セラムン二次創作小説『キンモク星に響くメロディー』





「ラララ~ ルルル~ ラリラルラ~♪♪」


キンモク星の王宮に今日も歌声が響く。軽やかで、いきいきとした歌声。歌っているのは、この星の一国の皇女ーーープリンセス火球だ。


「今日もプリンセスの歌声が元気だな」


歌声を聞き、プリンセス火球のお付が一人ーーーセーラースターファイターが笑顔で呟く。


「癒されるわねぇ」

「癒しの名を与えられた貴女が癒されてどうするのです。まぁ、分かりますが……」


プリンセスの歌声に、癒しの戦士であるセーラースターヒーラーも癒されるようだ。

すかさず癒しの戦士に異議を唱えるのは、セーラースターメイカーだ。癒す方が癒されるとはどういう了見かとメイカーは思っていた。


「仕方ないじゃない!事実だし、何よりプリンセスには叶わないわ」

「確かに、プリンセスの歌声には癒し効果がある。プリンセスの歌声で、この星の人々がどれだけ癒されているか」

「歌姫としても名高いですしね」


火球皇女は、歌う事や音楽が好きだ。それはキンモク星の人々なら誰もが知る事実で、キンモク星切っての歌姫としても名高く、プリンセスとしてだけではなく、歌手としても活躍していた。


彼女が催す定期的な演奏会は、この国の人達にとって楽しみの一つとなっていた。

そこにスターライツの三人も、毎回演者として出演している。三人の演奏も火球の歌声に負けず劣らず人気に定評がある。


それもそのはずでスターライツの三人は、そんな一流の歌姫である火球直々に音楽の才能と戦闘力を見込まれて側近になったのだ。


「この星だけじゃないわよ」

「そうだったわね」

「この銀河中の人達が癒される、歌姫として名を馳せていますからね」


メイカーの言う通り、火球皇女の歌声や音楽好き、才能全てがキンモク星のあるこの銀河系に轟いでいた。


「そんなプリンセスに、こうして才能を見込まれて傍で仕えられて幸せね」

「そうですね。その中でも、ヒーラーは一番幸せ者かも知れませんね」

「何でよ?」

「癒しのプリンセスから、癒しの名を与えられたのですから期待は大きいかと」

「確かに。でも、期待されるとプレッシャーかも」

「プリンセスにとってはヒーラーが癒しって事ね!」


三人で火球の話をしていると、歌声が止まった。すると、後ろから誰かが近づく音が聞こえてきた。


「その通りですよ、ヒーラー。そして、ファイター、メイカー」

「プリンセス!」

「プリンセス火球」

「プリンセス?」


後ろから話しかけられたと思い、振り向くと火球皇女が笑顔でたっていた。話に夢中で、火球が近付いてきていたことに気付かなかった。


「これは、失礼いたしました」


ファイターが代表して詫びると、三人は火球に跪き、頭を垂れた。


「良いのですよ。顔を上げて」

「はっ!」


火球の言葉を素直に受け止めた三人は、居直った。


「本日も、とても素敵な歌声でした」

「癒されました」

「本日も勤め、頑張れそうです」

「それはありがとう。あなた方の歌や演奏も、いつもとても素敵よ」

「有り難き幸せ」

「勿体なきお言葉」

「お褒めに預かり光栄です」


三人は率直な感想を火球に述べると、火球からも褒め言葉が返って来てしまい、恐縮した。

火球は朝に発声練習と言う名目で軽く歌を歌っている。それに対して、スターライツは夜寝る前に楽器の練習をしていた。

これがこの四人の毎日の日課となっていて、王宮の人達の周知の事実だった。時に個人で、個々で練習しているにも関わらず自然と合わせる事もある。


「ヒーラーは勿論私の癒しではあるけれど、ファイターやメイカーだって充分私の癒しよ」

「恐縮です」

「恐れ多いです」

「ヒーラーの名に相応しく、癒せる様頑張ります」

「ええ、これからも宜しくね!どんな辛い戦いに直面したとしても、希望を捨てずこの星を護りましょう」

「御意!」


そう、どんなに辛い戦いが待ち受けていても胸の中にある星を輝かせ、希望を捨てず、歌で、音楽で星を、銀河系を護れると信じて、今日も火球はキンモク星で歌声を響かせる。





おわり



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