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あ、我慢するのは私なんだ。

アディスの大通りを歩いていた。
歩いていてもよいけれど、あんまり治安は良くないところ。

視界に入った前方の少年少女たちを見て、直感的に「近づいたらいかんタイプの人だ」と思った。この辺はシンナーを吸っている子供たちがたくさんいると聞いている。あの口もとのペットボトルが、多分そう。

ものが多くてごちゃごちゃした歩道でも、広ささえあれば逃げ場がある。ちょっと方向転換して歩道のお店が立ち並ぶ方に、彼らを避けて歩こうとした。ら。

「ナイ(おいでよ)!!!!!」

と少女に後ろから思いっきり叫ばれてビクッとした。でも、経験から知っている。この国で大声かけられて狼狽えると彼らの思うツボで笑われること。何か知らんけど、すれ違い様に叫んで驚かすことを楽しむ悪趣味な人がちょいちょいいる。

ビクッとしたけどそのまま足早に通り過ぎようとしたとき、ちょうど目の前にあったどっかの施設の警備員のおじちゃんに言われた。

'Don't be afraid.'

…私がお小言言われるんかい。


本当に彼が言いたかったのは「怖がらなくていいよ」なのかもしれないんだけど、私がこう受け取ったのは過去にも似たようなことが何回かあったからだ。


例えば、ディレダワでチクングニア熱が流行った頃のこと。「チクングニア」という音の響きから中国由来の病気だと思っている人がいて(実際はモザンビークあたり)、道歩いてるときに「チクングニア!!」と呼ばれるようになった。

「チャイナ」はまだ挨拶のつもりかなと思えるんだけど(言い方にもよる)、病気の名前で呼ぶのは明確な悪意だよね?となかなか消耗した。

一人で抱え込むのもよくないかと思って同僚に相談した。職場の若手会計担当、英語が上手くてシティボーイの雰囲気をまとい割と親身になってくれる同僚に。

そしたら横からその話を聞いていた別の同僚に「そんなの日常茶飯事だからキミが強くなれ」と割り込まれた。

いいの?相手に不快な言葉投げられて我慢するのは私なの?その状況を許してこのまま皆がそれし続けてもいいの?

そう思った私が「はぁ?」と言って口喧嘩になりました。


事務所のナショナルスタッフさんが言うには、彼らは理不尽な状況でも文句を言わないように育っている、らしい。
そういうところも、社会主義の名残なんだろうか。

なんで私が、と思うんだけど、同じ思いをした回数が増えると「あ、本当に皆そう思ってるんだ…」と感心すら、する。

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