セラムン二次創作小説『消えた初恋(ネフまこ)』




蘇った私たちはギャラクシーコルドロンから無事家路に着いた。

うさぎを最後まで守れなかった事は悔しかったけれど、うさぎを信じていたから今ここでこうしていられる事は奇跡だけどホッとしている。


「もっと、強くならなきゃな」


ベッドに横たわりながら、右手で作った拳を天井に突き上げる。

もっと強ければ。もっと鍛えていれば……

そんな後悔は毎回新たな敵が現れると自分の非力さに気付き勝手に芽生えてくる。今回に限ったことではないけど、今回が一番そう感じた。


「アイツがいれば、違っていたのかな?」


アイツーーネフライトは、記憶の中ではかなり強いと言う印象を持っていた。

まぁ、前世も現世でも私が倒したんだけど。

でも、やっぱり考えてしまう。衛にも必要だろう。王子を守る四天王なんだから。

そして、みんなにもきっとそれぞれ……


「あの世で、アイツにも両親にも会えなかったなぁ……」


不謹慎だけど、せっかく死んだんだから会いたかったなと思ってしまった。

でも、本当に会いたい人たちには会えないんだな。あの世でもその現実に突きつけられて、ガッカリしている自分がいた。


「そっか、両親は兎も角、アイツは私たちが蘇ったタイミングであの光の洪水の中にいてこの世に戻っているのかも?」


どうして気付かなかったんだろう。

うさぎの銀水晶のパワーは絶大だ。

四天王だってきっと生き返っている。

確信は無いけど、自信があった。

いつか必ずまた会えると。


「ネフライト……」


天井に突き上げた拳を下ろし、目を閉じる。アイツのオーラを探る。


……はずだったのに、私はそのまま疲れて寝てしまった。不覚。


「しまった……やっちまったぁ」


何で寝てんだ、私!?

ネフライトを探すんじゃないのか?

私のアイツへの思いは高々その程度だったの?

会いたいんじゃないのか?


「集中、集中!アイツに意識を集中してオーラを探るんだ」


この前は寝転んでいた事もあって、疲れも手伝って寝てしまったけど、今回はその失敗を学んで起き上がってアイツのオーラに思いを馳せる。


どれくらいの時間が経ったのか。

幾ら集中してもアイツらしいオーラが感じられない。

まぁ、すぐに見つけられないことは分かっていたけど、分かってはいてもやっぱりちょっとガッカリ。


「挫けるな、まこと!恋は七転び八起き!押してダメなら押しまくれってね!」


へこたれない!へこたれてたまるか!

愛さえあれば、きっとどこかにいるだろうアイツを探し出せる!そう信じてる。

広い世界だ。焦らずゆっくり、探していけばいい。


「ネフライト……」


私は、その日を境に鍛える事と、ネフライトの気を探す事が日課になった。

結果から言えば、幾ら頑張ってもネフライトは全く見つからなかった。

うさぎの銀水晶でも蘇らせる事は出来なかったみたいだった。


「何で?」


蘇ったら地球以外には行かないだろうし。

アイツらは星じゃ無くて、翡翠だから蘇らなかったのか?

だったらもう八方塞がりで為す術ないな。


「お前はもう、帰ってこないんだな」


本当に、死んでしまったんだな。


「大好きだったよ、ネフライト」


前世も今も、これからもずっと……


お前は永遠に私の初恋さ!





おわり




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