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#4.情報・通信業界×社会のイノベーション促進×WSD

(1)普段おこなっている活動を教えてください

情報・通信業の会社で、先端技術を活用した社会のイノベーションを促進するお仕事を担当しています。ここ数年で、お店の決済の仕方が変わってきたり、スマホでできることが広がったり、在宅ワークされる人が増えたりと変化が激しいですよね。
デジタル庁が発足するように、国内あちこちでデジタル技術を活用して、新しい思考で世の中を進化させていこうとする活動が盛んに起こっています。ただ、これまでに無い新時代の取組みなので何をするにも正解はどこにもなく難しい活動です。なので、こういう取組みにおいて初めに必要になるのが、組織や人々の知恵を持ち寄って、何を正解とするのか、どうなればうれしいのか、活動自体に意味付けを行うことです。私はご要望のある公共機関や企業に立ち入らせていただいて、こうした意味付けを形成するワークショップを行っています。
医療や教育、製造、流通など業種によって意味付けは違いますし、仮に業種が同じでも、企業ごとに意味付けは驚くほど異なるものになります。コミュニティから湧き上がってくる独自の意味を、社会へ実装していくお手伝いは、難しくもあり悩む日々ですが、とてもやり甲斐のある仕事と感じています。

ws3 - 堀健太郎

(2)WSD受講のきっかけは?

■きっかけ
独学でワークショップを実践していましたが悩む事が多く、体系的にワークショップを学べる方法を探していて青山学院大学のプログラムを知りました。
大阪在住ということもあり、毎回東京まで通えるかどうかが当初は少し不安でした。関西にもワークショップやファシリテーションを学べる機会はいくつかありましたので、あわせて検討はしましたが、学校教育法に基づく履修証明プログラムである点で、学びの質が担保されている安心感が最終的な決め手でした。また、勤務する会社もこのプログラムでの学びの重要性に理解を示してくれて、積極的に応援してくれたことが私にとっては大きな受講動機になりました。

■受講においてハードルに感じたこと

正直あまりハードルは感じませんでした。当初は遠地からの通学がハードルのように思っていましたが、むしろこれまで疎遠だった関東圏での人脈ができ、新たな交流起点が生まれた点で大きな転機になりました。履修中はレポートが多く大変という仲間もいましたが、私自身はどのレポートも面白くて没頭していましたので、苦に感じたことは一度も無かったです。確かに家族が寝静まった後、一人で深夜までレポートに向かっている日々がありましたが、仕事や育児から離れ、非日常的な思考で物事を考えること自体が新鮮であり、それ自体を楽しめる環境と体質だったのだと思います。

ws1 - 堀健太郎

(3)WSD受講で最も印象に残っていること

小学校でのワークショップにおける「見取る活動」です。終始一人の児童だけに注目して観察する活動がとても新鮮でした。個人を追いかけて見続けることで、全体を俯瞰的に観察していたのでは絶対に気付かない、微細な心の動きや行動の原理が確かに読み取れて驚きました。
また、どれだけ近距離で観察しても、自動が活動に没入していれば、観察者の存在が影響しないことも大きな発見でした。ワークショップにおける参加者の没入感醸成の重要性を思い知りました。

家庭では父親でもあるのですが、自分の子どもを観察する場合、どうしても先入観が邪魔をします。うちの子はここではこう感じるはずだとか、この振る舞いはこういう性格が原因だとか。色眼鏡で捉えてしまい本質を見取れていない可能性があります。
実習では色眼鏡を外して、その場で起こっている生な情景を素直に見取ることを学びました。これはその後、私のファシリテーション業務のほか、子育てにも大いに生かされています。

(4)現在の活動に活かしているWSDでの学び

いろいろありますが、しいて挙げれば学習の領域の考え方です。
「できる・わかる」を育む領域と、「分かち合う」を育む領域の2つを自在に操れるようになりました。

仕事上、企業などの人材育成を担当することがあるのですが、初めの計画段階で、この2つの考え方を吟味して、論理的なゴール設定をしています。
実はWSD受講前は、できる・わかるを育む、いわゆる個人のスキルを伸ばす学習領域しか意識していませんでした。集団を対象にした人材育成の場面でも、個人のスキル醸成×人数というロジックで育成計画を立てていました。つまり個人成績を伸ばすイメージです。

WSDの学びにより、個人としての誰かを伸ばすのではなく、集団自体をひとつの主体として伸ばすという育成の概念を知りました。「分かち合う」を育む領域です。そしてこの領域はワークショップだからこそアプローチできる領域だと痛感しました。それ以来、私はこの双方の領域を目的に応じて行き来しながら学びのデザインをしています。

WS2 - 堀健太郎

(5)これからの展望

WSDの学びの後、元々興味領域であったリカレント教育にいっそう興味が沸き、次は学ぶ側ではなく、自らの経験や知識を社会還元していく立場として、行動したいという気持ちが強くなりました。
現在は実務家教員という立場で、地域における産学連携の学びの活動に関わり始めています。具体的には、企業人として得てきた様々な社会経験やノウハウを、社会に出る前の世代に還元する活動です。
まだ活動初歩の段階ではありますが、人生100年時代といわれる時代を見据え、第二、第三のライフワークやコミュニティ活動に邁進したいと考えています。

職場でも、家庭でもWSDの学びを活かしていらっしゃるホーリーさん。
ありがとうございました!

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