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美しさと息苦しさ、生き苦しさ

ゴールデンウィークは暦どおりで、3連休と3連休の間に色々な映画を見、感想を書きたいなとのろのろと考えている間に休みが終わりそうだ。

連休の最終日に見た「ベルイマン島にて」が自分のストライクゾーンにはまってしまい、衝動のままに書いている。

ベルイマンの作品は未見のまま臨んでしまった。しかもミアハンセンラブ監督はEDENしか見ていない。ズブズブの素人の状態で行ったのだけれど思っている以上に物語にすんなりと入り込め、作品の魅力にため息ばかりつく羽目になった。

好きな作家や芸術家が、社会的に善人ではなかった時の葛藤や、パートナーとの創作に対する姿勢(物語を捻り出すタイプか、降りてくるタイプかで全然違うと思う)の違い。自分の人生を物語に反映させる葛藤。ベルイマンファンの知識披露合戦と、住民の冷めた対応。風景は美しいのに、出ている人間はどこか疲れ切った様子だったりする。

劇中劇も素晴らしく、実らなかった恋を描いており、エイミーのあざとさとヨセフの危険な香りっぷりがロマンたっぷりに描かれていて見事だった。その結末は描かれないのだが、ラストシーンでクリスが子どもとハグをしており、なるほどなぁと思った。

女性の創造活動と家庭の問題についても描かれていて、私はそれが心に刺さった。男性はベルイマンみたいに破天荒でも評価されるが、女性はどうだろうか。劇中劇でエイミーは一人の娘がおり、ヨセフに同時に二人の男を愛してはいけないのか、と聞く。それがとても切なかった。

冒頭でクリスが「この島は美しすぎて…どこか息が詰まる」と言っていたのも印象に残る。物語や創作物は華々しさを放っていても、「創る」という作業は地道な作業と多大な労力を伴う。それらが丁寧に描かれていて、素晴らしかった。

昔、好きなバンド同士の対談を雑誌で読んだ際に、彼らが「作曲や作詞は自分の心の黒い箱をずずっと開けて捻り出す」、「その時降ってくる音と歌詞を書き留めて曲にする」と対照的なことを言っていたことを思い出した。(記憶違いかもしれないが。)私も何かを書く際は考えを捻り出したり、言葉を選ぶことが多いので、とても共感したのを覚えている。

話は逸れたが、本作のクリスも悩みながら筆を進めていき、時にはパートナーの進捗状況を気にしたりする場面に少しだけ親近感が湧いた。

本当はもっと書きたいのだけれど、シットコムの観客ばりの「Ah.....」しか出ないのでこの辺で終わります。







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