セラムン二次創作小説『占いなんて、大っきらい!(アル美奈)』

平日の朝、いつも遅刻ギリギリの私は珍しく朝早く目が覚めてしまい、寝られなくなり仕方なく起きる事にした。

セーラー服に着替えてリビングへと行くと、アルテミスが驚いた顔で話しかけてきた。


「美奈、早起きなんて珍しいじゃん」

「たまには、ね」


寝起きのテンションは悪い方だ。アルテミスに貶され、余計テンションが低くなって短く返事するに至った。我ながら酷い。


「テンション、ひくっ!」


私の態度に、アルテミスはまた驚く。


「次は、占いのコーナーです」


朝の情報番組を見る余裕があり、テレビをつけて見ていると次は占いのコーナーだと女子アナが告げる。


「占いなんて、大っ嫌い!」


今日の運勢なんて見たくないと思って、そう大きな声で詰りながらテレビを消した。


「あっ!見てたのにぃ~」

「そうなの?猫のくせに、運勢が気になるの?」

「当たり前だろ!俺はセーラー戦士の世話係なんだ。みんなの運勢も気にしてるのさ」

「へぇー」

「美奈は、何で占い嫌いなんだ?一番好きそうなのに。当たらないから?」


アルテミスが占いを毎日見ていて、私達戦士を気にしてくれていることに4年以上一緒にいて初めて知った。好きと言うよりは私達のためみたい。


「その逆よ!当たりすぎるから、嫌いなの」

「当たるのに嫌い。何でだ?」

「レイちゃんとA……」

「え?」


ここでレイちゃんとAの名前が出て来てアルテミスは目に見えて困惑していた。アホ面。


「二人の占いが当たり過ぎて怖いのよ。それに、二人以外の占いは信用出来ない」

「まぁ、レイの占いは前世でも宇宙で一番当たると評判で、数々の偉い人達から一目置かれていたからな」

「そうだったわね」


レイちゃんはセーラーマーズとして前世では占い師として右に出るものはいないほど、評判だった。

その卓越した占星術で、まだ小さなマーズはクイーンに見出され、プリンセスの側近の一人として選ばれた。


けれど、そんなセーラーマーズにも見れないものがあった。変えられない運命が存在した。

ーーー恋占いだ。プリンセスの恋の相手と、それを全うした先に起こる悲劇。

マーズとて、万能ではなかった。

もしも、マーズが恋する乙女の気持ちを知っていれば、運命はもっと違った方向へと行っていたかもしれない。なんて時々思ったりもした。

結局は変わらなかっただろうけど、何か違っていたのかと考えると悔しかった。


「でも、何でA?」


当然の疑問よね。Aが、占いをするなんてアルテミスは知らないもの。


「彼も占いをしてたわ」


最も、あれが本当の占いかどうかは怪しい。

前世の記憶があって、私の事がずっと好きだったけど、結局自分にはどう足掻いたって私の心は手に入らない。それに気づいたAは、自分の事を覚えていて欲しくて、繋ぎ止めておきたくて占いと言う名目で言っただけに過ぎないとも考えられる。


「へぇー、初耳だ」

「Aの技に使われたいたトランプ」

「ああ、だからトランプ技だったのか。腑に落ちた」


トランプ占いがある事は私も知ってる。

でも、カードならタロットが主流。現にレイはタロットで占ってた。

それが嫌な程当たる。ギャラクシア戦も見事に当てて見せた。だから、怖いし嫌いなのよ。


「運命は自分の力で切り開くものよ!だから、占いなんて、大っ嫌い!」


だから私、レイとAの占い以外は信じない。





おわり




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