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宝箱を開ける人

「宝箱を開ける人」は、かっこいいなぁと思う。
ズラリと並ぶ宝箱を次々と開けて、「これもこれも面白そうじゃない?」って言えるような人。

不動産の営業をしていた頃、私の周りには素敵な営業マンがたくさんいた。営業スタイルは様々あれど、みんな、「宝箱を開ける人」だった。

初めての宝箱をみせてくれたのは、当時の部長。

入社して2年目の春、1つ下の新人が珍しく大量に配属された。その新人研修の一環として、「ある案件の現場を見に行き、現地で部長から解説してもらう」ツアーが企画され、私はその引率役を務めることになった。

現地で部長は、案件の背景や事業の狙い、施主の想いや勝ち筋、販促のアイデアなどを、次々と語ってくれた。新人の素朴な疑問にも、「それはいい質問だね!」と答えてくれる。

あまりにも楽しそうに語るその姿に、新人も私も、面白くて嬉しくて、胸の高鳴りが止まらなかった。研修の感想レポートをみると、みんなが「自分も一緒に仕事が出来るなんて、なんて幸せなんだろう!」って書いていた。

ひとつひとつが魅力的な宝箱がズラリと並んでいて、その箱を開けたら、中からキラキラがぱーっと溢れ出す。状況に応じてどの箱を開けるか相手の反応を見ながら選んで、どんどん躊躇なく開けていく。最後には、その場がキラキラで充満して、心が期待感で満ちている。

そんな絵が脳内に鮮やかに浮かんで、なんて魅力的な生き方なんだろうと、心が震えた。

営業なんて自分には向いてない、と思っていた私が、頑張ってみたいと思えたきっかけでもあった。

「宝箱を開ける人」は、新しい可能性を提示出来る人だ。そして、その可能性を面白がって、実現させたいと行動をしている人。だからこそ、周りにいる人たちは「この人と居たら面白い」「新しい世界が見えそう」「一緒にやってみたい」「話に乗ってみたい」「自分にも何かが出来そう」と思える。

その生き方を体現するのは難しいけれど、自らの仕事や携わっている様々な物事に対して、出来る限り面白がっていたいと思っている。面白がって生きるその姿から、周りの人までノリノリにさせられるように。

いつでも「宝箱を開ける人」でありたい。新しい宝箱を探し出し、絶対開けたらいいって、想い続ける人でありたい。

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