【美術レポ】光りをとらえること——〈み〉る会「art viewing...vol.5」
12月3日。よく晴れた日、12月にしては暖かい。
数人の友人が参加するグループ展に足を運ぶ。場所は横浜市民ギャラリー。海がよく見えた。
1.〈み〉る会「art viewing...vol.5」
art viewing...vol.5
会期:2023年11月29~12月4日
場所:横浜市民ギャラリー展示室1
参加作家:
GEN
小森未鈴
武宮太雅
長田和馬
橋詰百華
樋口絢士
平野うらら
藤巻瞬
前田梨那
森田さら
2.見る〈光〉
〈み〉る会ということもあり、作品名と作家名しか明かされていないこの展示。作品の説明は一つもない。とにかく作品を「見て」感じろということだろう。
「見る」というテーマに忠実なグループ展であると思った。というのも、見るという行為をするために必要不可欠な、人の〈目〉と〈光〉を切り離すことはできないと思っているからだ。
目は瞳孔から入った光を虹彩で調節し、水晶体で屈折した光はピントを調節される。光は視神経を通じて脳に信号として伝達されて、それを人は像として認識する。
我々の目に映るのは、実際は〈光〉なのだ、ということを作品群は表している。もっと言えば、「見る」を異化している。
特に〈光〉を感じさせたのは以下の作品だ。
森田さら「Diffuse」
こちらは映像作品。
プロジェクターと壁の間に立てば自分の影が映る。光の中に飛び込んだような錯覚を起こし、光を掴めるのではないかと思う。
実際、自分の手のひらではなく、手の甲に光が映されるだけなのだが。
GEN「Metallica No.1」
焼いたステンレス板が床に置かれている。非常にユニークな作品。
作家の意図したことなのか偶然なのか、天井からの光の反射が立つ位置によって色を変える。
長田和馬「mirror」シリーズ
直方体の鏡(もしくは反射板と言おうか)が町中に立っている。
#5、#4のように光を反射させて目を引くものもあれば、#6のように完全に背景と一体化してしまうものもある。私は、後者を人間の目の仕組みそのものに思えて仕方がない。
前田梨那「Stanp man #2」「Hot Line #2」
人の影が回り続けている空間。まるで悪夢の一幕のようで不気味だ。
しかし、ふと気が付く。
影は自分のほうであったと。人間は光にはなれない。
今回のグループ展は、「見る」という行為のそのもっと根本的な、人間の見る機能について考えさせられるものであった。非常に満足である。
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