青桐

美しいものがすき

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気持ちに名前をつけたところで

心の余白を埋める何か ふと出会ってしまった この気持ちに 名前を付けることが怖い 恐ろしいとすら感じる この揺らぎをいつか 心地いいと感じられるほど わたしはどうも強くもないし 軽やかではないのだから 春の陽気に騙されて 浮ついている自分を 俯瞰で見て嘲笑うのが 精一杯の強がり ただ素直に打ち明けたところで 報われないすべてのことに 吐き気がする そんな生き方しか出来ない 浅はかな自分と 世間なんて無関係なチグハグを 切り裂いてやりたい衝動を抱えて ベッドに倒れ込む毎日

    • 【映画評】三島由紀夫 vs 東大全共闘 50年目の真実

      わたしは創作物を愛でるにおいて、 創作者の人格にはさほど興味がない。 音楽もそう。楽曲を好きになっても 作者に興味を持たない。 それが自分が年を重ねたせいか、 (年齢を重ねると他者との隔たりが どこか綻んでくる。他者に興味が出てくる。) 三島由紀夫文学にあまりにもここ短期間で 濃密に触れ合ってきたせいか。 ふと、動いて話をしている彼を見てみたくなった。 単純なる好奇心で見始めたこの映画を 気が付けば前のめりになって観ていた。 東京大学法学部の出身の天才作家三島由紀夫と 当

      • 話すこと書くこと自分のこと

        金曜日と日曜日に、 それぞれ別の友達二人ずつと久しぶりに会って それぞれ三時間ずつ笑ったり相槌を打ったり 女同士でげらげらと過ごした。 アウトプットを口から行うことに 日頃慣れていないから 久しぶりに友達に会っても 学生時代のように 言葉が思うように出てこない。 もちろん、そこには大人になってからの ちょっとした遠慮だったり、 変なプライドだったりが 見え隠れしている変な距離感があって、 『友だち』っていいなと思うと同時に 『友だち』ってなんだったっけかな? そんな風に

        • イヤシノウタ 感想

          吉本ばなな『イヤシノウタ』を読了した。 とても好きな作家さんだけれど、 「すてき」「あたたかい」「やさしい」 とにかくどの文章にも、 ほんわりと温かなワードがあって、 優しい世界に包まれているので 捻くれもののわたしは正直、途中胸やけしそうだった。 あまりにもたくさんのポジティブはわたしには重たい。 いつもきれいに完結する話もしんどい。 ドリカムの音楽にも似たところを感じる。 90年代の恋愛ドラマにも。 日本がどんどん夢を見ていた時代。 作者はきっと温かくて聡明なご家族に囲ま

        気持ちに名前をつけたところで

          冬先の国道のすたるじ

          今どきにはもう珍しい 影のあるネオンを携えて 寂しい国道が真っ直ぐに伸びている 冬先の午後五時三十分 この道を通ったはずの 何千何万の目の中にある それぞれの人生の彩りを思う それは時代の移り変わりを たっぷりと染み込ませながら 何度も何度も掘り返して重ねた アスファルトの下に きっとゆっくりと眠っている 目を細めると握りしめたハンドルごと タイムスリップしてしまって 幼いわたしの陽炎の上に 揺ら揺らと降りていきそうで そんな夕暮れにわたしは 心と頭の真ん中あたりから

          冬先の国道のすたるじ