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今日は一日、『嘘』について、ぼーっと考えた。

きっかけはヨリさんの素敵なnote。


もう本当におかしくて!
その場面を想像して、声に出して笑ってしまった。

何を隠そう、三男(2)の口癖は「ママ、とー!」なのだ。

三兄弟は保育園がばらばらなので朝は分担して登園する。

比較的出勤に余裕のある私が、遠い長男の園を担当するのだが
別れ際に三男がいつも「ママ、とー!」と手を伸ばす。

あたかも、今生の別れのように。

それでも2分後には園で楽しく過ごせていることはわかっているし

お迎えにいくと、『ぼく、もうちょっとあそんでるわ』と
なかなか帰りたがらないこともあるくらいなので心配はしていないが

「パパがいいー!」の勢いと『さて、どうしたものか』という
ヨリさんの頭の中は容易に想像できる。

そんなとき、うちのお父さんは、余裕があれば

「そっかぁ、お母さんがいいんだね。
 お母さん優しいし可愛いし最高だもんね。ごはんもおいしいしね。
 今日の夜ごはんはお母さんに何作ってもらおっか?」

と(私にとって)かなり素敵な対応をするのだが
(余裕がないときは有無を言わさず担がれている)

「パパがいいー!」と言われ
「お母さんに見えるかもしれないけれど、私はパパです!」
と言い切るヨリさん。最高です!


本当にこれ以上ないくらいナイスな対応だと思うのだが

それでも、ヨリさんは子どもに「ウソ」をついてしまったことに
一瞬落ち込んでしまったそうで。

(最後まで読むととてもすっきりできるので、ぜひ読んでいただきたい。)

傍からみれば微笑ましいの一言だが、当事者になると
たしかにウソつきたくなかったなと少しは思うかもしれない。

アンパンマンとホラ・ホラコという絵本がある。

ホラーマンにそっくりのホラ・ホラコという子がでてきて
「あたし、ホラーマンの娘なの。ホラーマンのところに連れていって!」

と言う。もちろん、ホラである。

「ホラーマンがお父さんなら、お母さんはだれなんだい?」という
読者を代弁するようなジャムおじさんの問いに

「人魚姫よ。月夜で出会って一目ぼれしたんだけど
 住む世界がちがうから一緒に暮らせなかったの。

 悲しみのために痩せてしまったホラー王子は
 ついにホラーマンになって旅に出たの。

 だから、お母さんがお父さんをさがしておいでって言ったの」

と、もっともらしい答えまで用意している。まさにホラーである。

ついにホラーマンが見つかり、ホラ・ホラコは泣きながら
「お父さん!」としがみつく。

困惑するホラーマン。当然である。

「これは何かの間違いなんですねぇホラー。
 私には娘なんかいませんからホラー。」

そこでホラ貝男爵というのが登場し、

「今までの話はホラでしたー!
 こうしてホラ・ホラコといろんなホラ話をして
 全国を旅しているのですー!」とネタばらし。

みんな驚くやら面白いやらで
「ホラ・ホラコはホラーマンに似てるー!」と踊りだしました。

ちゃんちゃん

要約するとこんな話なのだが、実にとんでもない嘘だ。

昼ドラなら「言って良い嘘と悪い嘘があるだろうっ!」と
殴り掛かられてもおかしくない。

金八先生だって説教するはずだ。
「誰がそんなこと言ったね!人と人というのは互いに信頼で云々」


しかし、そこはアンパンマン。ちゃんと解説がついている。

<ジャムおじさんのことば>

うそをついたり、ホラをふいたりするのはよくないけれど
ホラ・ホラコのホラはおもしろいからいいんじゃないかな?

おとぎ話や童話みたいなものじゃないのかな。

ホラ・ホラコはもしかしたら、絵本や童話をつくる人に
なるかもしれないね。


ホラ・ホラコのホラがおもしろいかどうかはともかく

(「お父さん!」としがみついて泣くなんてどう考えてもやりすぎだ。
 もしホラーマンに彼女がいたら、確実に修羅場だ。)

そのホラが許されるならば

『たぶん相手もウソであることがうっすらわかっていて、
 後に引けなくなった子どもをそっと助けようとするウソ』は

まちがいなく許されるはずだ。

ホラーマンの心中を察するととても気の毒だと思うが
ジャムおじさんがいいというのなら、いいのだろう。
(現実に起こったら間違いなくホラーだが。)

アンパンマンにもうひとり、ホラ吹きキャラがいる。
妖精バックだ。

妖精バックはなんでもあべこべなことを言う。

たとえば
おいしいときに「おいしくないぞー」
あそびたいときに「あそびたくないぞー」

すべてがあべこべなので、ホラ吹きというよりむしろ正直とも言える。

次男はこのキャラをうまく活用している。

長男と次男のケンカがヒートアップしているのを見かねて
「あ、今えいってしたよね?」と私がいうと
「してない!」と次男。

「え?お母さんには、えいってしたように見えたよ?
 ほら、長男のここ、赤くなってる。」というと

「してない!」と繰り返す。

しまいには「してなーーい!」とカーテンに隠れるものの、数分後には
「さっき本当はえいしたの!ごめんね!」とケロッとして出てくる。

そして「なんでうそついたの?」と聞くと
「妖精バックになってたの。」と言うのだ。

『バックになんかなっちゃだめ!』なんて
まさかバックの人格を全否定するようなことは言えないので

「・・・そっか、じゃあしかたないね。」というしかない。

「わからないから、全部本当か全部反対かどっちかにして」と一応添えるが
聞いちゃいない。

こう見ると、アンパンマンは嘘を推奨しているのだろうか?

いや、きっと、ちがう。

一生嘘つかないなんてことはあり得ないから
嘘をついたときのための逃げ道を用意してくれているのかもしれない。

子どもの想像の世界を守ってくれているし
大人の建前や言い訳を許してくれているのかもしれない。

やはりアンパンマンは正義の味方なのだ。きっと。

そして、言っても良い嘘と悪い嘘というのはあるものなのだ。

というわけで
「ママ、とー!」と言われるのことの多いお父さんにも
ヨリさんテクを教えてあげようと思う。

お父さんが三男に
「お父さんに見えるかもしれないけど、本当はお母さんです!」
と言っているところを想像するだけで笑える。

三男はどんな反応するだろうか?
「ママ、なーーい!」と怒るかもしれないし
「ママ!?」と笑うかもしれない。

明日が楽しみだ。

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