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私はあなたのものよ

人は自由でありたいと思う一方、
どこかに帰属していたいという、
相反する心理を持っている。

それは職場、住んでいる地域、
あるいは家庭。

どこにも所属せず、自由気ままでいること。
一見格好いい響きはあるものの、
いざ自分がそういう立場に置かれたら、
その孤独感と不安感につぶされかねない。

自由を求める気持ちと、
どこかに縛られていたい気持ち。

その両方の心理を満足させながら
生活ができることが、
その人、社会の強さにつながり、
人生の幸せを導くのだろう。

それは男女の仲にもあてはまり、
恋に落ちるのは、
その相手に心を奪われ、
自由をなくすのだが、
それがとっても心地よくなる。

愛しい男から
「お前は俺の女だ」
と囁かれれば、
その逞しい腕で自分の体を羽交い締めしてほしいと願うだろう。

SMのご主人様と奴隷の関係は、
それをさらに極限まで深めた心理で、
決して倒錯したものではなく、
ただ深いところを求める、
深層心理が顕在化したものか。

「私はあなたのものよ」
と囁くあなたに囁かれたら、
あなたの両腕をしっかり掴み、
あなたの自由を奪い、
私のものをあなたの中にしっかり入れて
私の思うままにさせてもらう。

お互いがお互いのものになって、
大きな自由を手に入れられる。

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