セラムン二次創作小説『月野家衝撃のニュース!!!」




「ちょっと話があるんだけど」


月野家が全員揃っている夕飯が食べ終わったタイミングで、進悟が真剣な表情で切り出した。


「何だい、進悟?」

「どうしたの?」


思い詰めたような顔をして真剣に話そうとする進悟を今まで見た事が無かった父と母は心配な面持ちで質問した。


「実は、オレ……」


そこまで言って言葉が詰まる。続きの言葉が喉の奥に詰まっているようで、中々続きが出てこないようだ。


「だから、どうしたのよ進悟!まどろっこしいわね!」

「うさぎ、進悟お兄ちゃんには進悟お兄ちゃんのペースってもんがあるんだから。大人しく待ってあげなさいよ!」


中々言葉を発しない進悟に、うさぎはイライラし始める。そんなうさぎにちびうさが喝を入れる。


「実は、オレ……中学を受験したいと思ってるんだ!」


意を決して進悟は一気にそう告白した。


「ええぇぇ~~~~!!!中学受験!?」


進悟の言葉に一番驚いたのは、他では無いうさぎだった。

それもそのはずで、うさぎは中学三年生。受験をしなければ高校にはいけない。強制的に受験勉強を強いられている。

対して進悟は小学六年生。何もしなくても義務教育の一環でエスカレーター式に受験などしなくとも今、自身が通っている十番中学に通える。

そんなうさぎにとっては羨ましい環境を捨てて受験したいなんてとても信じられないことだったからだ。


「どうして又急に?」


驚くうさぎを他所に、父親は冷静に進悟に受験したい理由を問う。


「急じゃないんだ。6年生になってからずっと考えてた」

「そう言えばここの所、ずっと部屋に引きこもっていたけれど、もしかして勉強していたのかしら?」


専業主婦である母親は、ここの所毎日部屋で大人しくしていた進悟を見ていた。

何をしているのか気になってはいたが、そっと見守る事にした。

しかし、この進悟の告白で一気に理解出来た。


「ああ、そうなんだ。ダメ、かな?」

「いや、進悟が受験したいと言うなら父さん、応援するさ!」


そう答えた父親は、進悟が頑張り屋で頭のいい子だと知っていた。素直に応援したいと心から思った。


「受けたい学校はあるのか?」

「うん、元麻布中学校!」


そう進悟が希望校の名前を言うと一堂は驚いた。

都内屈指の進学校で、偏差値が兎に角高い。頭が良い進悟とて簡単に入れるところでは無いからだ。


「元麻布中学ってそれ、まもちゃんが通っている学校じゃないの!」

「へぇー、進悟お兄ちゃんすっごぉ~い!」


その学校名を聞いて誰より驚いたのがうさぎだ。

そう、恋人の衛が通う学校だったからだ。


「そう、衛さんが通ってる学校さ」

「あんたが頭良いのは知ってるけど、中々入れないのよ?何で寄りにもよって、まもちゃんの学校?」


当然の疑問である。あれだけ衛の事を忌み嫌っていた進悟が、衛が通う学校を目指して頑張りたいと言う。半ば信じられない。


「よりレベルが高いところに行きたかったんだ。衛さんが通っている学校が調度良かったし、十番中学はうさぎみたいなバカしかいないしな!」

「進悟、あんたって子はぁ!」

「何だよ?本当の事だろ!」

「亜美ちゃんは頭良いわよ!失礼しちゃうわね」


確かに公立の中学はレベルが高いとは言い難い。

しかし、そんな中でも頭が良い人はいっぱいいる。亜美もそうだが、海野やなるも頭が良い。

幾ら偏差値の高い大学を見据えているからと言っても、目指せない訳では無い。本人の頑張り次第でいい大学に入れる。


「今からじゃ、相当頑張らないといけないぞ?」

「覚悟の上だよ」


父親が心配するのも無理は無い。

ただでさえレベルの高い中学の受験。そこに加え、もう一学期も終わろうとしていた。

後半年程しか時間は無い。


「へぇー、本気なんだ。でも、進悟が入学した頃にはまもちゃんは卒業してるけどね」

「分かってるよ。衛さんはきっかけだし、ただの憧れなだけさ」

「ふーん」


進悟の言葉にうさぎは納得出来ない様子だった。実の姉の自分より、血の繋がりの全く無い衛を尊敬している進悟。

何故自分では無いのか不満を露にした。


「進悟がそこまで本気なら、塾通って本格的に勉強するか?」

「良いの?金、かかるよね?」

「今更何言ってんだ!気にするな!父さんは一流企業の雑誌編集者だぞ」

「進悟ばっかり、ずるぅ~い!」

「じゃあ、うさぎも塾通うか?」

「いいわね、それ!うさぎこそ、塾に通いなさい」

「それは嫌よ!亜美ちゃんやなるちゃんに教えてもらうから」

「うさぎも進悟お兄ちゃんを見習って、受験勉強頑張んなさいよ!」

「ちびうさ、生意気!」


うさぎとちびうさがいつも通り喧嘩する中、父親は進悟の塾代や学費の為に今以上に働かなければと静かに心の中で投資を燃やしていた。




おわり



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