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好きって

Twitterで呟くには長くてここに書いてみます。

ショパンコンクールをYouTubeで聴いていました。あまりに素晴らしくて。とても心動かされた。

個人的に心揺さぶられたのは、小林愛実さんが第三次で演奏された24のプレリュードの『雨だれ』。
ゆっくり、一定に、優しい雨粒が落ちていくような、静かで美しい曲。そのひとつひとつの音を、愛おしそうに、大切に、言葉を紡ぐように奏でていく。
完全にその世界に引き込まれました。

演奏後のインタビューで、
「すべての音に意味が聞こえるように、一音一音大切に演奏するというのが、自分の信念」
と仰っていて、本当にそれが伝わる演奏だったなぁと感動した。

そして、そういう演奏の美しさももちろんだけれど、
ピアニストの方々の、その、ピアノを弾く、音を奏でる、という姿そのものに、どうしようもなく心動かされたのです。
表現する喜びや、音楽への深い愛。
楽しい、とか、好き、も溢れている。

でもその裏には、絶対に過酷な日々があって、楽しいとか好きだけではどうにもならない感情がきっとあって。
一筋縄ではいかない、一言では説明のできない、複雑な色々を内包して、それでもやっぱり心の真ん中に煌めく「好き」があるのだろうなあと。

好き、ってきっとすごく強くて、原動力にもなるし、前に進む力をくれるけど、時にはそれに傷つけられたりもする。物でも事でも人でもきっと。
厄介で、でも愛おしい感情。
好きになんてならなければ。こんなに苦しまずに済んだのに。
悔しくて、許せなくて、消してしまいたいくらい憎いのに、でもどうしても失いたくない。
ずっと心の真ん中にあって、自分を支えて、あたためてくれるもの。
そういう全てが伝わるから、心が動くんだろうな。


(追記)
受賞後のインタビューで小林さんが、

「小さい子たちがピアノをがんばっているのを見ていて。がんばることは大切だけど、がんばりすぎてもいけない。
息抜きしながら、音楽だけに縛られず、どこかで普通の生活を楽しみながら生きて欲しい。
なぜなら、音楽というのは人生そのものだから。」

と仰っていたのを読み、涙が出た。
やっぱりそうやって、人生をかけてきたのだなぁと。
そして、こういう言葉を届けられる人だからこその、まさに人生そのものを見せてくれた音楽だった。

色々なことを思い起こさせてくれた、素敵な機会でした。コンテスタントの皆様ありがとうございます。

やっぱり私はピアノが好きだったのだなあと改めて。
そのうち、ピアノのお話も書いてみたいなあ。

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