お金について本気出して考えてみた
ポルノグラフィティは2002年、「幸せについて本気出して考えてみたら いつでも同じ所に行きつくのさ」と歌った。
あれから20年経った。
ポルノグラフィティが幸せについて本気出して考えるなら、こっちはお金について本気出して考えてみたいと思う。
お金とのこれまでの付き合いだったり、お金について考えて頭に浮かんだものを、思いつくままに書いてみる。
行き当たりばったりなので、幸せと違って、どんな所に行きつくかはわからないのさ。
1. お金とのこれまでの付き合い
僕は、貯金がわりと貯まるタイプ。
小学生〜中学生の頃、500円貯金箱が満タンになるまで小銭を投入し続けたのは兄弟や親戚の中では僕だけだったし、お正月に大人からもらうお年玉も僕だけは使い切れないことが多かった。
お金が手に入ると、「使い道もないしとりあえず貯金しとくか」という思考になるのは昔からだ。
子どもの頃から物欲があんまりなかったし、お金への執着もなかった。
アラサーになった今でも、収入が増えても支出がそこまで増えるわけではないので、自然と貯金が溜まる生活を送っている。(貯金ばっかりじゃなくて将来に向けて計画的に資産運用しないとな、と思っている今日この頃だが、それはまた別のお話。)
そんな僕でも、パァーっとお金を使うものがいくつかあるのだが、その代表例が旅行だ。
旅行中は、とち狂ったようにガンガンお金を使う。モノではなく、素敵な体験に対して、お金を払いたいのだ。感動するコトに対して、お金を使いたいのである。
また、旅行中に余計なストレスを感じたくないという理由もあって、お金で解決できるものは、お金で解決するようにしている。貧乏旅行を好んだ時期もあったが、それはもう卒業した。
そういうわけで、旅行は貯金屋の僕にとって絶好の散財の機会なのである。
ところで、大人になってもお金が貯まりやすいのは、嫁が高級志向でないことも少なからず影響していると思う。
例えば、もし高級ブランドが大好きな奥さんだったら、僕は財産を搾り取られていた可能性がある。
僕のお金管理能力はザルなので、身近にバンバンお金を使う人がいたら、どんどん吸い取られていたと思う。
嫁は、グッチやルイ・ヴィトンを目にしても、「なんだか魅力を感じない」と言うような女性。
逆に、嫁は「安かろう悪かろう」の製品やサービスに手を出しやすい傾向があるので、「値段が高くても良いものにお金を払った方がいい」と僕がたしなめることもある。
2. 適正価格について考える
適正価格というのはマーケットの需要と供給のバランスの中で決まるわけだが、これを正確に把握するのは難しく、さらに個人間での口約束ベースのような取引においては、この定義はさらに曖昧なものになる。
適正価格なるものを考える際に、思い出すエピソードがある。
海外赴任地で、公私ともに懇意にしている小さなハイヤー会社があるのだが、プライベートで丸二日間、そのハイヤー会社の車一台と運転手一人を確保させてもらったことがあった。
条件と金額の合意後に、向こうの好意でいくつかのサービス内容が追加された。安全のため防弾車を使うとか、荷物を沢山乗せやすいようにワンサイズ大きい車にするとか。
恐縮してしまった僕は、その配車サービス会社の社長に対し、「オプション追加に際して、その分も請求してくださいね。そのサービスに対して元々合意した金額だと、安過ぎると思うんで」と言ったのだが、社長は僕の申し出を丁重に断った。その理由につき、社長はこう語った。
「青砥さん、この国にはこんなことわざがあります。“一度決めた値段に、安いも高いもない”。だから、握った価格に、あとから安過ぎたも何もないんです」
さらに社長は続けた。
「これはね、青砥さんのために、ウチがやりたくて、勝手にサービスさせてもらうんです」
この社長の言葉を聞いて僕は、「惚れてまうやろ!」と心の中で叫んでいた。
それ以降、そのハイヤー会社には恩義を感じて、仕事をいっぱい頼んで、なるべく沢山お金を落とす、さらにいろんな人にこの会社を積極的に紹介する、という活動を自主的に行なっている。
こういう話をすると、そのハイヤー会社の策略にハマったと捉えて、絶好のカモだと冷笑する人もひょっとするといるかもしれない。
確かに、無料で手厚いサービスを追加する手法は、顧客のロイヤルティを上げるための将来への投資という位置づけでやっている、同社の戦略の一環なのかもしれない。
でも、それならそれで、結構なことではないか。
自分が納得して、気持ちよくこの会社にお金を払いたくなったのだから、それが相手の狙い通りだったとしても、何も問題ないではないか。
そもそも、ビジネスとはそんなもの。お金とサービスの等価交換といった単純な話ではなく、情や恩義や好き嫌いなど、人の感情が複雑に絡み合う。
だから、自分の心が動いたのなら、その心の動きを無視したくない。
ちなみに、社長から教えてもらった“一度決めた値段に、安いも高いもない”というフレーズは気に入っていて、ことあるごとに思い出しては自分に言い聞かせている。
3. 「お金」と「評価」
巷でよく言われる批判で、僕が懐疑的に見ているものがある。
それは、スポーツ選手がお金持ちクラブに移籍するときに向けられる、「結局カネかよ」という類の非難だ。
これは、特にビッグマネーが動く欧州のサッカーで顕著に見られるように思う。
お金のあるサッカークラブが、他のクラブから良い選手を好待遇で引き抜くときに、旧クラブのサポーターはじめ、大衆からその選手に向けて、「お前はカネを選んだのか。お前にクラブ愛はないのか」という批判の矢が向けられる。
僕はそういうものを見かける度に、「そんなの当たり前では?それがプロの世界では?」と思う。
お金をより払ってくれるチームの方が、自分のことをより評価してくれてるんだから、そっちに気持ちが向くのは当然だと思う。
サッカー元日本代表の内田篤人さんは、何かのTV番組で司会に「内田さんが考える全世界ベストイレブンは?」と聞かれ、「年俸順に11人並べる。だって、年俸が高い人は、それだけ評価されてる、それだけ実力があるってことでしょ」と、さらっと答えていたのだが、僕はそれを見たとき、TVの前で10回ぐらい頷いていた。
もちろん、能力はすごく高いのに評価が伴っていない恵まれない人はこの世に沢山いると思う。逆に、過大評価されている人も少なからずいるだろう。
それでも、一年単位で目まぐるしくスターが移り変わり年俸も乱高下するような欧州サッカー市場において、複数年に渡って年俸ランキングTOPにいるような選手達の能力が突出していることは、疑いようがない。
スポーツ選手達にとっては「年俸」という数字が、一般の社会人達にとっては「年収」という数字が、評価の指標として一番わかりやすいものだと思う。
僕自身の話をすると、自分は「お金」に執着しないと冒頭で書いたが、「評価」は気になる。
だから、会社から毎年支給されるボーナスがいくらになるのか、これはとても気にしている。ボーナスには個人業績が一部反映されるので、見たいのはそこだ。
ボーナスとしてお金そのものをたくさん欲しいのではなく、いや、もちろんお金をたくさんもらえるに越したことはないのだが、それよりも、自分が提供した価値や自分が出した成果に対して、正当な評価が欲しいのである。
4. やりがい搾取はダメ絶対
数年前に大ヒットしたドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』の中で、新垣結衣演じるヒロインの森山みくりが「やりがい搾取」という言葉を使っていた。
やりがい搾取に関するみくりのセリフを、以下、三つ続けて紹介する。
これらのセリフを聞いたとき、目が覚める思いがした。
こういうものって、この世界のいろんなところで蔓延しているのではないか?
対価が発生すべきモノやサービスや労働に対して然るべきお金を払おうとしない人、案外いると思う。そういう人が雇う側だと、雇われ側は大変だ。
このみくりの発言に対して、もし「何を生意気な。お前はカネしか見てないのか」なんて言う雇用主がいたら、その会話に横から割り込みして、「当たり前でしょ。みくりさんの労働が必要なら、それと引き換えに、ちゃんとカネを払ってあげてください」と言ってやりたい。
ところで、僕の知人で、ドケチな還暦超えの男性がいるのだが、その知人が以前、「30年前にやった自分の結婚式ではさ、知り合いのホテル支配人やミュージシャンに協力してもらって、賑やかな披露宴をタダ同然でやれたのよ」と自慢げに語っていた。
僕はそれを聞いたとき、思った。「このおっさんアホか。カネ払え」と。
仕事に対してお金を払わないのは、僕は絶対にナシだと思う。
もちろん、相手が断固としてお金を受け取らないのであれば別の話だが、まあ、仮にもしそうやって相手の好意のおかげでタダ同然で披露宴をやれたとて、それをあたかも自分の人脈や交渉力を示すエピソードかのように、つまり「得した話」として周りに意気揚々と語るものではない。
何を言いたいかというと、お金をちゃんと払おうよ、それは相手への評価や敬意にあたるものなんだから、ということ。やりがい搾取は、ダメ絶対。
終わりに
お金について本気出して考えてみて、思いつくままに書いてみたら、まとまりのない文章になってしまった。
書く前は、「お金についてはそこまで語れることがないから1000字以下で終わるかな」と思っていたのだが、考え始めたらいろいろ出てきて、話があっちこっちにいって、気が付けば4000字近くになっていた。
実は、他のnoterさんの記事から学んだ投資術や、将来に向けてこれから勉強していこうと思う資産形成についても少し書こうかなとぼんやり考えていたのだが、そのあたりについて書き始めると、10000字を優に超えて、僕もあなたも気が遠くなると思うので、このあたりで切り上げておく。
それでは。
おわり
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