嫌いなもので、あなたを語って

「好きなものが同じ人と一緒にいたい」10年くらい前まではよくそんなふうに思っていた。

「嫌いなものが同じ人と一緒にいたい」今となってはつくづくそう思う。

好きなものが同じ人は雰囲気でなんとなく察知できるし、同じ匂いを感じ合うので仲が深まるのが早い。同じもので盛り上がり、嬉しい気持ちを共有できる。それはそれで大切な縁だ。だけれど、私の嫌ってたり怒っていたりするものごとでその人が喜ぶのを見ると、途端に胸の奥がすっと冷えるのを感じる。

自分を保つために大切な考えや想いを守るために「嫌悪」や「怒り」という感情があるのだろうと思う。大切なものごとを侵害されたとき、嫌悪感や怒りが芽生える。自分の嫌いなもので喜ぶ人は、自分の大切な領域を侵害する人。そのように脳が判断して拒絶する際の感情だろう。

好きなものが一致しても侵害する・されるリスクは変わらずあるが、嫌いなものが一致すれば侵害する・されるリスクは小さくなるだろう。
そうは思っていても他人の好き・嫌いなものの全てを把握することは不可能だし、それを知るより先に自分がその相手に抱く感情が育ってしまう。私は人のことをすぐ好きになるので、その分絶望も多い。普段は接点が無い職場の人と先日初めて話して「え、めっちゃこの人面白いじゃん!最高!」となったが、その後トランプ元大統領や安倍元首相を称賛する発言をしたので「あ、完全に無理です。」となった。その間数分。振り幅でかい。

嫌いなものの話はそれ自体が嫌われる。「嫌いなものの話はいい気分にならないから」とは言うが、それって「相手のことが見えすぎてしまうから」ということなのではないかと考える。人との距離を保つためのある種の防衛本能。センシティブであるのは理解しているし、誰とでも話したい内容ではない。だけれども、興味がある人や好きな人とは、嫌いなものの話がしたい。それによってその人の大切にしているものがより理解できるから。

私の嫌いなものは
・男だからとか女っぽいねとかの性別で区切る発言
・物事を”こうだ”と決めつける姿勢
・差別的な発言、行動
・なんちゃってSDGs
・刺激が多すぎること
・動物をアクセサリーのように扱ったり、賭け事に使うこと
・社会的弱者とされる人を見ないふりしたり関係ないと思う人
など、など。

あなたの嫌いなものはなんですか?

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