見出し画像

島根県松江市・持田神社のクラウドファンディングを見て感じたこと

初めは、「こんなプロジェクトあったんだ」だった

島根県松江市の西持田町に、持田神社という神社が鎮座しているのをご存知だろうか。

持田神社は、主祭神 大宮比賣(おおみやひめのみこと)を正殿に、天太玉命(あまのふとだまのみこと)、天鈿女命(あめのうずめのみこと)、猿田彦命(さるたひこのみこと)を相殿に祀り、明治6年および41年に合祀された、域内6社に祀られていた十柱の神々と合わせ、十四柱を祀るお社です。

当社は島根県松江市西持田地区の産土神社(生まれた土地の守り神)として、地区の氏子さんはもとより近隣にお住まいの方々の崇敬神社(個人の信仰により崇敬される神)としても信仰をいただいております。神社護持のため、氏子の代表である総代や敬神婦人会を中心に境内の清掃や雑木の伐採等を行っていただいています。

…と偉そうに書き始めたは良いものの、かくいう私も、地元であるにも関わらず名前と位置を把握できているかいないか、くらいの認識でしかなかった。恥ずかしながら。

その状況が変わったのが、とあるツテで知ったこのクラウドファンディングだった。

今回のクラウドファンディングの概要について

#持田神社 #亀尾神能 #READYFOR #クラウドファンディング

しかしながら前回昭和61年の御遷宮斎行より36年の歳月が経過した境内は、いたるところに老朽化や災害等で壊れた箇所があり、来年の正遷座祭にあたり大掛かりな修復せざるを得ない状態です。

特に御本殿の屋根は、2020年に発生した突風により「千木(ちぎ)」が落ちてしまいました。

千木とは、かつての建築においては、立派な建築物であることの象徴として掲げられていました。持田神社は、この出雲地域に多い大社造で建てられており、この神社建築様式にとって千木は必ずなければならないものです。

今も千木のない状態が続いていますが、なんとか正遷座祭までに、最優先でこの御本殿の屋根だけでも修復したいと考えています。

一言で表すなら、破損した状態のままの神社の屋根の修繕費(の一部)を、クラウドファンディングで集めたい…ということのようだ。

これまでも奉賛会・氏子の皆様・地域の皆様のご協力のもと、ご支援・ご協力を賜り、準備を進めて参りましたが、前回の御遷宮の間に「氏子の高齢化」や「地域の過疎化」、さらに昨今の世界情勢による「材料費の高騰」が進み、資金の調達具合に暗雲が立ち込めています。

また頼みの綱となる自治体等からの補助金も、文化財などに指定される建築物や文化財でない限り、受けることはできません。持田神社の本殿も、指定を受けている建築物ではないため、総額1,800万円の修繕費用の全てがのしかかっている状態です。

せめて御本殿の屋根だけでも、なんとか正遷座祭に向けて修復するために、今回はじめてのクラウドファンディングへの挑戦を決意しました。

36年の時を経て、社会は大きく変わりましたが、来年そしてこれからも末長くこの西持田の地を守るため、今回のプロジェクトは地域の皆様、そして持田神社に関心を寄せてくださる方々と、改めてご縁を繋ぐ機会にしたいと考えております。

この度の修繕事業が実現した暁には、正遷座祭の前に竣工を祝う上棟祭を行い、餅まき等の実施も検討しています。以前から氏子でおられる方々、当社を崇敬してくださる方々はもちろん、新しくできた団地等でこの地域に来られた方々や、この取り組みを通じて新たなご縁を結ぶ皆様に、持田神社を訪れていただき、悠久の時を感じていただけたらと考えています。

どうぞ皆様のあたたかいご支援をお願いいたします。

「これは持田神社だけの問題ではない」が率直な感想

プロジェクトを読んでまず私が感じたのは、「これは持田神社さんだけの問題ではない」ということだ。

プロジェクトページを読み進めていくと、応援メッセージとして美保神社の宮司さんがこんなコメントを寄せている。

この度、持田神社さんが遷宮(正遷座祭)に向けた本殿屋根の修繕事業としてクラウドファンディングに挑戦されると伺いました。島根県内ではまだまだ事例の少ない挑戦に、心から応援したいと感じております。

全国的に人口減少が進む現代社会において、特にここ島根県ではその傾向が顕著であります。地域の方々の高齢化の一方、若年世代が地域外へ出ていき、過疎高齢化が進んでいるのです。

我々神職は、神様に奉仕することが役目ですが、神様、神社を護持するのは氏子さん、崇敬者さん、支援される方々ですので、常にその大切さを感じています。歴史的遺産等が多く残されているのにも関わらず、神社の護り手は減少する中で、維持していくことに苦慮する神社は少なくありません。

今回の件は、おそらく持田神社だけが抱える課題ではない

繰り返すようだけれど、これは今の日本社会の中で(特に地方の小規模な施設において)どんなところでも共通する課題ではないかと思う。

少子高齢化、地域の過疎化、特に若い世代の生活スタイルの変化や、地域に住む人と地域社会とのつながり方の変化。様々な要素が絡み合って、「これまで長い年月を経て成り立ってきたものが、立ち行かなくなる」ということだと思う。

構造的な課題とも言えるので、今回の持田神社の件だけが解決すれば良し、とも言い切れない。…が、クラウドファンディングが成功するか否かだけでなく、まずはこういった「困りごと」は氷山の一角で、地域には(島根県だけでなくおそらく全国各地に)もっと多くの課題があるのだという認識が必要な気がしている。

今回のクラウドファンディングが、「後に続く者達」への大切な好例になり得るか

おそらく、寺社仏閣の世界だけ見ていても、同じような困りごとを抱えている場所は多いと思う。今のところ顕在化していないだけで。私が今回のクラウドファンディングに成功して欲しいなと思うのは、もしこのプロジェクトが成功したら、今後出てくるであろう「後に続く者達」への大切な好例、前例になってくれると思うからだ。

「そして松江の町は続く」となって欲しい

そして、このような厳しい状況下においても、持田神社のような場所が「続けていける」ような「町としての余裕」が欲しい。いち松江市民として。

歴史あるもの、新しいものを問わず、「これまでと、今と、これから」の集合体としての「この町」が、少しずつ姿形を変えながら受け継がれてきたのが今の松江市なのだと思う。

このnoteを読んでいる方に伝えたいこと

まずはこのリンクされているプロジェクトページを読んでみて欲しい。

そして、寄付する/しないに関わらず、このような事例があることをまずは知って欲しい。できれば、「持田神社という神社が島根県松江市にあったな、何か困ってるっぽかったな」ということを、頭の片隅に覚えておいて欲しい。

いつか機会があればこの神社を訪れてみて欲しいし、出来ればお賽銭の一つを片手に参拝してみて欲しい。もしそれ以上の思いがある様なら、寄付という形を取ってみて欲しい。おそらく、プロジェクトが終わっていても何らかの形で寄付を届けることは出来るはずだ。

また、神社のInstagramアカウントもあるようなので、よかったらぜひフォローもして頂けると嬉しい。

https://www.instagram.com/mochidajinjya/

かくいう私自身も、今回のプロジェクトに一口投じることと、まずは実際に持田神社に参拝に行ってみたいと思う。

今回のクラウドファンディングは、ゴールではなくスタート

クラウドファンディングを応援したくて書いている様なこのnoteではあるものの、クラファンの成功はゴールではない、と思っている。おそらく集めることが出来るのは修繕費の一部なので、クラファンが成功したとしても、関係者の方々にとっては、その先にまだまだやる事は沢山あるのだと思う。

クラファンが短期戦だとすれば、神社の修繕は中長期戦だ。自分自身、何をどうコミットできるか(あるいはどう/どこまでコミットすべきか)は考えていきたいし、出来ることを見つけて粛々とやっていきたい。

偶々持田神社という形で表れているだけで、この町のために何か出来ないか、というのは自分の今後のライフワークになってくると思う。私自身も、今回のプロジェクトで、自分の住む町を見る視点が少し変わった。自分なりに出来る貢献の形が何らかあるかもしれない。

おまけ:「すべては思い通り」になることを祈って

君の声を聞かせて
雲をよけ世界照らすような
君の声を聞かせて
遠い所も 雨だって

君の歌を聴かせて
澄み渡り世界救うような
君の歌を聴かせて
深い闇でも 月の上も
すべては思い通り

ここまで読んで頂いてありがとうございました。
プロジェクトの成功を心より祈っております。

この記事が参加している募集

この街がすき

記事がお役に立って、もしよろしければ、サポートいただけますと嬉しいです!いただいたサポートは、より良い情報発信を進めていくために、大切に使わせていただきます!