見出し画像

カフェに行ったのに、興奮してコーヒー飲むのを忘れたんだ

今朝私はGarden of Coffeeというアディスアベバ市内のカフェに向かっていた。

テフ(インジェラの材料)を使った美味しいチョコレート菓子を売っていると聞いて、買いに行こうと思って。そのついでにマキアートでも飲みながら新聞を読もうかなと思って。


このGarden of Coffeeは、エチオピアが誇る女性起業家であるベツレヘム・ティラフン・アレム氏が経営するカフェ。

カフェへの道を歩きながら私は考えていた。
いつか、ベツレヘムさんに会ってみたい。
起業家の視点から、国内の雇用や若い人たちへの対応について行政に求められるものはなんだと考えるんだろう?
配属先や若い人たちが「仕事がない」以上に解像度を上げない問題点を、彼女は何か見出だしているだろうか。
アプローチするなら公式サイトからメールかな…本人に届く前にはねられちゃうかな…。まぁやってみないとなんともな…

などなど。

まさかこの20分後に、本物のベツレヘムさんにご挨拶して名刺交換するなんて、思ってもみなかった。


ベツレヘムさんの注目されているところは、ローカルの素材を使った事業をいくつも立ち上げて国内の雇用を生んでいる点。

一番最初は、廃タイヤを使った靴ブランドSoleRevelsから始まった。

エシカル商品やサスティナビリティ、フェアトレードといった昨今のトレンドと合致したこともあったのか、SoleRevelsは成功している。今ではネット販売やエチオピア国外の実店舗販売も行っている。

2014年にカフェ事業を開始。

エチオピアの人々の生活に深く根付くコーヒーから得られる魔法のような経験を届けることを目標としており、エチオピア各地のコーヒーを手焙煎で提供している。
店舗やネットでコーヒー豆も購入できる。

更には革製品事業もしているそうだ。


彼女は日本の媒体でも取り上げられたことがある。

なおベツレヘムさん、昨日は来エチオピアしているジャック・マー氏(中国アリババグループの創設者)とお会いされてた


私が彼女を知ったきっかけは、6月に配属先で行った起業ワークショップだ。
小規模から大規模へと成長した日本の事例を話してほしいと頼まれたのだけど、私にはどうにもしっくりこなかった。ニトリの事例を用意したのだけど、日本の成功物語がエチオピアの役に立つんだろうか。ビジネス環境だけならまだしも生活スタイルや働き方が違いすぎて、「成功したの、日本だからでしょ」と言われたら「ですかね…」と言いたくなる。

その時私がエチオピア国内の事例を探して見つけたのがベツレヘムさんだった。
貧しい家に生まれ食べるものも満足に買えなかった子供時代、低賃金だった税理士時代を経て、持続的にお金を稼げるビジネスをしようと一念発起して起業。
…正直にいうと、雇用の受け皿が少ないエチオピアにおいて、できることなら多くの若者に目指してほしいスタイルだ。

彼女は現地の人々の雇用に強い使命感を持っている。私は直接雇用をつくれなくても人々の展望を明るいものにしたいと思っている。
エチオピアの雇用について、この人から話を聞いてみたいとずっと思っていた。


お店に入ったとき、出迎えてくれたのはネイティブイングリッシュを話す陽気なおじさまだった。見た目はヨーロッパの人。
地元の人以外も雇用するのかな…?と不思議に思って「こちらで働いているんですか?」と聞いたのが、きっかけだった。

「あぁ、奥さんがここのオーナーだからね!」おじさまニコニコ。
―オーナーって、え、ベツレヘムさん!?
「そうだよ!紹介しようか?

…であれよあれよという間に私はベツレヘムさんと握手して「サラームノゥ?」と挨拶をしていた。

彼女はそこでミーティングの約束があった。だから時間はそれまでの数分間。
その数分で自分が何者か、どこで何をしているか、彼女をどうやって知ったかを話した。
時間が来たときベツレヘムさんは名刺をくれて、「何かあれば電話でもメールでもしてね」と言ってくれた。

名刺交換をしたあと、おじさまにお礼をして引き取り商品のお会計をして、現実味が湧かなくてふわふわした気分でカフェの外に出て歩き始めたころに自分がコーヒーも飲みに来ていたことを思い出した。忘れてた。


最低限自分のことを説明できる英語力はあってよかった。
この国のことを色々調べておいてよかった。
退避中引きこもっていなくてよかった。
気になる場所にちゃんと自分で足を運んでよかった。
名刺を作って持ち歩いていてよかった(エチオピアでは申請すると100枚までJICAが名刺を作成してくれる)。
おじさまに話しかけるくらいの気軽なコミュニケーション力はあってよかった…

自戒の為にも書くがまだ何も始まってない。今の私は連絡先を本人から手に入れただけで、大事なのはこれから。
メール経由なり会うなりで意見交換して、今後の活動に反映させたい。

しかし思わぬ出逢いに、気持ちが弾んでいる。


読んで頂いてありがとうございました!
面白かったら、何か発見があったら、スキして頂けると喜びます。
note未登録でも押せますよ ^^
コメントも嬉しいです!!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?