セラムン二次創作小説『Link us(アル美奈)』


『Link us(アル美奈)』


忘れてた。

私にはずっとアルテミスが傍にいたってことを。

前世も、セーラーVとしての目覚めも、セーラーヴィーナスとして覚醒した時も、いつだってアルテミスが導いてくれていた。


「これは特別な変身なんだ!」


アルテミスにそう言われ、そうなんだと何となく漠然とそう感じていた。

デス・バスターズとの最終決戦でコスチュームが変化して、確かに力が強化されたのを感じたから。

今までの変身ペンで、同じスペルではダメだって何となく気づいていた。


だけど、それでも変身できない。

リーダーなのに、こんな事じゃうさぎもまもちゃんもみんなも守れない。胸が苦しい。

悩み、苦しみもがいても成長も変身も出来ないまま再び敵地に乗り込んで、結局ピンチになって足手まとい。こんなはずじゃなかったのに……


絶対的な大ピンチに、やっぱり助けに来てくれたのはアルテミスだった。

猫の小さな体で私を支えてくれている。

普段は口煩くて、鬱陶しいおっさん猫だって思っていたけど、こんなに頼りがいがあるなんて……男気があるなんて知らなかった。


「アルテミースッッ!!いやあああ」


ただでさえピンチなのに、大きな岩まで……

これ以上アルテミスを巻き込めない。

もう、充分だよ。

ピンチになるまで気づかなかった。

こんなにアルテミスが大切だったなんて。

酷いことばっか言って、いじめてばかりだった。


アルテミス!

あんたはいつだって私と一心同体で、

私の分身だったんだ


後悔と懺悔で押しつぶされそうになっていると、急に力強く手を握られて驚いて見上げると目を疑ってしまった。


「……アルテミス?」


アルテミス……なの?

人間の姿になっている。何で?どうして?

考えていると、何かちょっと自信が付いた顔で支えて来た。


……身体中に力が漲ってくる。

さっきよりも、ずっと強く繋がってる。私とアルテミス。

そう感じた瞬間、アルテミスからクリスタルが現れた。


「キミのヴィーナスクリスタルだ、美奈。さあ、変身だ!」


そう、いつだってアルテミスが私のパワーアップを導いてくれていたんだ。

そんな大切な事をずっと、今まで忘れていたなんて……相棒失格だ。

アルテミスはいつだって私の事を想ってくれていたのに、私は……ぞんざいに扱っててごめんね、アルテミス。

これからは大切にするからね、アルテミス。


でも、その服と容姿はどうなの?

何でへそ出しルック?あんたはギャルか?ギャルテミスって呼ぶわよ!

やっぱりあんたはオカマ猫ちゃんだったのね。髪の毛も長いし、決定ね!

それとその顔!無駄にイケメンね?

今までイケメンな人間て隠してたなんて酷いじゃない!

私が惚れっぽいから黙ってたのね?

しかも、やっぱりどことなくクンツァイトに似てるのよね……


結局、私はクンツァイトの面影をずっと追っていく運命なのね。トホホ……





おわり



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