#0 こもりうたのはじまり -息子が私で眠った日-
息子と私のはじめてのこもりうた
止まらなかった大泣き
「そろそろ寝ようよ」
1歳息子の大泣きがあまりにも長いので、半分笑いながら心の声が漏れた午後1時。さっきまでの水遊びをまだ続けたいと訴え続ける大粒の涙たち。
いつものお昼寝時間を過ぎているし、本当は眠くてご機嫌斜めなんだよね。
大好きな「あまちゃんのオープニングテーマ」は試した。ダメだった。
「おかあさんといっしょ」のお兄さんお姉さんの美声も虚しく。
遊びたいけど眠たい、眠たいけどうまく落ち着けない…。
親としたことが、私はあまり対策を知らない。これ以上スマホに頼ると奪われる。幸いなことに暴れてはいないので、とりあえず抱き寄せながら淡々と言いたいことを言ってみた。
大丈夫、だいじょーぶ、だいじょうぶだよ
うんうん、だいじょーぶ ねんねしようね
だいじょーぶのメロディ
力んでいた腕が徐々に落ちていく。顔をすりすりし始める。
だいじょーぶ、だいじょうぶ。
まだ不満げな声を出してる。喋れないけど伝えてくれてる。
だいじょーぶ、だいじょーぶよ。ねんね。
なんだか歌みたいになってきた。
トントン、だいじょーぶ、だいじょーぶ。ねんね、ねんね。
どれくらい時間が経っただろうか…寝た。(感動)
こもりうたは「捌け口」だった?
「早く寝てくれ」が起源?
寝かしつけ。産み落とした直後から、睡眠不足で気絶しそうな意識と戦いながら眠りにつくのが苦手な赤ちゃんをお手伝いする、過酷な仕事。
授乳期は特に、母親がつきっきりなことは昔も今も変わりません。
どれだけ愛していても、ネガティブな気持ちを向けたくなくても「早く寝てくれ」と言わずにはいられないのが実情。
この、ついつい漏れ出た「早く寝てくれ」が実はこもりうたの起源なのではないかという説があります。私、とても興奮しました。
民族音楽学者でUCLA講師の Andrew Pettit さんがこのようなことをお話しています。
また、Institute for Neuro-Physiological Psychology 所長、幼児発達の専門家であるSally Goddard Blytheさんもこう言います。
こもりうたの語源や起源の掘り下げは別の機会としますが、この説に信憑性があると感じる親は少なくないのではないでしょうか。
なぜなら、身に覚えがあるから(笑)
図らずも「こもりうた」になっていた
「だいじょーぶ」(意訳:早く寝てくれ)で息子が寝たあの日。
母の声がよかったのか、同じ言葉を繰り返したことがよかったのか。
はたまた、私が素直な気持ちをただ言葉にしたのがよかったのか。
息子をなだめるつもりで声に出した言葉が、なんだか自分のために言葉にしているような気もして、私自身も落ち着けたのもよかったのかも。
図らずも、はじめて私がこもりうたになった出来事で、
やはり、こうして世界中のこもりうたが生まれていったのではないかと
信じてみたくなった出来事でした。
こもりうたって面白そう
実は捌け口だった説にはじまり、こもりうたには実は面白い裏話がいくつかあるようです。眠りにつくという期待された機能があり、子守というなかなか過酷な生活に根付いているので、おそらく娯楽の音楽とはまた性質が違うでしょう。
歴史や世界を見渡した時、どんなこもりうたが存在してきたのか?
ブラームスやシューベルト等の作曲家が何故こぞってこもりうたを発表してきたか?こもりうたって本当に眠れるのか?
子育て中の皆様だけでなく、老若男女の皆様に楽しんで頂ける面白い世界だと期待しています。
今日はしばし自分語りが多くなりましたが、こもりうたの秘密を少しずつシェアしていきたいと思いますので、末長くお付き合いください。
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