セラムン二次創作小説『お呼びじゃない二人との対談(ゾイ亜美)』




大学が終わり、待ち合わせの喫茶店に着いた彩都は違う人物が二人も待っていて驚きを隠せずにいた。


「どうして美奈子とレイがいるのよ?私が呼び出したのはまことよ!」


彩都が呼び出した相手はまこと。亜美の親友で色々と親身になって相談に乗り協力してくれそう。そう思い、呼び出したのだった。

しかし、そこにいたのはお呼びでない美奈子とレイの二人。


「まこちゃんは外せない部活の用事が出来たから代理」

「私たちでは不満かしら?」


あからさまに嫌そうな顔を見ながら美奈子とレイが答える。


「あんた達が来るって知ってたら来なかったわよ。別日にしてたわね」


素直に不満を吐露する。素直に言いたいことを言えるのが、彩都の長所であり、短所でもある。


「清々しいわね」

「そりゃあ、どうも。私、あんた達二人とも嫌いだからね!はっきり云って」

「本当にハッキリ言うわね。私もあんたの事、嫌いだからね!」

「あら、それは有難いわ!理由もきっと同じね」


彩都と美奈子は互いが嫌いだとハッキリと言い合った。


「多分ね。私はプリンセスであるうさぎを殺そうとしたからよ」

「やっぱりね。私はその時にあんたにズッタズタに切り裂かれて殺されたからよ!」


それは、彩都がダークキングダムにいた時の話。敵として立ちはだかったかと思えば、事もあろうかプリンセスであるうさぎを殺そうとして来たのだ。

まだ美奈子以外は前世の記憶を取り戻していない。その為、この事がきっかけとなり、セーラーヴィーナスとしてプリンセスの影武者として合流した。


「あら、覚えていたの?」

「せめて殺されるなら今世もマーキュリーが良かったわよ!」


自分だけ想い人の手で殺められ無かったことに嫌悪感を示した。どうする事も出来ないというのに。


「私、危うくマーズにも殺られそうになったのよ!」

「そうなの?さっすがマーズ!やっるぅ~」

「強いって認めてくれましたね」

「服、ズッタズタに切り裂かれたからね」

「ズッタズタにされ過ぎてるわね」

「ほっときなさいよ!」


美奈子は、レイがゾイサイトとタイマンを張ってゾイサイトを圧倒した。それを聞いて興奮する。

しかし、肝心要の彩都は敗北が余程気に入らなかったのか不満そうな顔を保っていた。

レイはまだ戦士として間もなかった戦いで、勝てた事と認められた事に単純に嬉しく思った。王子直属の四天王の一人に勝てた事実に、戦いの戦士として誇らしく感じていた。


「ジェダイトとクンツァイトが惚れるのも分かるわ。私は嫌いだけど、強さは認めてあげるわ」

「へぇー、素直じゃん!」

「おバカ!私はいつでも素直なの!素直じゃないのは亜美よ!亜美!」

「……その亜美ちゃんの相談なんでしょ?」


一体何の相談で呼び出されたのか。美奈子は知りたかった。


「……どうすればあの子が素直に恋愛に前向きになってくれるのかしら?」

「ラブレターを貰うと蕁麻疹が出る何とも羨ましい特異体質だからじゃない?」


たまにだが、美奈子は見ていた。ラブレターを貰い、蕁麻疹を出して痒がっている姿を。それを見ていて、羨ましい反面、大変だと思っていた。


「勉強も大変そうだしなぁ~」

「……何であんたはそんな他人事なの?あんたも見習って勉強しなさい!公斗が泣いてるわよ」

「あんたに関係ないでしょ!」


勉強と言うワードを口にしなければ良かったと美奈子は深く後悔した。

レイを見て助けを求める。


「家庭の事情で奥手になっていると言う事もあると思いますわ」

「家庭の事情……」


レイに提示された理由が説得力があり過ぎて彩都は考え込む。

レイ自身、父親を嫌い男嫌いを拗らせている。美人でお嬢様で頭も良くてモテるのに、勿体ないと彩都は思っていた。


「あの子の両親、小さい頃に離婚しているものね……」


納得した様に呟く彩都。


「複雑な家庭の事情がある特異体質の持ち主の天才少女か……」


ずっと母親と二人で暮らして来た亜美。男慣れしていないことは明白で。

これは手強いと思いながら、女装の麗人で中性的な見た目の自分だからこそ出来ることがあるのでは?と心の中で色々思案し始めた。





おわり




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