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チタタプしてヒンナヒンナしたいんだ

チタタプしてヒンナヒンナしたい。

ゴールデンカムイを知らない人には「なんのこっちゃ」と思われるだろうが、チタタプしてヒンナヒンナするとは、「たたきの料理を作って、感謝しながら食べる」みたいな意味である。
チタタプもヒンナも、アイヌ語だ。

最近、ゴールデンカムイ最終巻を読み終えた。
興奮冷めやらないので、ゴールデンカムイについて思うところを記事にすることにした。

ちなみに、以前書いた漫画紹介記事には、ゴールデンカムイは入れていなかった。
というのも、元々数年前に第1巻だけ読んでいたのだが、それ程ハマらなかったのか、当時は続きを読み進めずにいたからだ。
あの時の自分はどうかしていた。どのくらいどうかしていたかというと、樺太でのサーカス公演にて、杉元の腹切りショー用の刀(トリックのある偽物)をショー直前に本物の刀にこっそり差し替えるというイタズラをする鯉登少尉ぐらい、どうかしていた。

今回、事の経緯としては、数ヶ月前に嫁がゴールデンカムイのアニメ版にハマり、それを僕に勧めてきたので、僕もアニメを観たのだった。
すると僕はアニメ第一話で夢中になり、その後漫画を全巻Kindleで購入して一気に読破したというわけである。(アニメでは漫画の20巻にあたるストーリーまでが公開済。漫画は全31巻。)

実は、ゴールデンカムイを全巻大人買いする段になって初めて1巻は既に持っていたことが発覚したのだが、僕にはこういうことが結構あって、誰かに勧められた作品をネットで購入しようとすると、「あなたは以前この商品を買っています」というメッセージをちょくちょく見かける。
ドジである。樺太でのサーカス公演の少女団とのダンス練習シーンの谷垣ゲンジロウばりに、鈍臭さ丸出しである。

脱線したが、ゴールデンカムイを最終話まで読み終えた感想は、もう、凄過ぎた。これに尽きる。
ラストのワンシーンも含め、素晴らしかった。

ゴールデンカムイ、超オススメである。
なんてったって、迫力満点の死闘にハラハラドキドキして、コミカルシーンでヒィヒィ笑って、アイヌ文化を知って「ヘぇ、おもしろい!」と唸る、この3つを作中で繰り返しずっと味わい続けられるんでね。

一応知らない方のために、ゴールデンカムイのあらすじと登場人物について自分なりにまとめたものを、以下に記しておく。
(※結末に関するネタバレは一切ありません。)


あらすじ(要素多すぎてまとめるの大変)

ゴールデンカムイは、明治末期における、北海道を舞台にした金塊争奪戦を描いたフィクションである。
金塊の在りかのヒントは、網走刑務所から脱獄した凶悪な24人の囚人達の体に刺青として刻まれている。
日露戦争帰りの青年“不死身の杉元“こと杉元佐一(戦時中は大日本帝国陸軍第一師団に所属)とアイヌの少女・アシリパが手を組み、この“刺青人皮”なるものを集めるサバイバルに参戦する。

この金塊争奪戦は三つ巴の様相を呈し、杉元・アシリパ組(+白石)に加え、鶴見中尉要する陸軍第七師団、そして新選組の生き残り・土方歳三陣営が争う。(史実上、新選組“鬼の副長”こと土方歳三は函館戦争で亡くなったとされているが、ゴールデンカムイでは、実は土方はその後も生きていて網走刑務所で服役させられていたという世界線が描かれる。)

金塊争奪(金塊の謎が解き明かされるシーンは鳥肌もの)、アイヌ文化(アイヌも地域によって性格が異なり、各地のアイヌを束ねようとしていたのがアシリパの父)、グルメ(動物の脳みそに塩かけて食う率高め)、狩猟(ヒグマ遭遇率高め)、網走刑務所(囚人たち全員キャラ濃すぎ)、帝政ロシア(国境での撃ち合いシーンも見もの)等々をテーマに、登場人物たちの思惑が複雑に絡み合う、大人向けの漫画作品である。


魅力的な登場人物たち(ほぼ全員男、ほぼ全員ムキムキ)

まず主人公の杉元佐一。“不死身の杉元”と呼ばれ、刺されても撃たれても闘い続ける、超タフガイである。
杉元の何が良いって、最初から最後まで、常に行動の動機が「人のため」だということ。鶴見中尉や土方歳三のようなキャラも格好良いと思うし、彼らの考え方にも共感できないわけではないのだが、やはり杉元の、自分本位ではなく、故郷の幼馴染のため、そしてアイヌの少女アシリパさんのため、そのために危険を顧みず敵に向かっていく姿が格好良すぎる。
一般的に、物語というものは主人公の成長や葛藤を描くものが多いが、ゴールデンカムイの場合、主人公の杉元は第一話から物凄く強く、進むべき道に迷いがない。

そしてもう一人の主人公、アシリパさん。アシリパさんは、可愛くて格好良くて、キラキラした少女である。ヒロインのアシリパさんがまだ子どもであるため、この作品には“大人の恋愛”要素がほぼ皆無だが、逆に言えば、アシリパさんの人間的魅力を純粋な気持ちで堪能できるといえる。一緒に過ごす屈強な男たちも皆、アシリパさんの不思議な魅力に魅せられていくことになる。
「新しいアイヌの女」として、雪国で生き抜くアイヌならではの知恵を活かしつつ、それでいて伝統や言い伝えに縛られ過ぎない柔軟な姿勢は見上げたもので、もはや彼女を一介の「少女」と形容するのが的外れではないかと思えるほどだ。

他にも、白石、鶴見中尉、土方歳三、尾形、月島、鯉登、谷垣など、魅力的過ぎる登場人物がわんさか出てくる。
ここに挙げている男たちは、白石を除いて皆全身ムキムキで、喧嘩したら超強い。全員、何度も死線をくぐり抜けているのだ。

ちなみに、上述の白石は、脱獄のスペシャリストであり、脱獄王という異名をもっている。さらに白石は、明るくて取っ付きやすいキャラクター故、杉元陣営随一のいじられキャラとして、最後まで重要な役割を担い続ける。ゴールデンカムイの中で誰か友達にできるとしたら、僕は白石を選ぶだろう。

他方、作者・野田サトルの寵愛を受けているのが、“すけべ過ぎるマタギ(猟師)”こと谷垣。最初こそ敵キャラとして登場するが、早々に敵陣営を抜けて独立し、恩人のために動くようになる。不器用だが人情深い、真っ直ぐなマタギである。谷垣は回を増すごとに体の露出が激しくなり、セクシーさが際立って、それがまあ面白い。写真館での撮影シーンとサーカス団の樺太公演は、谷垣のためにあったのではないかと思えるほどである。

個人的には、尾形も推しキャラの一人。超一流の狙撃手・尾形は、憎むべき敵キャラなのだが、まあコイツが格好良い。尾形は「親殺しは通過儀礼だぜ」なんて言ってしまうサイコパスだが、家族からの愛を感じられずにそれを追い求めた結果が今の歪んだ尾形を生んでおり、それがなんとも不憫である。無口な尾形がポツリと発する言葉の一つ一つに注目し、そして杉元と対峙するシーンに刮目せよ。

あと他にも、ゴールデンカムイにおける土方歳三って漫画史上一番格好良いお爺さんだよねとか、鶴見中尉ってイカレてるけど人心掌握と戦略立案が天才的に上手いよねとか、一人一人のキャラについていろいろ言及したいが、長くなるのでこのへんにしておく。


最後に

魅力満点のゴールデンカムイ、あなたも是非読んでみてね。

僕が今やりたいことは、一時帰国して、京都で開催中のゴールデンカムイ展に行くことと、アイヌ料理店に行くことである。

ゴールデンカムイ展では、クリアファイルを大量に購入したい。できれば谷垣柄の。

アイヌ料理店では、本物のチタタプ料理を食べて言いたい。ヒンナヒンナってね。


おわり

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