奥田民生になりたいガールとビヨンセになりたいレディ

数年前、「奥田民生になりたいボーイと出会う男全て狂わせるガール」というタイトルの映画を見かけて、「奥田民生になりたいなぁ」とかつてガールだった私は思った。
結局どんな映画か見ずじまいのまま、奥田民生を聞くたびに「ジャンル:奥田民生」よろしく「ジャンル:青井」として生きたいと憧れを胸に日々を過ごしている。そういえば、音楽好きがバレている美容院の担当のお兄さんに「奥田民生みたいになりたいんですよね」と言ったら「は?」みたいな顔をされたことを今思い出したけれど、まぁ一足飛びにそんな発言したら誰でも「は?」となるわなと納得している。

彼の飄々とした佇まいや、ギター一本とシンプルなコードながら、彼にしか出せない音みたいなものに憧れる。動じない、芯の強さ、そんな心持ちに惹かれる。
ガールなんて言えないけれど、今でも奥田民生になりたいと思っていて、同時にビヨンセにもなりたいと、新譜を聴きながら妄想している。
彼女をきちんと追っている熱心なファンというわけではないけれど、イヤホンから流れる彼女の力強い声を聞くと2018年のコーチェラでの彼女のパフォーマンスの如く闊歩したくなる。田舎道を。like ビヨンセで。

アルバムのレビューをするかと思いきや、そんなことはプロに任せておいて、さておき、奥田民生もビヨンセも「強い」んだと思う。前者はしなやかな強さ、例えがあっているかわからないけれど諸行無常、行く川の流れは絶えずして、流れに逆らわずにさすらう強さで、後者はここに川を作るからね!私はパイオニア!みたいな強さがあってどちらも好きだ。自身はものすごいプレッシャーだろうなと勝手にビヨンセを労ってみるが、ポジティブでパワフルなメッセージは聴く者の心を打つ。

自分の中のクィアネス、風変わりな部分というのは誰しも持っていると思っていて、それらとどう向き合って生きていくかどう折り合いをつけるか、表現するのか、あるいは胸に秘めて生きていくのか、どちらにせよそんな自分でも存在していいんだよと思えるようになりたいし思ってもらえる文章を書きたい、などと考えながら、地方都市における車社会特有の何車線もある道路に申し訳程度に付いている歩道を、ディーヴァの如く闊歩している。

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