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ENTP(女)とINFJ(男)カップルの日常③

彼と私は中距離恋愛なので、互いに行き来し合うが、ここ数ヶ月は彼の激務の隙間時間に合わせて、私が彼のところへ行くことが多い。

新幹線なら割とすぐで、バスでも数時間の距離なので、仕事終わりとか急な日程の場合は新幹線、そうでない時にはのんびりと高速バスを使うことが多い。(交通費の節約も兼ねて)

その日は彼が夕方から仕事だったので、
昼まで彼の家で一緒にいて、午後に東京の自宅へ帰る便を予約した。
初めての便で、バスの乗車位置を把握していなかったので、少し時間に余裕を持って彼の家を出ることにした。
彼も見送ってくれる、ということで一緒に
普段は乗らない地下鉄に乗って、駅前へと向かう。

余談だがこういう時、INFJ彼の行動は本当に男の鑑だと思う。
移動時に道では必ず自分が道路側を歩き、常に私の前後や隣に異性が異物が近付かないよう配慮し尽くしてエスコートし、移動時の乗り物でも必ず私を優先して座らせる。
もちろん隣に異性は座らせない。
荷物なんて小さいものすら絶対に持たせない。
これが外出時、常に徹底しているのは本当にすごいと思う。
愛の深さと嫉妬深さの成せる技というか…。


話を戻そう。
駅に着いて、バスの降車時に見覚えのあるロータリーが見えたので、
「多分あそこが乗り場だと思う」と私が言う。
何となく、高速バスのようなバスが停まっているのが見えたから。

彼は驚いて、「えっ本当に?あの場に行って確かめてきた方が良くない?」と言う。

お土産やバスで食べるお弁当など買いたかった私は、とりあえず先に買うもの買っちゃわない?と彼の手を引く。彼の方を振り返れば明らかに不安そうな顔をしているが気に留めず、以前も買ったお気に入りのお弁当と、(彼にも買ってあげる)、お土産を一通り購入。
そしてようやく先ほどのロータリー方面へ向かい
予約した会社のバスらしきバスが見えたので、足早に近付いていく。
……が、歩き始めてすぐに違和感を覚えた。
そのバスから、次々と人が降りてくるのだ。

「あれ?」

どうやら、想定していた場所は、バスの乗り場では無く、降り場のようだった。
では、乗車場所は……?

もう一度予約のメールを隅々まで確認すると、
なんと、、、乗り場は駅の反対側の出口だった。

oh...

その事実を伝えると、彼の顔からはさーっと血の気が引く。
瞬きの回数が増えて、どう見ても焦っているように見えた。
反対に、深呼吸して落ち着く私。

「え、どうしよ。これ、絶対間に合わないよね?
やっぱり色々と買う前に調べるべきだった…やばい。
僕の責任だ…どうしよう」

「大丈夫。大丈夫。
Googleマップによれば、ここからは早歩き5〜6分で辿り着くはずだから。(迷わなければ) 」

青ざめて右往左往する彼を、なぜか励ます当事者の私。
時計を見ると、発車時刻まで残り10分を切っていた。

「まあ……まあ、間に合わなければ、また僕の家に帰ろう。東京に帰るのは明日でも、ね…!
死ぬわけじゃないし。うん、うん。」

もう間に合わないと思った彼は、こんなことを口走り始めた。

「いや、大丈夫だって。間に合うよ。ほら、多分そこの出口」

Googleマップを頼りに謎の自信でガンガン突き進む私に、ただただ不安そうな顔で付いてくる彼。

ちなみに、二度ほど道を間違えた。
乗るべきでないエレベーターに乗ってしまったり、変な通路を突っ切ってしまったり、そもそも全然違う方角に向かってしまっていたり。

我ながら、結果的によくまぁ、辿り着けたと思う。

目的の建物の前に着いても肝心のバスが見当たらず、ぐるりと周遊して探すことに。その間も、とにかく焦る彼。
そして、私が木の陰に隠れていた目的の高速バスを、遠目に発見。

「あれじゃないー?」
「本当だ!あおい、走って!!」

走る、走る。
乗り場に着いたのは、なんと発車2分前。
乗務員さんが優しく対応してくれて、無事に乗車することができた。

お別れのキスをして、急ぎバスに乗り込む。
彼はその際に運転手さんに、どうか安全運転で…彼女をよろしくお願い致します、と一礼していた。
そんな丁寧なところが好きだなぁと思いながら、
窓越しにLINEで会話をする。

「なんでか、いつもギリギリで間に合っちゃうよねーアハハ!」

「だから焦らないんでしょ?」

「そんなことないよー流石に今日は乗れないかと思った!」

「君といるといつもヒヤヒヤする。それがとても楽しいけど。」

「ありがとう❤️」

こんなバスの一件でも垣間見える、私と彼の差。
真逆だなあと思いつつ、お互いに無い部分を補い合ってる感が、たまらなくもあるのだ。


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