セラムン二次創作小説『新しい星の輝き』


目を覚ますと、そこは一面何も無い白の世界。その光景にギャラクシアは戸惑っていた。


「ここは……?」


見渡す限り何も無い世界に、言葉を無くす。見覚えの無い場所に、ただただ立ち尽くす。


「ここは、コルドロンの中です」


後ろから話しかけられ、ギャラクシアはハッとなった。後ろを振り返ると、知らない女性がそこに立っていた。


「コルドロンの中?あなたは……?」

「私は、ガーディアン・コスモス。コスモス・シードの守護・星霊」

「ガーディアン・コスモス……」


ギャラクシアは、知らない事ばかりで困惑していた。

死んだはずの自身が何故ここにいるのかさえも分からない。


「確か私は死んだはず。ブレスレットの力に負けて……」


死んだ時の事を思い出したギャラクシアは、胸が締め付けられる程苦しくなった。

カオスは自分など眼中に無かった。それどころか、セーラームーンと戦う為の噛ませ犬。

所詮、屑星で本当のセーラー戦士ではなかった自身など、全てにおいてセーラームーンには適わなかった。

それを死ぬ直前に悟り、絶望した所でブレスレットの力に飲み込まれて消滅してしまった。屑星は、本当の屑星となって散ったのだ。

それが何故か又、こうしてコルドロンの中で生命を受けている。どうしてなのか、さっぱり分からなかった。


「コルドロンは、全てがあり、全て無くなるところでは?何故、またこうして私は命を与えられているのだ?」


当然の疑問である。あれだけ酷いことをしたのだ。完全なる消滅はあっても、そのままの姿で生き返るなど、ありえない事だとギャラクシア自身も感じていた。


「知りたいですか?」


苦悩と葛藤を、ソッと静かに見ていたガーディアン・コスモスはそう言葉を紡いだ。


「ああ」

「それでは、答えて差し上げましょう」


ギャラクシアの疑問に、ゆっくりと答え始めた。


「セーラームーンの意思です」

「セーラームーンの!?何故だ?あれだけの事をして、恨まれ葬られる事はあっても、間違っても……」


そこまで答えてギャラクシアはふと言葉を切り、考え込んだ。

セーラームーンとは、そう言う人だったと思い出したのだ。どれだけ彼女に酷いことをしようとも、最終的には大きな愛で包み込む。全てを包み込む戦士。

カオスに飲み込まれそうになった時も、ブレスレットに飲み込まれそうになった時も、手を差し伸べてくれた事を思い出した。


「心当たりがあるようですね、ギャラクシア」

「ああ」

「あなたを助けられなかった事に、彼女は後悔があり、心残りの様でした」

「だからって!」


自分の様な屑星を甦らせる必要など無いとギャラクシアは感じた。


「もう一度、やり直す機会をと貴女を本当の星を守護するセーラー戦士として蘇らせた」

「本物の、セーラー戦士に……」


ギャラクシアは信じられなかった。ブレスレットの力でセーラー戦士になり、強い力を手に入れて舞い上がっていた。調子に乗り、慢心していた。

けれど、生まれ変わって真のセーラー戦士となれたことに驚いた。


「そして、今度こそその力で銀河の平和を守るのです。それが、あなたに与えられた生まれ変わってからの使命。もし、又万が一、闇に墜ちる事があれば、その時は二度と肉体も魂もないと思いなさい」

「ありがたき幸せ」


強い力で使命を与えたガーディアン・コスモスに、ギャラクシアは忠誠の意味を込め、跪いて返事をした。


「セーラームーンやセーラーコスモスの力になってあげて」

「御意!」


射手座Aスターでギャラクシー・コルドロンを密かに護っていると言い伝えられているセーラーコスモス。

見たことも無ければ、ただの伝説だと思っていたが、ガーディアン・コスモスの口からその名が出たことでギャラクシアは、実際に存在していることを知った。


「さあ、行きなさい!あなたが守る銀河へ」


その言葉と同時にガーディアン・コスモスはロッドを振り下ろすと、ギャラクシアは光に包まれた。


ギャラクシアが次に目を覚ました時には、ガーディアン・コスモスはおらず、元いた星へと戻っていた。


「そう、やっぱり私はここが相応しいと言うこと。守ってやるわよ、その時まで、ね!」


ギャラクシアは、スッキリとした輝く笑顔でそう宣言した。


そう、セーラームーンやセーラーコスモスが助けを求めるその時までーーー





おわり




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