出戻った先にでかい・・・

WBCの話をする。
WBCの話をするのはおじさんおばさんだけとか、野球ハラスメントとか言われるかもしれないが私は野球の話をする。好きなものを語るので野球嫌いな人たちはそっと好きなもの語る別会場に行ってほしい。久しぶりにWBCを見たらまた野球にハマりつつある超個人的記録である。沼っていうか命の泉というか温泉だった。

私は野球少女になりたかった女である。関西人の平均的家庭に生まれた私は土曜日には新喜劇を見ながらインスタントラーメンを食べ、ABCラジオやサンテレビで阪神戦を観ていた。祖父は高校野球のトーナメント表を自作していた。甲子園が近所にあり、夏休みに親にたまに連れて行ってもらったりした。ルールは自然に覚え、月曜日は前日のスポーツ番組の振り返りを巨人ファンの男子としていた。
小学3年生の時の担任教師が熱烈な阪神ファンで、「阪神が一位になったら宿題なし」という謎ルールが掲げられた。しかしその時阪神は大不調。首位など夢のまた夢であった。巨人ファンの男子は苦虫を噛み潰したような顔で阪神を応援していた。先生の名前は思い出せないが、その一年間で1度だけ、宿題なしになったことを今でも覚えている。

中学生になって初めて友達とだけで遠出をするようになった。甲子園にも友人と出かけた。春の選抜で、その当時から有名だった選手を見られたことは無名の私にとって自慢にならない自慢である。女子野球という概念があまり浸透しておらず、女子がするならソフトボールでしょう、ということで高校はソフトボール部に入った。弱小だったけれど楽しかった。当時人気だったプロ野球選手のモノマネをして、涙が出るほど笑ったり、練習なんてそっちのけでスポーツ紙を読んだりしていた。
ティーンエイジャーの貴重な時間を、恋愛やバイト等々、人間的経験値に割り振らず、音楽とお笑いと野球と映画に全て費やした。後悔は全くしていないしなんやかんや浅く広くミーハーな知識が雑談に役立つこともある。

社会人になって、テレビなし生活を始めたので自然とスポーツから遠のいてしまった。オリンピックは知らない間に始まって終わっていった。最近Abemaがワールドカップを中継してくれたのはありがたかった。けれども時差と自分の睡眠欲に抗えず、何試合かは見逃してしまった。
そして2023年。アマゾンプライムがwbcを放送しているということで、何気なく見てみるとでかい沼だった。
まず、メンバーがすごい。日本は元々強いが、今年はなんかもうアベンジャーズアッセンブルって感じなのである。アベンジャーズは途中でシビルウォーしてしまったが、侍ジャパンは本当に仲がいい。人見知りの選手がいても積極的に食事会を開くなどしてチームの雰囲気作りに余念がない。
そしてメジャーで活躍する花形選手だけではなく、バントや犠牲フライ、盗塁など一つ一つを決める渋い仕事をする選手が本当にたくさんいるし、誰かが不調であっても誰かがカバーする、そんな光景が見られて心踊るし、めちゃくちゃいいチームなんだなと素人目にもわかる。
何より楽しく野球をしているのがいい。

レジェンドであるイチローは「楽しんでいるうちはプロではない」と言っていた。その考えも一理あると思う。いかに冷静に、技術を磨いていくかというところも重要である。しかしヒットを打って感情を露わにしたり、チームのメンバーがナイスな動きをした時に全身で喜びを表現している彼らは、心底野球を楽しんでいると思う。見ているこちらまで楽しくなるし元気が貰える。

栗山監督は、ヌートバー選手を招集した時にこんなことを言っていた。

「世界がグローバル化していく。みんな手を取り合って仲良くできるために、いろいろなところで野球をやっている人たちが(代表に)集まることに、すごく意味がある。今の時代に、まだ戦争が起こる。もともと人はみんな1つだったはず。ヌートバー選手のように日本に来れば、野球の幅が広がる。スポーツは国境を越える。子どもの時に一緒に遊んでいた人と、戦争する気なんか絶対に起こらないと、僕は思っている」

https://www.nikkansports.com/baseball/news/202301110000798.html


野球は間と流れのスポーツだな、と思う。チームメンバー間、あるいはチーム間、攻守の間。技術ももちろんあるが様々な間が複雑に作用し、得点に繋がる。大逆転も起こり得るし、またその逆も然りなのである。この間を、私は心底楽しいと思う。ずっと見ていたいと感じる。



コロナ禍や様々な要因で遠のいていたスポーツ観戦だったが機会を見つけてまた甲子園に行きたいな、なんて思いつつ、明日の決勝戦をどうにかして見れたらなと画策している。

https://youtu.be/n-5ftqYjqBg



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