台風の夢

台風が来ていた。わたしは東京の高層マンションにいるようで、雨の音と「起きなさい、大変よ」の声に起こされた。大きな窓から外を見た。海から水が溢れ、街全体がほぼ、水に浸っていた。ここは高いから大丈夫と言われた。空調が効いた広い部屋で、窓に吹き付ける雨風の音を聞いていると、わたしは、この台風によってもたらされるであろう災害を、天の上から、まるで窓枠を額縁に見立てた芸術品を鑑賞している気分だった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?