即断即決せず、保留にすることの大切さ
即断即決は、ある意味「逃げ」だと思う
新卒で入社してすぐのころ、即断即決する人をみて「仕事ができそう〜」と感じたことがあります。
「頭の回転が速いんだろうな」とか「問題の本質がすぐわかるんだろうな」とか思っていたわけなんですね。
でも、経過を観察すると、即断即決したことが必ずしもベストな判断だといえないこともよくあったんです。
いま考えると、即断即決していた人は、単に問題を手放したかったのかな、と思います。問題と対峙して考え続けることが辛いので、ある意味逃げたのかな、と。
保留にする能力
即断即決は、抗いがたい魅力があります。
なんとなく仕事ができそうに見えるし、問題をすぐに手放すことができるので精神的な負担が少ないんです。
何かを決断するときって、ものすごく気力体力を消耗しますよね。
特に、ネガティブな決断の時はなおさらで、一刻もはやく決断して方向性を決めたくなってしまいます。
私の場合は、契約解消を決める時や、クライアントに対してミスを報告する時に、即断して苦しい状況から逃れたくなります。
でも、こういった状況で即決即断すると後悔するんです。もっといろんな想定をして判断すればよかったな、と。
ネガティブケイパビリティとは
この保留にする能力は、ネガティブケイパビリティとよばれています。
これまで、いろんなビジネス書で即断即決が推奨されているのを見てきました。
「決断しないと頭の中に残り続けるので、脳のリソースを消費するから」という理由が多いかと思います。
でも、問題を保留にして、脳のリソースを消費しながら考え続け、その結果としてよりベストに近い解決策を模索していくことが大切なんじゃないかなと。(問題の種類にもよりますけど)
この時、積極的に考える必要はなくて、自分の気持ちの変化を観察したり、誰かのふとした一言からひらめきを得たりすることで、自然と解決策がみえてくることが多いと感じています。
脳のDMN(デフォルト モード ネットワーク)をフル活用するイメージです。
とりあえず「うやむや案件」にいれておく
友人とは、よく「これは、うやむや案件に入れておこう!」というやりとりをします。
その言葉のとおり「いま決断せずに、うやむやにしておこう」という意味です。
先日、私を含めた3人のグループチャットで、友人Aからずっと返信がないことを友人Bが気にしていました。
こういう時、明確な原因ってわからないですよね。Aが多忙なのかもしれないし、その時のやりとりの内容に興味がないだけかもしれない・・・。
だから、私とBで相談して「うやむや案件」にいれておくことにしたんです。
Aには特にアプローチせず、いつも通りグループチャットでやりとりを続けました。
結果、1ヶ月以上経ってAがチャットに参加するようになったんです。突然、何事もなかったかのようにやりとりに参加していて笑いました。笑
こんな風に、1ヶ月保留にすることもあれば、年単位でうやむやにしておくこともありますが、たいてい良い方向に向かいます。
保留にするには仲間が必要
保留にしたり、うやむやにしたりする際のポイントは、1人で抱えないこと。
1人で考えている時に「辛い」とか「心が重い」と感じるようであれば、一緒に抱えてくれる仲間が必要だと思います。
誰かと共有する時、解決策を提示してもらったり、励ましてもらったりする必要はないんです。
言語化が難しいのですが、共有するだけで、保留にしている状態をどこか肯定されたような気持ちになります。心強いし、安心して決断を先送りできます。
保留にすることでうまくいく
緊張感のあるやりとりになった時は、あえて丸一日返信しないことがあります。
自分の気持ちの経過を観察したり、相手の状況に思いを馳せたりして、判断を保留にするんです。
そうすることで感情的な返信をしないで済むし、後悔しない対応ができます。(実は、それでも後悔することがあるのですが・・・感情のコントロールって本当に難しい)
特に人間関係に関することは、保留にすることでうまくいくことが多いので、勇気をもって決断を先送りしていきたいと思っています。