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闘鷲降臨~20192020シーズン中間レビュー・ビッグマン&チーム編 #FE名古屋

つづき。

#15ソウ・シェリフ

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昨季終盤に日本に帰化。帰化選手として開幕を迎える初のシーズンとなりました。P&Rを多用してボールと人間を動かし、できれば速い展開で走るというバスケットは彼の資質には完ぺきにかみ合う、誰もがそう思っていたわけですが、ジョシュの足首が回復途上だった開幕節を除くと、まとまったプレイングタイムを得ることはほとんどありませんでした。

彼のように個人としての能力・ポテンシャルが高い選手が使われないとすると、何らかの問題を抱えている、と考えるのが通常の考え方でしょう。少ないプレイングタイムでの彼の動きをみると、チームが求める動きができておらず、コート上で迷子になるシーンが少なからずありました。使う側の心理としては、練習でちゃんとできていれば試したくなるだけの選手です。それが使われないということはそういうことだ、と思わざるを得ない、そういう序盤戦でした。

しかし、この1カ月くらい、彼の出番は少しずつ増えてきました。使われている時間帯でも迷子になって消えてしまうシーンは以前よりも減り、光るものを見せてくれるシーンが増えました。もちろんまだまだ不安定ではありますが、ようやく一歩を踏み出したのではないか、そういう風に見えるここのところの彼のプレーです。

チームにとっては不幸なことに、ベンジャミン・ローソンの長期離脱が避けられない状況となりました。しかし、これはシェリフにとってはチャンスでもあります。ベンの代わりの外国籍選手を雇い入れるかどうかはまだ発表されていませんが、そうなるにしろならないにしろ、シェリフはこれまでの状況を脱却し、自分の特徴を活かしながら逞しく、賢くプレーできるようにならなければいけません。今季のチームの命運は半ばシェリフの双肩に託されたと言ってもさほど大袈裟ではないでしょう。成長への一歩を踏み出した彼に期待しましょう。

#16坂本健

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今季30歳の誕生日を迎えたわれらがアイドル。高い身体能力から繰り出されるダンク、スイッチが入れば外国籍選手相手でも立ち向かえる強靭さを具えつつ、不器用さと自信のなさから能力全開、といかないシーズンが続いています。

今季も出番は限られていましたが、ベンの怪我により空いたインサイドのスポットにおいて、存在感を示したのはシェリフよりもむしろ坂本のほうでした。スクリーン&ダイブで運動量豊富に繰り返し動き回り、守備面では外国籍の圧力を向こうに回して身体を張る。ベン不在の中、ベンほどの高さはないが、同じような動きでチームの選手の戸惑いを最低限に仙台戦を戦えたのは間違いなく坂本の功績でしょう。

今季後半、どのように起用されるかは不明ですが、彼が身体を張って稼ぎ出すジョシュほかの休憩時間は、必ずやチームの助けになるはず。つぶらな瞳のイケメン坂本さんもいいですが、コート上で真剣な表情の坂本さんをもっと見たいところです。あ、頭を抱えるシーンは最小限でお願いします。

#19ベンジャミン・ローソン

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今季加入したビッグマン。さほどの器用さはありませんが、サイズ、そして何よりそのサイズに全く見合わない機動力と労を惜しまない勤勉さでもって、今季のチームの攻守の戦術の根幹を担う存在でした。機動力と引き換えにパワーはさほどでもないために苦手とする相手もいましたが、それでも常に努力をし続ける精神力も含め、信頼できる選手、という印象です。

残念ながら奈良戦で左肩を負傷。当初の見立てよりも症状が重いようで無念のIL入りとなりました。勤勉なだけでなく技術や判断も向上していた最中であり、チームにとっては大変痛手で、残念な結果となりました。現状どの程度で復帰できるのか、はたまた今期に間に合わないのかはわかりませんが、まずは怪我をしっかり治していただき、復帰後はさらなる成長を見せてほしいと思います。

#21会田太朗

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今季加入のルーキー。大学生活終盤は膝の痛みを押してのプレーだったこともあり、今年頭からしばらくはその回復とフィジカルの強化をベースに練習を重ねているということでしょう。今のところロスター13番目の選手という扱いで、けが人が出ると登録される、という状況です。

まだ線も細く技術もこれから、というところでしょうが、ベン、坂本さんといった系統の、機動力のあるスクリーナーとして逞しく育ってほしいと思います。本人もなりたい選手の方向性としてデニス・ロドマンを挙げているところを見る限り、自分が向かうべき方向性への自覚は十分と言えるでしょう。個人的にはその上、ドレイモンド・グリーンのようになってほしいとも思いますがどんな選手になってくれるでしょうか。

#24ジョシュ・ホーキンソン

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2年前に大学卒業後に来日して3年目。ひ弱さも年々影を潜め、紛れもないチームの大黒柱になりました。

現在のレギュレーションを考えても致しかたないことではありますが、今季も休ませられる時間は少なく、ほとんどの試合で出ずっぱりの状態は続いています。社長経由で聞く本人のコメントでもスタミナに自信があり本人も試合に出たがっているというのは伝わってきます。しかし、その一方で、特に守備の部分だったり、必要な時にP&Rからのダイブでなくポップしてのシュートを選択してしまうあたりで、どうしてもスタミナ温存のために「サボっているように見える」ことが多いのも事実です。

正直なところ、これは本人の責任というだけではなく、出場時間のマネジメントをする側の問題でもあります。また、本人がリングに近いところだけでなく、どこからでもシュートを入れることができるという自信があることからの選択であることも間違いないでしょう。

しかし、これまで献身性でチームを支えていたベンが戻ってくることがかなり先になる以上、ジョシュはその部分を背負わなければなりません。そして、それは彼がさらに成長するチャンスでもあるのでしょう。首脳陣が上手く休ませながら、彼が試合ごとに完全燃焼できるプレーを行う。後半戦のカギは意外と、そのあたりにあるような気がしています。

#88高村成寿

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今季は事情によりAC兼任。社長曰く「選手としてのほうが優先」とのことですが、少ない時間で求められたプレーを表現しつつ、全体の取りまとめをするベテラン、という責務を全うしている、という印象の前半戦です。

とはいえ後半戦はベンの穴を埋めるべく高村さんにもやってもらわなければならない仕事は増えると想定されます。ベテランの力が必要になるのはここからです。

#川辺泰三HC

渡邊前HCから、思わぬ形で前倒しでチームの指揮を引き継いだ川辺HC。昨季からある程度はご本人のやり方が導入されていたと聞き及んではいますが(それについては色々言いたいことはあるがここでは言うまい)、改めて舵を託されたHCがどのようにチームを育てていくのか、非常に楽しみにしていた今季でした。

シーズンが始まって、試合での采配ぶりを見てみると、「チームとして何をさせたいのかが明確に出ている」「何をしてほしいのか、してほしくないのかは選手にはっきり仕込まれている」「その上で、出来ている、やろうとしている選手は褒め、出来ていない選手にはしっかり指摘する」といったことが、外から見ていても出来ているように伺えます。

もちろん、今のチームの器に対して、高い理想を求めている、そう見えるのも事実です。その要求を選手にインストールする、その手法がすべてうまくいっているかと言われれば、そうではないのかもしれません。

それでも、この半分のシーズンを通して、チームが昨季とは違った顔を見せ始めた、それ間違いありません。不運にも主力に長期離脱者を出してしまったチームですが、この苦境をいかにして乗り越えるか。ルーキーHCには荷が重いのか、それとも未来の名将の伝説の第一歩として冴えを見せつけるのか。後半戦を楽しみにしたいと思います。

#FE名古屋

「B1基準」「B2優勝」を掲げて臨んだ今季。

「B2優勝」は結果です。目指す地点を掲げること自体は兎も角、相手があることについてすべてが思うように行くわけではありません。怪我も含めてコントロールしきれないものは仕方ない、私はそのように考えます。

その一方で、チームは本当の意味で「B1基準」を表現できていたでしょうか?アシスタントコーチを高村が選手兼任せざるを得なかったのはなぜか?B2トップクラスのチームは第3の外国籍選手を契約してリスクヘッジをしている中、そうできなかったのはなぜか?試合前後の準備に、もっとできることはなかったのか、やるべきことがあるのではないか?

チームが出来る限り頑張っていること、それは分かっています。その上でチームは、ファンブースターに向けて「B1基準」を謳い上げている以上は、そこに向けて近づく、さらなる努力をする義務がある、そういう風に思います。

結果はコントロールできませんが、意志と過程はコントロールできるはずです。チームが宣言通りにB1チームになっていくために、どのような過程を通り、何を発していくのか。後半戦も期待しつつ応援しつつ見守りたいと思います。

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