セラムン二次創作小説『こんなお家デートも良いものだ(ゾイ亜美)』


「参りました」


今日は亜美とお家デート。ん?今日もだろって?

まぁそこは敢えて置いといて。今日のお家デートにしていたのは囲碁。

え?囲碁なんて洋風な私に似合わないって?

浅いわねぇ~。浅いわ!

確かに似合わないわ。まぁそれは認めるとして。

何故囲碁を嗜むかと言うと、頭脳ゲームは一通り出来るようにしておきたかったのよね。

チェスにオセロ、囲碁将棋ってね。

こういう頭を使うゲームは勉強を円滑にする為にいいのよ。やっておいて損は無い。


お陰で亜美ともこの手のものでよく勝負をする。

それが私たちの付き合い方で、コミュニケーションの一つ。

そしてかなり強い。好敵手。

多分、私に勝てるのは彼女の他、衛や他の四天王でもいないと思う。

そして、今日も囲碁を彼女として物の見事に負けた。

冒頭の降参宣言は私のセリフってわけ。


「亜美、相変わらず強いわ……」

「彩都さんも強いですよ。気が抜けない」

「とか何とか言っちゃって、余裕そうだったけど?」

「まさか!かなり頭使いました」

「でも最終的には圧勝よ」

「勝負には真剣に、真摯に向き合いたいので」

「流石はマーキュリー殿。お見逸れ致しました」

「まぁ、ゾイサイトったら」


勝負にはいつだって真剣。前世から変わらない彼女の姿勢に、思わず昔の名を呼ぶ。

すると瞬時に彼女も応えてくれる。


「好きだよ、マーキュリー」

「私もよ、ゾイサイト」


前世で伝えられなかった想い。

幾度となく伝えようとして出来なかった愛の告白。

今だからこそ、前世の名で愛を伝えたいと思った。

彼女もちゃんと昔の名で、それに答えてくれる。

もうこれ以上の幸せはないな。

頭脳ゲームに勝てなくても、これだけでとても満たされる。

我ながら単純だけど、惚れた弱みか。こればかりは仕方ない。

亜美が入れてくれた紅茶を飲みながら談笑。そして囲碁の勝負。負けたけど満たされる。


「亜美の入れる紅茶は絶品だな」

「誰が入れても同じよ。彩都さんも入れるのお上手でしょ?真似してるだけよ」


お手本にしてくれてるとは光栄だな。

近くに料理が上手くて、勿論紅茶を入れるのが上手いまことがいるのに。それよりも俺の味が気に入ってくれてるという言葉は単純に嬉しい。

余り多くは語り合わない俺たちだけど、分かり合えている感じがする。これが俺たちの付き合い方。

彼女が自分色に染まっていくのが嬉しく想う最高のお家デートだった。





おわり



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