音楽をやっていた人のこと

自分と同年代のシンガーソングライターにハマって、最近ずっと聴いている。このシンガーソングライターの周り、というか自分がよく聴いているアーティストがなんかみんな仲良しのようで、あちらとこちらと、というふうにメンバーやサポートを色々している。昔から音楽をしている人たちはこんなに流動的だったのかわからないが、1ファンとしてはちょっと楽しい。

ライブのお知らせを投稿したストーリーズから、初めて見るギタリストのページに飛んだ。やはり同年代で、少し気になったので検索してみた。(人の経歴について読みたくなる)

私が音楽を意識的に聴き始めた頃は、ロックバンドがシーンを広く占めていて、高校や大学からバンドを組んで〜、という音楽経歴が多かったように思う。一方で最近の若手ミュージシャンは、自分の音楽の趣味が変わって聴く範囲が変わっただけかもしれないが、幼少期から音楽に親しみ、音大を出たり、海外で学んだり、という人が多いと感じている。特にジャズシーンの人はそんな感じ。

今ハマったミュージシャンも子供の頃から〜な似たような感じだったが、検索したギタリストは高校3年の時からギターをはじめて、大学でジャズ研に所属し、音楽活動を始めたそうだった。

意外だな、と思うと同時に、自分が大学時代に所属していたサークルの、似たような人のことを思い出した。

私自身は特別音楽経験などなかったが、ずっと興味はあったので、軽音楽部に入ろうとしてなぜかジャズ研に所属していた。音楽の趣味も知識も広がったのでよかったが、一風変わった人にも会った。

その人は大学から楽器を始めて、熱心に音楽をやっていた。彼は実に真面目だったが、興味と時間の配分が狂っていて、大学生なのに授業以外のことに夢中になっていた。実際とても演奏が上手だった。まだ素人の私から見ても、他の人とは違うように思えた。そして、私は近くにいたのだけれど、その音楽への熱量が最後まで理解できなかった。ほぼ一般的な学生は、サークル活動より、研究や就職活動を行うようになるが、楽器に夢中になり過ぎて他のことを置いてきた人たちは、幾分長くサークルに所属していたりする。彼は大学で何をしているのかわからなかったが、人伝いにもしくはSNSで、対外的にも音楽活動を続けていることを知った。上手いから当然だろうと思うのと同時に、本当に全く関係ない人になったんだなと思った。

大学を卒業してしばらくして、そんなことも全く忘れていた頃に、あの人はどこにいるのか、何をしているのか、誰も知らないでいるということを聞いた。みんなSNSをやっている時代にもそういうことがあるのか、でもあの人はSNSのアカウントを持っているだけで更新しないものな、と考えて、少し気分が下がった。友達が検索して見つけたライブフライヤーで顔を思い出した。エゴサみたいなこともしてみたが、結局投稿0件のInstagramアカウントしか見つけられなかった。まだ楽器をしているのだろうか、一つのこと以外は無頓着な人だったから、ちゃんと生きているのだろうか。

ストーリーズから見つけたギタリストも大学から音楽を始めた。もし東京に近ければ、彼も仲良しな音楽メンバーの一人になっていたかもしれないのかなと思った。仮定の話をしても仕方がないけど、どうか彼が評価される場所にいられたらよかったのに。もう連絡も取れないだろう人のことを、こんな風にかわいそうに思うのもおかしいけれど。

大学の時に名前を知って、ずーっと聴き続けているギタリストもいる。その人が所属しているバンドもとても好き。そして例のサークルの彼はこのギタリストとセッションしたことがあるそうだった。今はこのギタリストのSNSアカウントとか毎日見られるのに、なんか余計変な感じだ。

場所と活動の仕方で、こんなに音楽って光が当たらなくなるのかな、あれだけ熱心だったのに辞めたということかもしれないけど、どちらにしろ寂しい。

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