セラムン二次創作小説『二人のクリスタル(まもうさ)』



「まもちゃん、ゴールデンクリスタルが現れて良かったね!」

「ああ、うさの言ってた通り俺の体の中にちゃんとあったよ」


最後の最後まで現れず、ピンチを極めて焦ったが、然るべきタイミングで現れ、うさぎ達のサポートが出来たことに衛はとてもホッとした。

あの時はとても眩い光を放ち、強い力を発揮していたゴールデンクリスタルだが、今は落ち着きを取り戻したのか光っていない。


ずっと自分には何の力も無く、うさぎの足でまといでしかない存在だと思って来たが、ずっと力を注ぎ込んで銀水晶の力を強く導いてくれたと言ってくれたように、ちゃんと力が宿っていた。

まさか自分にもクリスタルが体に眠っているとは想定外だった。

だが、今なら納得できると衛は過去の数々の不思議な出来事が頭をよぎる。

ヒーリング能力に治癒能力、予知夢と普通の人には無い能力がいつの間にか備わっていた。


月の姫の生まれ変わりでとてつもない力を持っているうさぎですら突出した特殊能力は無く、それは他のセーラー戦士にも言える事だった。

みな、何かの才能には恵まれているものの、特殊能力は持っていない事に今更気付いた。

改めてそれは自身の体内にあるゴールデンクリスタルの内なる力によるものなのだと理解した。


「まもちゃんのクリスタル、ちょ~綺麗だねぇ~」

「そうか?戦いの時より落ち着いてるぞ?こんなもんなのかな?」

「銀水晶は私の心次第ってクイーンが教えてくれたから、まもちゃんのもそうかもね?今はまもちゃん自身も落ち着いてて使う必要無いからゴールデンクリスタルもお休みしてるのかもしれないね!」

「そういうもんなのか……。流石はクリスタルを使いこなしてる先輩だな!頼りにしてるよ、うさ」

「先輩だなんて……そんな大袈裟だよ、まもちゃん。照れちゃうよ」

「いや、本当うさの事頼りになる先輩だと思ってるし、信頼してる。これからもクリスタルの事で色々教えて欲しい」

「私なんかで教えられるかな?」

「うさにしか出来ないことだ」

「そう?じゃあ分かんないこと何も聞いて!」


えっへん!と得意げになり、衛の役に立つ事を喜び、誇らしげになるうさぎ。


「こぉーら、調子に乗るな!ははは」

「えへへぇ~ごめんなさい!でも、本当嬉しいな❤まもちゃんにもクリスタル♪オソロだね💕」

「ああ、まさかだったけど…これで色々腑に落ちたし、うさの力にもなれるしな」

「また使う時が来るのかな?」

「出来れば一生使わないに越したことはないけどな…」

「クリスタルを使うって事はそれ程の戦いって事だもんね…」


クリスタルを使わないで良いならそれに越したことはない。

うさぎの場合は銀水晶を解放する事、それは即ち死を意味する事で、その度衛は悲痛な想いを抱いていた。

この星を、そして仲間や自分の為に命を投げ出して欲しくはなかったし、これからもそれは普遍的なものだった。

ゴールデンクリスタルがどんな力や効力があるかはまだ未知の世界だが、もしこの聖石でうさぎと銀水晶を救う力があるなら価値があると衛は期待していた。


「もう命を簡単に投げ出したりしないでくれ……お願いだ」

「まもちゃん……。うん、一緒に乗り越えようね!」

「ああ、絶対だぞ!次にクリスタルを使うのは俺たちが本当にキングとクイーンとして即位する時だからな」


衛は6歳の時に両親に先立たれた事もあり、うさぎにまで先立たれる事を恐れていた。

そして今の衛にはうさぎが全てで、うさぎ無しの人生なんて有り得なかった。

ずっと共に生きて行きたい、うさぎが自分を必要としてくれる限り、寄り添い、支えたいと思っていた。


ゴールデンクリスタル、これがあればもっとうさぎの力になれる。

いつも最前線に立ち、無茶をするうさぎの負担を半分に軽減出来るだろうと考えていた。


地球国の王子である証だろうか?

聞いた事もなかった為、とても不思議な感覚だった。

これからうさぎの助言を元にこのゴールデンクリスタルで何が出来るのか?について探求する日々の幕開けとなった。





おわり



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