い浮かべるタイプで、それらが映画的であればなお癖に刺さる。あとは京極堂と、ラノベを少々。「キノの旅」というライトノベルがあって、色々な国を旅する主人公に憧れたものだ。細かなストーリーは忘れたが、短編集のようで、国ごとに小説のテイストが変わって楽しく読んだ記憶がある。


秋と詩

肌寒くなり、日が落ちるのが早い。私は人肌恋しくなる、というより言葉に縋る季節になった。大人になった今、ポール・ヴェルレーヌの「秋の歌」を口ずさむ回数が増えた。
少し遠出をして、見知らぬ土地の見知らぬ神社に参詣する。集落に現れる、こぢんまりとしたその社は、地元の人たちによって建て替えられたのか小綺麗にされていた。近くを流れる川を眺め、文字通り“心の洗濯”を行う。
不必要なものを削ぎ落とし、一つの言葉に込める作業はいくつになっても楽しい。ムーミン谷を旅するスナフキンに憧れながら、この詩を書いた。


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