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世界で1番暖かな隙間

寒い夜に一人で布団に入っても、
最初は縮こまるような冷たさを感じるけれど、
二人で入ったならたとえ裸でも、
とっても居心地のよいあったかな空間がそこにできる。

それはあまりにも程よい温度のくるまりで、
掛け布団と敷き布団の隙間の、
裸の体というもうひとつの存在は、
冷たい体を芯から冷やすほどのぬくもりで、
遠い昔に母に抱かれて眠りについたときの
記憶までも蘇らせて、心の芯まであたたかくなる。

あなたが私の上に乗ったなら、
敷き布団の間にもうひとつ肉布団。
冬の夜にこれほどの贅沢があるだろうか。

こんなにあったかくて居心地のよい隙間にいるのに、
やがて二人は掛け布団を跳ね飛ばすほどの
激しい運動を開始するが、
それでも汗だくになるほどの火照りを
互いの体にもたらしていく。

やがてまた全てが終わったときに、
二人は巣に帰るように再び掛け布団の中で、
ひっそりと火照った体温が生み出す狭い空気に包まれて
静かに冬眠に入って行く。

別々にいるときには、
凍えるような厳しい世界で戦っているからこそ、
どこまでもあたたかく、安らげる小さな隙間の中で。

それは、世界で一番暖かな隙間。

二人で静かな眠りにつける。

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