セラムン二次創作小説『デートの行方(ジェダレイ)』



「今度レイとデートなんだが、何処かお勧めの場所とかあるか?」

「はぁ?そんなの自分でリサーチしろよ!俺、レイちゃんの好み知らねぇし…」

「お前は俺に協力する義務があるだろ?」

「そんな義務、ゴミ箱に丸めてポイだ!」

「捨てるな!拾え!この前、まこっちゃんのカフェに付き合ってやったろ?」

「それは有難かった」

「だろ?俺、大いに役立ったろ?今度はその恩を今すぐアドバイスして返せ!」

「お前も大分偉そうだな?」

「いいのか?まこっちゃんに一部始終この前の事チクっても」

「…それは困る」

「だろ?どこに行けば喜ぶ?」

「美術館とか博物館とかは?静かな所が好きそうだけど?」

「ロマンティックじゃないなぁ…プラネタリウムとかは?」

「それは俺の専売特許だから取るなよ?」

「星は何でも知っているもんな?」

「バカにしてるだろ?」

「まぁな?」

「お前の行きたい所に連れてって好みを知ってもらうってのも有りだと思うぜ!」

「俺の行きたいところかぁ…。アドバイス、サンキュー!参考になったわ」


珍しくレイと平日の放課後、互いの学校終わりにデートする事になった和永はどこに行けば良いか途方に暮れ、恋愛経験豊富で、この前恩を売った勇人に相談の電話を入れていた。


勇人のアドバイスを元に自分がレイと行ってみたい所に行く事にした。


一応彼女の行きたい所も聞いて決めようと思った。


そして当日、いつも通り火川神社へレイを迎えに行行くと制服で待ち構えていて驚いた。


中々デートらしいデートが無いノー免疫力の和永にとって、TA女学園の制服に身を纏っているレイと憧れの制服デートなんていきなり凄いサプライズで死んでもいいとさえ思った。


「何処へ連れてって下さるの?」


TA女学園の制服を着ているからだろうか?ご丁寧なお嬢様言葉で質問してこられて威圧感でタジタジになる。


「えっとぉ…レイは何処か行きたい所とかある?」

「決めてらっしゃらないの?私ならどこでも良くってよ?」

「じ、じゃあ、ゲーセンとかどうかな?」

「ゲーセン?行きましょう」


嫌な顔して否定されるかと思ったら、キラキラした目で乗り気で驚いてしまった。まさか結構ゲーセン好きなのか?


「行ったことあるのか?」

「あるわよ。何度も」

「何度も?何で?美奈子か?」

「違うわよ!司令室があるからよ!ゲームは余りした事ないけど」


ああそうか、そんな所に司令室があるのか…予想もしてなかったし、何よりお嬢様のレイにあまりにも合わない。

意外だと思いながら、行きたがってくれたから目的をゲーセンに絞り、クラウンに行く事にした。


着くと学校帰りの学生で結構賑わっていたが、レイが奇跡的に空いていたセーラーVゲームの台へと吸い込まれるように座った。


「懐かしいわ。戦士始めた頃良くやって戦いのシミュレーションしてたのよね!とても役に立ったわ。その後、本人が登場して、しなくなってしまったけれど…」


とても楽しそうに生き生きと話すレイは、余程そのゲームの主人公である美奈子が好きなのか、普段はクールな彼女の顔は笑顔だった。

彼女が笑顔なのは嬉しいけど、俺自身が笑顔を引き出した訳では無いから悔しい。美奈子、アイツは何なんだ?女子、しかも美奈子に嫉妬してる俺も何なんだ?


夢中でゲームをしている彼女を見ると、アドバイスしようと思ったけど昔していただけあって上手く、俺の出番がないままエンディングを迎えてしまった。


次はどうしようかとセーラーVゲームを後にしてウロウロしていると、プリクラコーナーが目に入る。

プリクラかぁ…レイと撮りたいな!


「あのさぁ、レイ?俺、レイとプリクラ撮りたいなぁ…なんて」

「別に良いわよ?」

「うん、そうだよな?無理だよな。…ってえぇ?マジ?良いの?」

「何よ?嫌なら良いのよ!」


久しぶりにセーラーVゲームをやって、ゲームの中だが美奈子に会えたからか上機嫌のレイはプリクラを撮ることを快諾してくれた。

癪だが美奈子に感謝してやるか?


プリクラと言っても色々種類あり過ぎてお互い初心者過ぎて適当に入る。


料金400円?割と高いな?と思いながら言い出しっぺの俺が全額入れることにした。


背景?分割?加工?は?色々選ばせるんだな?撮るまでに挫折だわ。

訳が分からなくなったからレイに変わってやってもらうと、テキパキ選んでくれた。さすが女子!…ってか美奈子としょっちゅう撮ってんのか?アイツは本当に良いとこ取りだな?何なんだ!ズルいぞ!俺にも分けろ!

マジでレイのプリクラが欲しい。


“ポーズを取ってね!”


おお?プリクラから声がしたぞ?

撮るのか?ポーズ?どうしよう…。


“カシャッ”


取り敢えず普通に笑うに止めた。

レイを見ても良い表情で笑ってる。可愛い。

撮り直すことはせずにこのままプリントする事に。

これで完成かと思いきや、まさかのデコレーションが待っていた。ハードル高すぎだからまたレイに任せるに至った。

ん?俺、活躍してなくねぇか?情けない?

ゲーセンなのにいい所全く見せられてないばかりか、レイが謎の大活躍。俺の存在意義って一体…?


そうこうしてる間にプリクラは無事完成。

記念すべきレイとの初めての写真、感無量だ!

やっぱりレイはプリクラでも美人だ。


「ありがとう!宝物にするよ!」

「大袈裟ね?いつでも出来るでしょ?」

「また撮ってくれんの?」

「まぁ気が向いたら、ね?」


せっかくのゲーセンなのに活躍出来なかったけど、プリクラをまた撮ってくれそうな好感触な返答に、不甲斐ない事など一気にどうでも良くなり、心が浮上して有頂天になって飛べそうな勢いだ。

何とも単純な俺である。





おわり



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