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【労働基準法】間違えた問題と解説~平成28年選択式~

今日からは同じ年度を横に展開していきます。
可能な限り実践に近い形で。
それでは元気にがんばっていきましょー!!

問題文

 次の文中の【】の部分を選択肢の中の最も適切な語句で埋め、完全な文章とせよ。

1 最高裁判所は、労働基準法第19条第1項の解雇制限が解除されるかどうかが問題となった事件において、次のように判示した。

 「労災保険法に基づく保険給付の実質及び労働基準法上の災害補償との関係等によれば、同法〔労働基準法〕において使用者の義務とされている災害補償は、これに代わるものとしての労災保険法に基づく保険給付が行われている場合にはそれによって実質的に行われているものといえるので、使用者自らの負担により災害補償が行われている場合とこれに代わるものとしての同法〔労災保険法〕に基づく保険給付が行われている場合とで、同項〔労働基準法第19条第1項〕ただし書の適用の有無につき取扱いを異にすべきものとはいい難い。また、後者の場合には【A】として相当額の支払がされても傷害又は疾病が治るまでの間は労災保険法に基づき必要な療養補償給付がされることなども勘案すれば、これらの場合につき同項ただし書の適用の有無につき異なる取扱いがされなければ労働者の利益につきその保護を欠くことになるものともいい難い。

 そうすると、労災保険法12条の8第1項1号の療養補償給付を受ける労働者は、解雇制限に関する労働基準法19条1項の適用に関しては、同項ただし書が【A】の根拠規定として掲げる同法81条にいう同法75条の規定によって補償を受ける労働者に含まれるものとみるのが相当である。

 したがって、労災保険法12条の8第1項1号の療養補償給付を受ける労働者が、療養開始後【B】を経過しても疾病等が治らない場合には、労働基準法75条による療養補償を受ける労働者が上記の状況にある場合と同様に、使用者は、当該労働者につき、同法81条の規定による【A】の支払をすることにより、解雇制限の除外事由を定める同法19条1項ただし書の適用を受けることができるものと解するのが相当である。」

2 労働基準法第38条の4で定めるいわゆる企画業務型裁量労働制について、同条第1項第1号はその対象業務を、「事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析の業務であつて、当該業務の性質上これを適切に遂行するにはその遂行の方法を大幅に労働者の裁量に委ねる必要があるため、当該業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し【C】こととする業務」としている。

3 労働安全衛生法第10条第2項において、「総括安全衛生管理者は、【D】をもって充てなければならない。」とされている。

4 労働安全衛生法第66条の10により、事業者が労働者に対し実施することが求められている医師等による心理的な負担の程度を把握するための検査における医師等とは、労働安全衛生規則第52条の10において、医師、保健師のほか、検査を行うために必要な知識についての研修であって厚生労働大臣が定めるものを修了した歯科医師、看護師【E】又は公認心理師とされている。

選択肢



解答結果

A:○ | B:× | C:× | D:○ | E:×

正答

A:(7)打切補償
B:(4)3年→2年と回答
C:(9)使用者が具体的な指示をしない
→(12)使用者が具体的な指示をすることが困難なものとして労使委員会で定める業務のうち、労働者に就かせると回答
D:(14)当該事業場においてその事業の実施を統括管理する者
E:(18)精神保健福祉士→労働衛生コンサルタントと回答


押さえておきたいポイント

AB. 「労災保険法12条の8第1項1号の療養補償給付を受ける労働者が、療養開始後3年を経過しても疾病等が治らない場合には、労働基準法75条による療養補償を受ける労働者が上記の状況にある場合と同様に、使用者は、当該労働者につき、同法81条の規定による打切補償の支払をすることにより、解雇制限の除外事由を定める同法19条1項ただし書の適用を受けることができるものと解するのが相当である」とするのが最高裁の判例である。

C. 「当該業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し使用者が具体的な指示をしないこととする業務」としている。

D. 「総括安全衛生管理者は、当該事業場においてその事業の実施を統括管理する者をもつて充てなければならない」と規定されている。

E. 医師、保健師のほか、検査を行うために必要な知識についての研修であって厚生労働大臣が定めるものを修了した歯科医師、看護師又は精神保健福祉士又は公認心理師とされている。

(平成31年法改正)
ストレスチェックの実施者に、必要な研修を修了した歯科医師・公認心理師が追加された。

出題根拠

AB. 労働基準法19条1項,最判平成27年6月8日専修大学事件
C. 労働基準法38条の4
D. 労働安全衛生法10条2項
E. 労働安全衛生規則52条の10



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