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協力隊後に進学する人を羨ましいと思うとき

協力隊後の進路として進学を考える人が、私の周りに何人かいる。進学先は大体「海外」の「大学院」。この一時帰国を使って勉強したり下調べをする人も、きっといるんだろう。

私は協力隊に来る前に、イギリスで開発学の修士課程を終えている。当時から、これどこかに書き残しておきたいな~と思う内容がたくさんあったのだが、なにぶんそんな余裕がなかった。だから時間と心の余裕がある今、エチオピアでの出来事の代わりに書いてみようと思う。

私は「その人に合う方法はひとそれぞれ」と思っているので、これは答えではない。
「そういう考え方・ケースもあるんだな~」くらいに誰かの参考になれば、嬉しい。


今回はタイトル通り、今感じる「協力隊後に行くとここがいいな…」というポイントの話。


フィールドワーク用のコネができる

個人的にはなんといってもこれ。

特に開発学を学んで元々自分の赴任していた国でフィールドワーク(現地調査)したい、という人。特に、というかそれ以外の人には利点にならないか。
今思えば当たり前なんだけど、フィールドワークはコネも準備もなしにできるもんじゃない。そうですやろうとしたのが私です。

修士論文の話を指導教授とするとき、まず文献調査研究(Desk base study)にするかフィールドワークをするかを結構早い段階で聞かれた。当初の私は「フィールドワークをしたい」と答えた。院入ったあと早めに動けばできるかなと思ったんだけど、外国のお菓子かなってくらいに認識がでろでろに甘かった。どこともコネなかったのに。

協力隊期間に配属先や住んでいた地域、JICA事務所、専門家の方々、現地NGO…etc.と良好な関係を築いているとそのハードルは多分多少下がる。実際協力隊から同じ大学院に入って元赴任地で調査した人も2人はいた。隊員期間中から「自分が何を研究したいか」を考えて人脈づくりをしておけば、実現可能性はグッと上がるんだろう。

…こんな無謀だった私なのだが、先生は本当に親切だった。フランスの公立学校で調査しようとしていたのだけれど、「コネはない」と言い切った私のために、先生の知り合いでフランス公立学校教師をしている人に問い合わせをしてくれた。回答は「超保守的だから難しい」。
これを受けて早い段階で「文献ベースに切り替える」と言った時の先生の安心した顔は忘れないと思う。先生、世間知らずで申し訳ありませんでした…。


一次体験に基づく意見を出しやすい

院の授業が学部時代と全然違うなと思ったのは、学生の意見やグループディスカッションが中心で授業が進んでいくところ。

例えば「教育の質」の話になったとき、当時の私は「質が高くない」の具体的な内容を知らなかった。今なら語れる。実際の教育現場を見たから。
授業が教科書の内容を書き写すだけ、内容は理解していない、暗記中心の授業、理解していない子へのフォローがない、そもそも先生が授業に来ないことがある、授業時間が短縮されてしまったりする、教科書の内容が難しすぎる…などなどなど。
「質が高くないってどういうこと?」まで分かっている方が現実的で有効と思われる案を考えられる。予習用の文献で知った話と同級生に教えてもらう体験談であの頃の私は議論に参加してた。今あの授業を受けたらまた違うんだろうな、と思う。

結構怖いのは、言うことないな…と黙っていると本当に自分は何も話さずにディスカッションが終わる。同級生たちは大体各々話したい内容がたくさんあるので、グループ内の話す配分など大して気にされない。とにかく何か「こんなことがあったんだけど!」と最初を放り込めればみんな聞く姿勢になってくれたりそこから話を広げてくれたりするので、議論に使える体験・知識は大事だと感じた。なお、一応あまり話さなくても単位はとれるし卒業できてしまう。


修士論文用のアイディアを出しやすそう

前述の2点と関連するけれど、実体験由来の「多少知ってる」は強い。
イギリスの大学院は1年しかないので、授業のレポートに追われていると思ったらあっという間に「修論どうする?」と聞かれる。本音は「マジ今それどころじゃない」と思いつつ、タイトル案の提出をしたりする。でもこのタイトルがものすごく大事だった(修論書きながら気付いた)。

経験が先にあるとタイトルを決めるときの方向性が決めやすいと思う。そしてそれを13000ワードで収まる論文にするための微調整もしやすいと思う。想像に過ぎないけれども。少なくとも私のような迷走の仕方はしない気がする。

教育も開発も無関係の経歴から新たな道に飛び込んだ私は、当初一切接点のなかったカメルーンかどこかの学校給食制度かなにかをタイトルにしようとしていた。The 無謀。最終的に学部時代に一度取り組んでいた内容に収まったので事なきを得たが。



直接協力隊と関係ありそうなトピックはこれだけなので、以降は協力隊マガジンには投稿しません。個人で大学院留学マガジンを別で作るのでそちらに入れていこうと思います。興味があれば、そちらをフォローください。

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