1/12 ふと「うなぎ」を思い出す(書くことがない その三)

今日もあまり書くことがない。淡々と仕事をこなし、帰り、夕食を取り、マリオカートを2ゲームこなす。

書くこと……昔、内田樹の本、『他者と死者』だったと思うが、読んでいて、そこに村上春樹と誰かとの対談の引用があり、そこに「うなぎ」のことが書かれていた。つまり、小説を書くときには、私と、読者の間に、「うなぎ」を呼び出さなければおもしろいものにならないというような、そんな話であった。今は手元にないと思いつつ本棚を見ると案外あって、確認してみたが確かにそのようなことが書いてある(対談相手は柴田元幸で、『柴田元幸と9人の作家たち』という本での対談だそうだ。おもしろそうな本である)。

なぜそんなことを思い出したかといえば、書くことのない日々と、書くことのある日を比べると、やはり、書くことが出てくるのは他人と人間らしい対話をしたときで、つまり、思考には他者が必要なのだなと思い、近いような遠いようなこの話を思い出したのだった。そうなると、「うなぎ」は、何だろう。私とこの日記の読者(いないかもしれないが、想像されている)の間の、現実に言葉を交わした他者? 私と、現実に言葉を交わした他者の間に生じていたもの? 何にせよ、どうも、私の書くことのなさは、「うなぎ」以前に、対話の段階が不十分であることに原因があるような気がする。

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